2月に労働安全衛生法が改正 高所作業でフルハーネス型安全帯の義務化へ

スリーエム ジャパン株式会社 安全衛生製品事業部・事業部長 中辻 陽平 氏

2019年2月、厚生労働省は労働安全衛生法を改正し、高所作業の墜落防止に使われてきた胴ベルト型安全帯から、新しい性能規格のフルハーネス型に移行する。建設現場での墜落・転落死傷災害を防ぐための法改正だ。欧米でのフルハーネス型安全帯の販売・開発で、40年以上の歴史を誇る3Mは、その豊富な知見と最新技術を活かし、日本の建築現場の新たな安全対策に取り組んでいる。
  • vol.1 2月に労働安全衛生法が改正 高所作業でフルハーネス型安全帯の義務化へ
  • vol.2 世界で40年以上にわたる開発・販売実績を誇る3Mのフルハーネス。日本の現場の声から生まれた新規格適合の日本専用型、誕生。

 建設現場をはじめとする、高所作業の安全対策が今年から大きく変わる。厚生労働省は、2019年2月に労働安全衛生法を改正し、施行後は、高所作業における安全帯は、現在日本で主流の胴ベルト型ではなく、フルハーネス型の使用が原則となる。また、フルハーネス型安全帯の使用者は、新規格安全帯の知識を含めた特別教育の受講が必須になる。経過措置期間は3年間。2022年にはフルハーネス義務化に全面移行する予定だ。

 同時に「安全帯の規格」は「墜落制止用器具の規格」に改正され、安全帯には、より現実に即した性能要件を含む新規格適合が求められる。

高所作業者をあらゆる墜落事故から守るフルハーネスを目指して

 この法改正の背景を、スリーエム ジャパン安全衛生製品事業部・事業部長の中辻陽平氏は次のように説明する。

 「厚生労働省の労働災害統計によると、2017年、日本では、墜落・転落死傷災害が年間2万件以上発生し、死亡災害は258件を数えました。1日50人以上が墜落し、1週間で5名が命を落としているのです。墜落事故による死亡災害は建設業が全体の52%を占めています。法改正の背景には、こうした深刻な現実があります。

 もし、胴ベルトで墜落を防げた場合でも、吊られた状態で腹部や胸が圧迫され大怪我を負ったり、死に至るケースもありました。フルハーネス型が推奨されるのは、肩や腿、腰など複数箇所で体重を支えるため、落下時の衝撃を分散できる特質があるからです。

 日本の建設現場では、墜落防止の安全対策が徹底され、落ちないための対策には十分取り組まれていますが、落ちた後のことや、救助されるまでの安全策は看過されがちです。不慮の事故で落下した場合、いかに人命を守り、健康を損なわずに作業員を救うか。3Mのフルハーネス型の墜落制止用器具は、万が一の墜落時に生命を守り怪我を防ぐ最終の安全ツールとして設計され、すべて19年の新規格適合品です」。

世界で選ばれるフルハーネス型を40年以上提供してきた3M

 欧米ではすでにフルハーネス型が主流で、3Mはフルハーネス型安全帯を世界75カ国以上、累計2000万着以上を出荷してきた実績がある。

 「3Mの墜落防止の取り組みは約80年前からスタートし、フルハーネス型安全帯には40年以上の改良・改善の歴史があります。現場からの声に応え、安全性や作業性の向上に務めた豊富な経験と知見が蓄積されているのです。世界中で多くのお客様に選んでいただいているのは、この取り組みが支持されてきた結果といえるでしょう」(中辻氏)。

 すでにハーネス型を採用している現場では、動きやすさを重視するあまり、ベルトによる拘束を嫌い、可動域を広げるためルーズに着用する例も見受けられる。「これでは墜落時に衝撃を適切に分散できず、深刻な事故につながるリスクが残ります。3Mのフルハーネス型安全帯は、適切にフィットするよう着用しても快適に動けるよう設計し、安全性とともに作業性も追求しているのです」。

 その特徴として中辻氏は同社製品の5つのポイントを挙げる。

 まず①「X形背面ベルト」の採用。墜落事故時に体を左右から支えて安定性を向上させるという安全性に加え、作業においても前屈の際に背中のベルトが突っ張らず、動作のストレスが少ない。②「骨盤サポート構造」は腿ベルトの食い込みを防ぎ、落下時には骨格の中でもっとも強固な骨盤を中心に荷重を分散できる。③劣化が少ない「金属製バックル」を採用。④「ループ式腰部ベルト」でベルトの移動域を作り、体の動きに追従させる。⑤ベルトの「強度を保つステッチ」は、縫製の糸が一部切れてもステッチ全体は解けない方法で強度を保ち、ベルト自体も柔軟で動きにフィットし、折れや変形も少ない。加えて、「うっ血対策ストラップ」は、落下後の吊り下げ状態で、股部分が締め付けられることで起こるうっ血を防ぐために足を掛けるストラップ。これは、転落事故経験者の声を反映し、独自に開発したハーネスオプションだ。

 スリーエム ジャパンでは今後、同社製品を使った墜落制止実験や、実際に吊られた状態を体験できる、出張デモの機会提供にも力を入れる。

出張墜落防止デモンストレーションを全国で展開

ルールとツールで安全意識を高めるフ。ルハーネス型安全帯を採用している向井建設(向井建設株式会社 労務安全部 部長 斎藤 仁一 氏)

 向井建設(東京・千代田区)は、建築・土木の躯体工事を専門とする大手サブコンである。絶対安全の追求を掲げ、安全対策で業界を牽引する老舗企業として、広く知られてる。「安全は私たちにとり最高の価値として位置づけ、先制対処のリスク排除と安全意識の高揚に全力を尽くし、ゼロ災害を達成する」が今期の安全方針だ。

 高所作業では10年以上前からフルハーネス型安全帯を採用している。向井敏雄会長(当時社長)が、今まで墜落災害で後遺症に苦しみ不幸な人生を送っている被災者や遺族とその家族の悲しみがいかに悲惨かを間近に見て、二度と同じような不幸を起こさないために、フルハーネス型安全帯の導入に踏み切った。

 導入当初はメーカーもノウハウが乏しく、現場の職人と意見を交わして、メーカーに改良を依頼。約1年かけて「向井建設オリジナル」を作り上げた。

 現場の職人は、フルハーネス型安全帯に替えても、従来通りに作業を行えることが望みだ。かつて、職人は怪我と弁当は手前持ちと言われていたが、今日では安全や健康をどう守るかが会社の最重要課題である。現場では何より、墜落防止対策が最優先。フルハーネス型安全帯はその先の安全確保のための装備だ。

 当社は、日本の建設現場の安全水準 を高めてきた自負があり、より有益な安全対策に、先駆者として取り組む社会的立場にあると感じて取り組んでいる。

 今までフルハーネス型安全帯の装着は、高所に於ける足場工事・揚重機組立工事・PC工事のみ義務だが、過去の災害事例を教訓とし、墜落した際に体にかかる負担を軽減できるハーネス型安全帯の着装を、昨年10月から全従業員に義務化した。また新規格に適合する「向井建設オリジナル」を、3M社を含め各メーカーとの関係性を良好に保ちながら職人が現場で安心して使える安全衛生用品の改善に、積極的に知恵を出して取り組んでいる。

向井建設株式会社  〒101-0041 東京都千代田区神田須田町2-8-1 http://mux-hp.jp/
Vol.2 世界で40年以上にわたる開発・販売実績を誇る3Mのフルハーネス 日本の現場の声から生まれた新規格適合の日本専用型、誕生。
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