日経 xTECH Special

シーメンスの「MindSphere」
ユーザーの選択肢拡大を最優先し
オープン性を追求したIoT基盤

製造業のIoT活用が概念レベルから実装レベルに移行する中、ユーザーの関心は「どういうアプリケーションを導入すべきか」に移っている。導入するなら、アプリケーションの選択肢は多いほど望ましい。そのための環境を用意するのが、シーメンスの産業用IoTオペレーティングシステム「MindSphere」だ。幅広い選択肢をユーザーに提供するためにオープン性を追求するとともに、ローカルの細かいニーズに対応し、日本の環境に根ざした体制の構築も進んでいる。

MindSphereは、シーメンスが提供するソリューションプラットフォーム。IoTを活用した新しいものづくり環境の基盤となる、クラウドベースのオペレーティングシステムだ。構成するのはFA機器との接続機能、データを集めるクラウド環境、データを分析するアプリケーション。それら3つの層を連携し、現場のFA機器から情報を収集して分析する一連の環境によって、見える化や予知保全を実現する。利用量に応じた定額課金方式で導入できるため、初期段階から多額の投資を必要とすることはなく、効果を確認しながら自由にシステムの規模を変えることも可能だ。

 MindSphere上でさまざまなアプリケーションが動き、ベンダーやユーザーが求める機能を提供できることから、同社ではMindSphereを「産業向けIoTのOS」と位置付けている。OS上で動くアプリケーションの品揃えを広げるために、同社は技術面、体制面の双方でオープン性を追求する姿勢だ。技術面ではゲートウエイ開発用のSDK(ソフトウエア開発キット)やアプリケーション開発用のAPIを公開するほか、Amazon Web Services(AWS)など商用クラウドへの対応をはかっている。

 体制面ではパートナーとの協業を促進しており、幅広いベンダーがそれぞれの強みを活かしたソリューションを構築できる環境を提供。中でもグローバルのみならず、すでに日本の実情を踏まえたローカルの協業体制を整えているのが大きな特長だ。

焦点はユーザーのニーズ

 象徴的な動きのひとつが、他のIoTプラットフォームベンダーとの協業だ。たとえば富士通は、製造業向けのIoTプラットフォーム「COLMINA」を提供しており、その点ではMindSphereとも競合する。しかしシーメンスは富士通と協業し、COLMINA上で動作するアプリケーションを、MindSphere上でも展開していくことを順次進めている。

 一見不思議に映る流れかもしれない。しかし「基本コンセプトは『産業向けIoTのOS』。OSならば、開発元がどこであれ、ニーズのある限りどんなアプリケーションでも動くようにしなければならないのは当然です」とシーメンスの日本法人でMindSphereに携わる角田裕也氏は強調する。ユーザーにとってのニーズや選択肢拡大を最優先としていると考えれば納得できる言葉だろう。

MindSphere 概念図
MindSphereはクラウドベースの産業用IoTオープンシステム。日本企業が得意なエッジ領域のIoTプラットフォームとは補完関係にあり、エッジ領域で集約したビッグデータの静的な分析を強みとする
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