旭硝子株式会社(AGC旭硝子) - 日経 xTECH Special

agc01「東京国際フォーラム」のオフィス環境改善へ



株式会社東京国際フォーラム
施設部 施設課
係長
(電気・通信設備担当)
川辺 貴之

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株式会社東京国際フォーラム
施設部
技術管理担当課長
一級建築士
古田 雄



 東京国際フォーラムのオフィスは、JR線路沿いのガラス棟と向かい合うホール棟11階にある。ホール棟は性格上、開口部は限られるが、この階だけは外周をぐるりとガラス面が囲み、中には日が降り注ぐ。

就労環境と温熱環境の改善へ
開口部の遮熱・断熱性向上を

 半面、夏暑く、冬寒いという点が、弱点だ。東京国際フォーラム施設部施設課の川辺貴之氏は「ガラス面に囲まれたオフィスだけに、夏は暑く、冬は寒い、という声が多かった」と明かす。最近は“働き方改革”という流れもあって、それまで以上に改善が求められていた。

 環境面では、環境問題への取り組みを経営の最重要課題と位置付け、環境負荷の低減に向けた省エネ活動などに取り組んできた。その一つである空調負荷の削減という観点からも、オフィス空間の温熱環境の改善が求められた。

 東京国際フォーラムが開館したのは、いまから20年以上前の1997年1月。オフィス空間のガラス面には厚さ12㎜と同19㎜の合わせガラスを採用し、開口部の遮熱性や断熱性は決して高くなかった。

 こうした課題の解決に向けた最初の取り組みは、いまから10年ほど前。経済産業省の補助金を活用し、オフィスフロアの一部を除くガラス面を中心に遮熱・断熱効果をうたうウインドウフィルムを施工した。

 その後、ガラス棟での施工も検討。遮熱・断熱効果のあるフィルムのほか、同様の効果を発揮するという塗料も候補に加えて、コストを算出した。ところが施工面積が広く、コストが膨らんだことから、最終的には施工を断念した経緯がある。

2020年度以降の予算確保へ
効果検証に定量的な裏付けを

 川辺氏が「アトッチ」と出会ったのは、その数年後。「展示会の場で存在を知り、フィルム以上の効果が見込めるという点に関心を抱きました」(川辺氏)。後日あらためて製品説明を聞く機会を用意し、その場で試験施工の実施を決めた。

 試験施工では、一つの部屋に仮設の間仕切り壁を設置し、2つに分類し、温熱環境の改善度合いを、「アトッチ」を施工した部屋とそうでない部屋で比べたが、その効果に関して本格施工に至るまでの定量的な裏付けは得られなかった。

 2018年度は効果検証への2度目の試験施工を実施した。南北両端にある西向きの会議室(同面積)のうち一つには「アトッチ」を施工し、もう一つには何も施工せず、この2つの会議室を比較し効果を検証する。約10年前に施工したフィルムは、この検証を機に剥がしている。

 ガラス面の上端が外側に倒れ込むように斜めにはめ込まれた特殊な窓だったため、取り付けにあたっては開発元のAGC側と協議。後付け施工の「アトッチ」の荷重がガラス面に掛かるものの安全性に問題はないことを確認したうえで、取り付け工事を進めていった。


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 上図に掲げたのは、その効果検証結果の一部だ。サーモグラフで比較すると、「アトッチ」の取り付け効果は明らかだ。「これを定量的な結果に置き換え、2020年度以降、その取り付け予算の確保につなげていきたい」と、川辺氏は意気込む。

 フィルム施工からは一般的にその寿命と言われる10年が経過し、開口部の遮熱・断熱性向上のあり方を見直す好機でもある。東京国際フォーラム施設部技術管理担当課長の古田雄氏は「これから気象条件の厳しい夏や冬がやって来ます。どの程度の効果を上げるのか、楽しみです」と、大きな期待を寄せている。




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