INTERVIEW
東芝三菱電機産業システム 取締役副社長 菊池 秀彦氏
東芝三菱電機産業システム パワーエレクトロニクスシステム事業部 技監 IEEEフェロー 川上 紀子氏

革新するパワーエレクトロニクス
あらゆるモノが連携するPEiEの時代にTMEICが描く未来

デジタライゼーションやEVシフト──
私たちの近未来は、電力を潤沢に消費することを前提にして描かれている。
電力は極めて使い勝手のよいエネルギー。
ただし、利用シーンに合わせて電力の仕様を整えないとムダや非効率が生じる。
電力のかたちを自在に整える技術、それがパワーエレクトロニクス(パワエレ)である。

パワエレ技術で世界をリードし電力の安定供給と有効利用に貢献

——私たちの近未来は、これまで以上に電力に頼ることになりそうです。そこではパワエレの役割が、ますます重要になるように感じます。

菊池 その通りです。既にパワエレは産業、電力、交通、情報通信など、さまざまなところに使われています。これからは、より多くの電力が、より多様な場所で使われ、さらに電力源の多様化も進みます。火力や原子力など安定電力源だけではなく、状況によって発電量が変動する再生可能エネルギーを活用していくことが確実です。こうした電力の利用側と供給側、双方の多様化に対応し、なおかつ安定的で効率的に電力を供給する上で、パワエレの役割は極めて重要です。

TMEICでは、太陽光発電用パワーコンディショナーなど電力の供給設備と、工場などで使う大出力モータなど電力を利用する設備の両方を提供しています。これらの製品に、よりよいパワエレを投入することによる社会的インパクトは大きく、この技術で世界をリードしていくことは私たちの責務だと考えています。

——安定的・効率的に電力を供給するため、無駄なく効果的に電力を利用するため、パワエレはいずれにおいても鍵となる技術なのですね。

川上 TMEICでは、電力供給での安定化と効率化、さらに電力利用での省エネルギー化に貢献するため、高度なパワエレを開発し、積極的に製品へと投入しています。

例えば、TMEICは、単機容量として世界最大級である3MW超のパワーコンディショナーを投入しています。そこには、最新のパワー半導体と、日照条件に合わせた制御で太陽光パネルの潜在能力を最大限引き出す最大電力点追従制御(MPPT制御)を採用し、98.9%という極めて高い効率を達成しました。さらに、太陽光発電による電力が電力系統に悪影響を与えないように、系統の状態に応じて出力や無効電力を制御する機能も導入しています。

一方、電力利用の側では、モーター利用の省エネ化にパワエレが使われています。モーターは、世界中で作られている電力の約50%を消費していると言われています。ところが、工場などの既存モーターは、ムダの多い使い方をしてきました。例えば、風量を利用する場合、モーターを一定回転で回し続け、ダンパーを使って風をさえぎって使っている場合があります。TMEICは、定速稼働の大出力モーターを、可変速で運転可能にするドライブ装置を提供し、消費電力を最大50%削減できるようにしました。

さらに、デジタライゼーションの時代を支えるデータセンターに電力を安定供給するための無停電電源装置(UPS)も提供しています。データセンターは、一瞬でも止まってしまうと、社会的損失は計り知れません。また、日本のデータセンターでは、現時点で既に沖縄の総電力消費の2倍相当の電力を消費しており、省電力化は今後ますます重要になります。TMEICでは、データセンターの電力消費を最小化できる新しい技術を使用したUPSを提供しています。

菊池 私たちは、パワエレにおいて、世界のトップメーカーでありたいと考えています。TMEICは、パワエレでの先進的な取り組みが評価されて、米国の大手コンサルティング会社フロスト&サリバン社の「2018 グローバル・カンパニー・オブ・ザ・イヤー・アワード」をインダストリアル・パワーエレクトロニクス部門で受賞しました。また、ビジネスを世界に広げるべく、各地域のニーズに応える製品を迅速に提供できる体制を整えています。既に、米国、中国、インドに工場を置き、日本で開発した製品をほぼ同時にローカライズして世界に展開できるようにしました。

「PEiE」で、高度なパワエレをより広く、より簡単に利用可能に