安全・安心トラック 技術講演

エービーシー商会 軽量天井に意匠性に富む新工法 Exp.J.C.は樹脂製でリスク回避(建築サミット 2019レビュー)

エービーシー商会 アルウィトラ・シーリング事業部 関東シーリング営業部 部長 高橋 一弘 氏

既存天井が地震で脱落すると、ケガだけでなく粉じんによるデータ損失など深刻な事態が起こり得る。エキスパンションジョイントカバー(Exp.J.C.)は、地震による破損・脱落が生じると、設計者がそれをどこまで予測し二次災害に備えていたかが問われる。近年、頻発する地震への対策を、エービーシー商会の高橋一弘氏が紹介する。

 天井材と金属製・樹脂製エキスパンションジョイントカバー(Exp.J.C.)に関する地震被害と対策を紹介する。

天井材が脱落するリスクの削減に、最も有効な対策はその軽量化

 大地震時には必ず天井材の脱落が報じられる。ケガや事故につながることもある。オフィスでは脱落で生じる粉じんをパソコンがかぶり、データ損失という事態も起こり得る。

 一般的な天井材の重さは石膏ボードと岩綿吸音板の合計で㎡当たり約11.5㎏。どちらも固く割れやすいものだ。天井の高さが高いほど、面積が広いほど、落下被害は深刻になる。

 天井材の脱落を防ごうと、国土交通省は2013年、脱落によって重大な危害を生じる恐れがあるという「特定天井」の考え方を打ち出し、それに該当する天井に安全性の対策を義務付けた。既存建物では増改築時に新築時同様の対策を求め、一定用途の場合には改修するように行政指導が入る場合もある。

 天井材は脱落に至るまで、「揺れる」「壁に衝突する」「衝突が繰り返される」「その衝撃で破損する」「破損部分から脱落する」という5つのステップを踏む。このうち「壁に衝突する」「衝突が繰り返される」という2つは、対策が可能だ。

 天井材は重いほど衝突時のエネルギーは大きくなる。脱落のリスクを減らすように衝突時のエネルギーを小さくするには、その軽量化が最も有効だ。

 そうしたニーズから生まれた天井材が、「かるてん®abc天井システム」である。素材そのものの重さは㎡当たり0.7㎏で下地を含めても同2㎏以下に収まる。

 軽く薄い素材のため、振動台試験で実地震波を用いた安全性の検証でも、変形、破損、脱落は起きなかった。万が一、脱落したとしても、石膏ボードと違ってふわっと落下し、粉じんが舞うようなことは起きない。

かるてん®abc天井システム
かるてん®abc天井システムの詳細情報はこちらから▶︎▶︎▶

一般的な天井材同等の断熱性が、避難所になる体育館で役立つ

 軽さに加え、一般的な天井材同等の断熱性もある。小中学校の体育館は安全面から既存天井を撤去するという方法がとられることもあったが、これでは、室内環境の性能が低下してしまう。そこが避難所になることを考えると、安全で断熱性のある天井材には意味がある。この「かるてん®」は加えて、吸音性も備えている。

デザイン性付加した新工法、意匠性高い建物に軽量天井を推奨

 取り付け工法はこれまで、
①Tバーを格子状に組んでそこに載せる
②アルミ製の専用下地材にビス留め
③軽量鉄骨下地にビス留め――の3つ。
①と②は㎡当たり2㎏以下の軽量天井のため「特定天井」対策として利用可能だ。

 さらに、今年4月にはデザイン性を付加した新しい工法が加わった。「かるてん®」を格子ルーバーのバー材に載せて治具で押さえるものだ。ホテル、美術館、ホール、ショッピングモールなどで安全な軽量天井を実現できる。

Exp.J.C.の選定には取合部でこそ、地震時の可動量確保が重要

 次にExp.J.C.の地震被害と対策だ。

 クリアランスとカバーの可動量は違う。一般的な可動量はクリアランス比30~50%。クリアランス150㎜で50%なら±75㎜を超えると破損する恐れがある。

 可動方向は、水平面内のX・Y方向、鉛直のZ方向。ただ構造上、Z方向にはあまり可動できない。取合部では可動量を確保しにくく、破損する可能性が高い。

 実際の被害状況では、Exp.J.C.の破損には一定の傾向がみられる。その原因は、想定以上の挙動が生じたり、屋根・天井の端部や複雑な取り合いだったりしたことで可動性能を超えたためだ。

全方向に弾性変形の樹脂製で、破損や脱落のリスクをなくす

 対策としては、クリアランスを広げ、可動性能の高いExp.J.C.を採用すればいいが、コストが上がる。避難経路の床に限るなどその影響を抑える一方で、それ以外は脱落による二次災害が生じないように脱落防止ワイヤーを取り付ける方法がある。

 ただ、こうした対策をいくら重ねても、金属製Exp.J.C.は破損や脱落のリスクはなくならない。

 それを解決するのが、樹脂製Exp.J.C.「アーキウェイブEシリーズ」だ。XYZの全方向に弾性変形し、可動量は50%。大地震でも脱落しないことを可動実験で実証済み。

 破損しにくいのは、樹脂製の本体そのものが収縮するシンプルな構造だからだ。100~600㎜まで50㎜刻みで11種類のクリアランスに対応している。

 「アーキウェイブEシリーズ」は、安全性だけでなく、耐候性、気密性、意匠性にも優れる。

 安全性は可動実験でExp.J.C.の最上級性能であるA種をクリア。納入実績は累計1400件を超えたが、破損や脱落の報告はない。耐候性は各種試験で確認済み。気密性はクリーンルームのエアタイトドア並みの性能だ。意匠性は非主張性。クリアランス内に納まるため意匠性を損なわずに済む。

 高性能ゆえにコストはアルミ製に比べ10%割高だが、意匠性を持たせようと着色などの加工を施すことを考えれば15~30%安く済む。

 今年4月には床タイプも登場。樹脂製の特性を継承し、柔軟かつ円滑な面材による静粛性、復元性、非主張性という3つの特徴を持たせた。これで、屋根を除くすべての部位で樹脂製Exp.J.C.が使えるようになった。

 近年、地震が頻発し、被害も増加している。建物を安心して利用していただくには具体的な提案が必要な時代だ。社会の安全環境の構築に弊社が少しでもお役に立てれば光栄だ。

アーキウェイブEシリーズ
アーキウェイブEシリーズの詳細情報はこちらから▶︎▶︎▶
Page Top
お問い合わせ
株式会社エービーシー商会
〒102-0074 東京都千代田区九段南1-3-1 東京堂千代田ビルディング TEL. 03-3507-7194
https://www.abc-t.co.jp/