日経 xTECH Special
JIMTOF2018出展

厳密・正確な寸法測定が
高品質・高効率な製品づくりにつながる

検査データ、特に不良や不具合が見つかったデータには、工業製品の品質や生産性を高めるための情報がたくさん詰まっている。それを的確に取得し、いかに活用するかがメーカーの競争力に直結する。カールツァイスは、自社製品の高品質化に向けて、独自の測定技術を開発。先進的三次元測定機のベンダーとして世界のものづくりに貢献している。同社に、「第29回 日本国際工作機械見本市(JIMTOF2018)」 で披露する最新の測定技術について聞いた。

初代計測器

 カメラのレンズや顕微鏡などを扱う光学精密機器メーカーとして知られるカールツァイス。精密さを極め、最高の品質を追求する同社は、“よりよい製品は、より厳密で正確な検査からしか生まれない”という信念から、製品やその構成部品の寸法を高精度で計測する測定機を独自開発。その測定技術は独創的であり、技術水準は他を圧倒している。

 同社は、自社開発した高度な寸法測定機を世界中のものづくり企業にも外販。大きなものは発電用風車のブレードから、小さなものはマイクロチップまで、幅広い製品の開発や生産の現場で活用されている。特に自動車業界では、同社の三次元測定機が品質管理や生産管理で好んで使われ、自動車の品質と信頼性、さらには生産性の向上に貢献している。

X線CTが拓く品質・生産性向上の新たな道

竹田氏
カールツァイス
マネジャー
竹田和博

 カールツァイスは、2018年11月1日(木)〜6日(火)に東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2018」に出展。同社が誇る測定ソリューションの数々を披露する。同社マネジャーの竹田和博氏に見どころを聞いた。

 「特に、工業製品の品質と生産性の向上に絶大なインパクトをもたらす可能性を秘めた新時代の三次元形状測定機、Dimensional X線CTについてもっと広く知っていただきたいと考えています」

 Dimensional X線CTとは、計測対象となるワークを360°回転させて様々な角度からX線でスキャンし、取得した撮像データから画像処理技術を用いて三次元形状を再構成する測定機のこと。原理は、医療用CTスキャンと同様だ。元々カールツァイスは、世界で初めて、測定精度を保証したX線CTを開発した企業である。

 これまで、自動車など工業製品の開発・品質管理には、大きく2方式の三次元測定機が用いられてきた。一つはスタイラスを計測対象に接触させて空間座標を求める接触式。もう一つは表面に光を当ててその反射光から形状を割り出す光学式である。

 このうち接触式は、計測精度は高いものの、スタイラスを当てることができる部分しか計測できず、ワーク全体の形状を知ることができない場合があった。一方、光学式ならばワーク外側の形状に関しては、網羅的に計測できる。ただし、光の当たらない箇所や、外からは見えない部分がある複雑形状のワークや、内部構造を計測することはできない。

竹田氏

 「X線CTならば、接触式や光学式の欠点の多くを解消可能です。これによって、今まで知り得なかったワークの情報が収集できるようになり、品質や生産性のさらなる向上に向けて道が拓きました」と竹田氏は話す。

 まず、複雑形状のワークや、その内部の構造まで、非破壊での計測を実現。生産ライン上での全数検査にも適用できるようになった。さらにワーク全体の形状を把握するだけでなく、ワーク各所の寸法を正確に測ることも可能。このため、寸法計測や幾何公差評価に活用できるようになったという。

 「ワークの三次元形状全体を電子化し、CADの設計データと比較できるようになりました。これによって、生産時のブレや不良を自動的に検知できますし、計測した三次元形状データをCADに戻して、設計で活用することも可能です。加えて、三次元モデルがないワークのモデル作成や、リバースエンジニアリングなど、活用できる場は広いですね」(竹田氏)

品質管理用の高精度機と生産ライン用の高速機を用意

 カールツァイスは、X線CTの製品として、開発や品質管理での利用を想定した「ZEISS METROTOM」と、生産ライン上での品質や生産効率の向上に用いる「ZEISS VoluMax」の2機種を投入している。

ZEISS METROTOM

 ZEISS METROTOMは、ドイツ技術者協会が策定したX線CTの規格VDI/VDE 2630に準拠し、9.0+L(対象物の大きさ)/50μmの測定精度を保証したX線CTである。繰り返し再現性も非常に高く、安定した計測が可能で、接触式で取得した既存データとの整合性を取りやすい。

 「カールツァイスのX線CTの最大の特長は、ベンチマークテストの条件下のみならず、いかなる条件や計測対象においても高精度な点です。X線の出力が高いほど高精度の計測ができると考えがちですが、実際には逆にノイズが増えて精度が低下する可能性もありました。そこでカールツァイスでは、計測条件や取得した撮像データの処理法などを工夫し、常に高精度なデータを得られるようにしているのです」(同氏)

ZEISS METROTOM

 ZEISS VoluMaxは、生産ラインでの計測タクトタイムを短縮する工夫を凝らした高速なX線CT。例えば、3気筒エンジンのシリンダーヘッドを測定した場合、60秒未満のタクトタイムで内部の欠陥を自動検出できる。スキャンからレポート出力までの作業が完全自動化されており、検査担当者はX線CT解析の深い知識がなくても利用可能だ。

 エンジンのシリンダーヘッドの生産では、鋳造で作ったワークをマシニング加工によって高精度に仕上げる。この時、マシニング加工前のワークをX線CTで形状検査することで、鋳造時にできた表面からは見えない内部の欠陥(ひけ巣、ガス巣)をあぶり出し、CADモデルと計測データを比較することで、加工後の穴、欠けの発生を予測・検出が可能。これによって、不良品を加工前に除去できるため、生産効率の向上につなげることができる。

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