i-Construction実践セミナーレビュー(サイテックジャパン) 段階的なオートメーション実現に向け国内市場で3つの価値の提供を推進

サイテックジャパン株式会社 ソリューション開発グループ グループリーダー 柿本 亮大 氏

建設現場のオートメーションとは、意思決定をソフトで支援し、ルールに基づく最適な判断を自動で下すものと言える。その実現に欠かせないのが、「プラットフォーム」「コネクティビティ」「安全と作業の最適化」という3つの価値だ。トリンブルの製品・テクノロジーを顧客に届けるサイテックジャパンでは、その3つの価値の提供を推進する。

 サイテックはトリンブルの建設・土木分野の製品・テクノロジーを世界中のお客様にお届けするチームです。サイテックジャパンはその105社目の会社として、昨年9月にニコン・トリンブルの一部門が分社化する形で設立されました。

 本日は、土木・建設分野のオートメーションをトリンブルの視点でどのように捉えているかをご紹介します。

 現在、労働人口が減る中で、どのように労働力を確保しながら社会インフラを維持していくか、という点が、課題になっています。その答えの1つが、オートメーションです。ロボット技術やICTによって、女性や高齢者も現場作業に参加しやすくなります。

 道路路線検討ソフトの例をご紹介します。これは、地形の起伏、生態系、建設する道路の規格などをパラメーターとして入力すると、自動的に道路路線をシミュレーションするものです。コスト優先や環境優先など条件によって経路がどのように変わるのか、検討段階で地域の皆様と対話するときに用います。

 ここでは路線検討の支援に限られていますが、土木・建設分野のオートメーションはもっと幅広く、さまざまな意思決定をソフトで支援し、ルールに基づく最適な判断を自動で下すものです。マネジメントに基づく自律的な判断で機械が仕事をする――。オートメーションの定義をそう捉えています。

 人間不要の建設現場が2025年に地球上で初めて登場するという想定でサイテックはバーチャートを設定しました。2018年はクラウド上で利用するSaaSが市民権を得て、19年はARやIoTがメインの流れになり、20年はプレハブリケーションや3Dプリンターの利用が加速する、というものです。そういう未来に向かって確実に進んでいるのは間違いありません。

3つのインセンティブがデータの自然な蓄積を促す

 こうしたオートメーションを進めていくには、事務所と現場との間でデータをつなぐことが不可欠です。PDCAのサイクルをデータ化し、それらに対する判断やノウハウを人工知能(AI)で分析。結果として生み出されたルールを基に自動で判断を下すアルゴリズムを開発していきます。

図1 オートメーションの実現に必要な3つの価値

 それを自然な流れの中で進めていくためには、インセンティブが必要です。「プラットフォーム」「コネクティビティ」「安全と作業の最適化」の3つです。

 これら3つの観点から価値を提供し続けていくことで、自然とデータが蓄積されるようになり、オートメーションが実現されていくわけです。

 まずプラットフォームを提供するのは、マシンガイダンスやマシンコントロールのシステムです。その導入例の1つが、大分川ダムの現場です。

 ダム現場は急峻な地形なだけに、丁張には危険が伴います。マシンガイダンスを用いれば、危険な場所に立ち入らずに済むため安全性が向上します。また現場の規模から考えると測量には10人程度が必要ですが、この現場では2人程度で済んでいます。労働力が減る中で自動化は未来像の1つです。

 こうした例がみられるようになってきた2016年から17年にかけては、ICT建機のリリースラッシュの時期でした。標準機に必要な機器を後付けするものに加えて、最初からマシンガイダンスやマシンコントロールの仕様を持つ製品も登場してきました。

 トリンブルではメーカー各社の建機に後付けする専用のベースキットも扱っています。そのプラットフォームでは、設計データをICT建機と同じフォーマットで管理することや施工履歴データを一元管理することができます。これにより、施工現場で様々なメーカーの重機が存在しても統括したシステムマネジメントが可能となります。

 次にコネクティビティです。現場との間をつなぐのは、携帯データ通信やWi-Fiを利用する車載ゲートウェイです。2m精度で位置の分かるGNSS受信機も内蔵しています。これによって工事に関する情報の更新・共有を図り、遠隔地からの管理を可能にします。

現実とバーチャルを重ねる「SiteVision」を開発中

 トリンブルの「VisionLink」を利用すれば、建機の位置管理や稼働管理などが可能です。ダンプカーの滞留状況に合わせて、台数を減らしたり取り回しを変えたりするなどマネジメントで対応を図れるようになります。また施工状況の確認も可能です。

 マシンガイダンスやマシンコントロールで扱う3Dデータに苦手意識を持つお客様は少なくありません。大容量でデータのやり取りに時間がかかるなどの理由からです。

 そうした課題に対応して開発したのが、クラウドを用いてデータの共有を図る「Trimble Connect」です。例えば元請けや協力会社など5社の間でデータを共有するのは、通常はセキュリティの関係もあって困難ですが、「Trimble Connect」を用いれば、その共有・保存が可能になります。

 そこではビューイングも可能なため、例えば設計データの修正を協力会社に依頼することも容易です。メールに修正箇所のスクリーンショットを添付するのに比べ、手間を掛けず、修正箇所を見つけやすい形で伝えられます。

 安全と作業の最適化という観点では、「Trimble SiteVision」を開発中です。現実世界とバーチャルモデルをリアルタイムで重ねられるものです。

図2 開発中の屋外型高精度複合現実MR(Mixed Reality)「Trimble SiteVision」の機能概要

 例えば3Dモデリングソフトで作成したモデルを現地と重ね合わせて確認するには、モデルを「Trimble Connect」に保存し、タブレット端末のカメラを通して現地を見るだけです。検討段階での関係者間の合意形成に役立ちます。

 まだ国内で検証をはじめたばかりです。あるトンネルの現場では極端に被覆の薄い箇所があり、掘り進めると変異が生じる危険がありました。この現場でも、端末をさっとかざすだけで、その危険を察知できます。安全や作業に関する意思決定に役立つと評価されています。

 オートメーションは段階的に進んでいきます。その実現に向けてメーカーとお客様が一体になって成長することが建設業界を変える、と期待します。

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