日経 xTECH元年 特別トップインタビュー

STマイクロエレクトロニクス

「Go-to-market」戦略で競争力UP

産業と自動車をより強化
SiCパワー半導体など
多くの製品で高成長

STマイクロエレクトロニクス
本社セールス・マーケティング・
コミュニケーション・戦略 社長
日本法人代表取締役社長

マルコ・カッシス

マイコン、センサー、通信IC、セキュリティ・チップ、パワー半導体など幅広い半導体製品を展開するSTマイクロエレクトロニクス。同社のソリューションは今や、インダストリアルやオートモーティブ分野の電子化・電動化に欠かせない。日本法人社長を兼務しながら全社のセールス・マーケティング・コミュニケーション・戦略を統括するマルコ・カッシス氏に聞いた。

業界の動きとともに、2018年のビジネスを振り返ってください。

カッシス STは持続的な成長をこれまでも目指してきましたが、2018年も業績は引き続き好調で、第3四半期の売上高は約25億ドル、純利益は約3億7千万ドルとなり、それぞれ前年同期比で18%および56%もの伸びとなりました。

 当社は、オートモーティブ、インダストリアル、スマートフォンなどのパーソナル機器、および、通信機器やPC関連機器という大きく4つのエンドマーケットに向けてソリューションを提供しています。第3四半期は、このうち、スマートフォン向けイメージング製品が3桁の成長となったほか、オートモーティブ製品およびSiC(炭化ケイ素)デバイスを含むパワーディスクリート製品も2桁成長となりました。第4四半期の見通しも踏まえると、2018年通年の売上高は前年比約16%の成長になると見込んでいます。

重点分野について伺います。まず、インダストリアル分野への取り組みについて説明してください。

カッシス インダストリアル・アプリケーションは幅が広く、市場は細分化されています。当社はさまざまな分野にソリューションを提供していますが、とくに力をいれているのが、工場や物流施設、建設現場など、さまざまな機器や設備にインテリジェント性を持たせて生産効率や信頼性の向上を図るSmart Industryの分野です。

 具体的には、FA機器に最適で、組み込みAIを実装することもできる「STM32ファミリ」のマイコン、機器や設備の状態などをセンシングする各種のMEMSセンサー、Bluetooth® Low EnergyやLoRa、Sigfoxなどのワイヤレスネットワーク、および、電力効率の高いSiCなど各種のパワーデバイスをラインアップしており、いずれのセグメントでも業界をリードしています。

 たとえば車載を除く汎用マイコンとセキュア・マイコンに関しては、IHS Markit社が2018年3月に実施した市場調査によれば、2007年は12位でしたが、その後10年で着実にシェアを伸ばし、2017年には2位にまで上がってきています。M&Aを行うことなくこうした成長を遂げていることは、市場から認められている証と考えています。

 また、ロボットの駆動や高出力インバーター回路に欠かせないSiCパワー製品も好調です。従来のIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)に比べてエネルギーの変換効率が高く、電源回路サイズを大幅に小型化できる1200V耐圧までのSiCダイオードや1700V耐圧までのSiCパワーMOSFETをラインアップしており、2020年までに市場シェア20%を目指しています。

SiCパワー製品などが好調

続いて、オートモーティブに対する取り組みを教えてください。

カッシス STはクルマに電子回路が搭載され始めたおよそ30年前から車載半導体を提供してきた歴史を持っています。高い信頼性が求められる車載用部品を作り続けるのは決して簡単なことではありません。技術力だけではなく、多くの実績を背景にした経験や自動車業界で求められる安定した供給体制があってこそ可能になります。

 現在のクルマは電子化と電動化という2つの大きなトレンドに沿って進化を続けています。電子化に関しては、ADASや自動運転の実現に必要な77GHzや24GHzのレーダー向けの高周波デバイスやビジョン・プロセッサーなどでSTは約30%のシェアを獲得していますし、エンジン制御、ライト制御、オーディオアンプなど、さまざまな用途に当社の製品が採用されています。

 電動化に関しては、インダストリアル分野と同様に、SiCパワー製品が大きく伸びて、2017年に比べて出荷数は10倍に増え、売上高は1億ドルに達しました。電気エネルギーの変換効率に優れたSiCは、ハイブリッド車や電気自動車の「電費」を10%~20%も向上させることができると考えられています。当社は、さらなる性能向上を目指したSiCの次世代品の開発も進めていて、業界をリードするポジションを獲得したいと考えています。

産業と自動車の取り組みを強化

カッシス社長は、2018年に、セールス・マーケティング・コミュニケーション・戦略 社長に就任されました。

カッシス STでは新しいポジションで、これまで担当してきた全社のセールス&マーケティングに加え、コミュニケーション、戦略、アプリケーション開発など、すべてをとりまとめる責務を担っています。いわゆる「Go-to-market」(セールス・マーケティングやコミュニケーションなどを統合して市場獲得を行うこと)戦略を推進する役割です。

 アジア太平洋地域だけを担当していた頃に比べて各国を飛び回る時間は確実に増えましたが、スタッフにも恵まれ、とてもやりがいのある仕事と感じています。

 製品開発、エコシステム、トレーニング・サポート、デジタル・マーケティング、さらには販売代理店との協力などを効率的に組み合わせたGo-to-market戦略で競争力をさらに高め、全世界で10万社にも及ぶお客様に対して価値を提供するバリュー・チェーンの構築を強化していきます。

最後に、2019年の展望と日本市場への取り組みを聞かせてください。

カッシス ビジネス全体としてはエレクトロニクス市場全体の成長を上回る成長を引き続き目指します。市場予測によれば、2019年にはクルマの成長は鈍化するのではないかとも言われていますが、電子化と電動化のトレンドを背景に搭載される部品数が増え続けることは確実で、当社にとって追い風が吹いていることに変わりはありません。STが持つ独自の技術と幅広い製品ポートフォリオをさまざまな分野に提案していきます。

 日本は、オートモーティブとインダストリアルに非常に強い市場であるため、当社にとって重要な地域です。高度なテクノロジーを有する日本のものづくりは、テクノロジーカンパニーである当社と共通するところも多く、近年増えてきた中小規模のお客様も含めて、共に成長を目指していきたいと考えています。また、ウェブサイトに400を超えるアプリケーション別のソリューション情報を掲載するなど、サポートの強化も図っています。2019年も、お客様の製品やシステムの価値向上に貢献できるSTの先進的なソリューションを提供していきます。

ET & IoT Technology 2018で展示したSmart Industryデモ

お問い合わせ

STマイクロエレクトロニクス株式会社
TEL:東京:03-5783-8200 大阪:06-6397-4130 名古屋:052-259-2725
URL:https://www.st.com/