デジタル時代に、IT部門が輝くための鉄則
JP1 Version 12が実現する未来のシステム運用とは

コスト削減から生産性向上やビジネスへの貢献へ──。IT部門の役割が変わりつつある。しかし、その期待に応えることは容易ではない。企業システムはますます複雑化し、IT部門は煩雑なシステム運用に多くの人と時間を取られているからだ。ただし、この変革を実現しない限り、IT部門があるべき姿を手にすることは難しい。こうした課題を解決するため、日立製作所(以下、日立)とアシストは、JP1 Version 12を中核とした新しいソリューションの提供を開始した。これによりIT部門はどのようなメリットが得られるのだろうか。

システム運用を変革すれば、IT戦略がパワーアップする

株式会社 日立製作所 サービスプラットフォーム事業本部 IoT・クラウドサービス事業部 運用マネジメント本部 システム管理ソフト設計部 部長 堀江 亨氏
株式会社 日立製作所
サービスプラットフォーム事業本部
IoT・クラウドサービス事業部
運用マネジメント本部
システム管理ソフト設計部
部長
堀江 亨
 デジタル化の波があらゆる産業に押し寄せている。この中で熾烈な競争を勝ち抜き、さらなる成長を目指すため、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)によるビジネス変革に取り組む企業も増えつつある。これに伴い、経営サイドが求めるIT部門の役割も変わりつつある。システムを止めない安定性・信頼性やコスト削減に加え、業務改革や生産性向上の実現が強く求められているのだ。

 しかし、その実現は容易ではない。最近はクラウドや仮想化技術の活用でシステムの集約・統合が進む一方、AI/IoT技術やRPAの進化と業務への適用が拡大し、IT部門の管理対象範囲が格段に広がっているからだ。その監視・保守に人と時間を割かれ、IT部門の負担はますます高まっているのに、運用を担う人は一向に増えない。人手不足に加えて、熟練エンジニアの高齢化が進み、スキルの伝承も難しい。

株式会社 日立製作所 ITプロダクツ統括本部 プラットフォームエンジニアリング本部 テクニカルアカウント部 部長代理 瀬戸山 正幸氏
株式会社 日立製作所
ITプロダクツ統括本部
プラットフォームエンジニアリング本部
テクニカルアカウント部
部長代理
瀬戸山 正幸
 経営サイドの期待に応えるためには、現状のシステム運用を変革する必要がある。システムが今どうなっているか、何が原因でパフォーマンスが低下し、どこをどう対処すればいいか。それを一番詳しく分かっているのは、常にシステムを見守り、保守するシステム運用部門だ。「そのノウハウと運用データを活用した“攻め”のシステム運用を目指すべきであり、障害の未然防止による安定稼働やサービス品質の向上、データに基づく経営判断の支援やビジネス機会の創出など『価値を生むシステム運用』が必要になります」と日立の堀江 亨氏は訴える。

 システムの「今」を知ることで、本来のあるべき姿も見えてくる。目指すべき方向性を経営サイドに進言することで、ITシステム全体の最適化も進む。「この役割を担えるのは、システムに寄り添う運用部門しかありません」と日立の瀬戸山 正幸氏は語る。

シーズの創出に向けて日立とアシストがビジョンを共有

株式会社アシスト 東日本技術本部 システム基盤技術統括部 技術2部 部長 鈴木 武氏
株式会社アシスト
東日本技術本部
システム基盤技術統括部 技術2部
部長
鈴木 武

 日立はこのビジョンの実現を支援するソリューションの提供を開始した。それが統合システム運用管理ツール「JP1」の最新版Version 12である。

 この開発を進める上で、大きな役割を果たしたのが、パッケージ・インテグレータのアシストである。「当社では、メインフレーム時代から運用管理ツールを提供しており、お客様と共に運用部門の課題に長年向き合ってきました。その知見や経験を生かし、1998年からJP1を提供しています」とアシストの鈴木 武氏は説明する。既に同社が手掛けたJP1導入社数は3000社を超えるという。

 その中で把握した顧客の要望や期待は、毎年実施するエンハンス・リクエスト会議で共有しているという。「こうした活動を通じて、お客様のニーズを形にしてきましたが、これからは後追いではなく、時代を先取りした機能提供が求められる。ニーズに対応するだけでなく、シーズを創り出すことが重要と考えました」と瀬戸山氏は語る。

 ここからJP1 Version 12の開発ストーリーが始まった。「私たちの経験とお客様の声を基に、5年後、10年後を見据えた新しいJP1のビジョンとコンセプトを共に議論しました」と鈴木氏は話す。

データとAIを活用し、システム運用の高度化を実現

「Smart Facility Manager」の全体像 図1JP1のダッシュボード情報 システムのリアルタイムな状況を分かりやすいWeb GUIで表示する。システムごとの運用品質のほか、確認したいシステムをクリックするだけで該当するイベントが表示される。ジョブの実行状況、障害によって実行されない後続ジョブネットもすぐに分かる  こうして誕生したJP1 Version 12の強化ポイントは大きく3つある。

 1つ目はインテリジェント統合管理基盤「JP1/Integrated Management 2」(以下、JP1/IM2)を実装している点だ。様々な運用データの収集に対応し、そのデータをエンジニアのナレッジで関連付け、利用者の目的に応じてダッシュボード化する(図1)。「システムごとの運用品質を分かりやすいグラフや表で自動的にレポートし、システム健全性やインパクトを一目で確実に把握できます」と堀江氏は述べる。例えば、ジョブ管理製品である「JP1/Automatic Job Management System 3」(以下、JP1/AJS3)と組み合わせれば、「障害によって実行されない後続ジョブネットも即座に把握できるため、障害時における業務インパクトを簡単に把握できます。JP1/IM2を業務部門や開発部門に開放することで能動的なリカバリ対応の協力を得ることにもつながります」(瀬戸山氏)。

 さらに、「JP1/IM2」で集めた運用データは日立のIT運用向けAI(※1)と組み合わせることで、人手に頼っている膨大なイベント振り分け、エスカレーション要否の判定、該当する運用マニュアルの抽出まで自動化する。「ワークフローを高度化し、より短時間かつ少ない工数で的確な障害対応を実現できるのです」(瀬戸山氏)。熟練エンジニアのノウハウをモデル化することで、障害の予兆検知や推定要因の抽出も可能になるという。
※1 IT運用におけるAI活用ノウハウや技術。「IT運用最適化サービス」で提供。


 2つ目は自動化・管理対象の拡大だ。新バージョンでは自動化・管理対象の範囲を基幹業務だけでなく、バックオフィス業務にまで拡大、バックオフィス業務の自動化を促す「JP1/Client Process Automation」(以下、JP1/CPA)を新たに提供する。JP1/CPAを活用することで、RPA製品だけでは実現できないきめ細かなカレンダー実行、実行順序の制御ができる。さらに、JP1/CPAとJP1/AJS3を連携させることで、既存システム上で実行する基幹業務に加え、多種多様なRPAが実行する定型業務なども統合的に管理することができるようになる。「野良ロボットの乱立など、RPA特有の管理・運用面の難しさを解消し、IT部門の統制によるRPA全社活用が加速します」と堀江氏はメリットを述べる。

 そして3つ目がクラウド・OSSの対応強化である。定型業務を自動化する「JP1/AJS3」はAmazon RDS(Amazon Relational Database Service)と連携することで、データベースの自動バックアップや迅速な復旧を行うことも可能だ。今後はOSSベースの構成管理ツールであるAnsibleによるJP1環境設定を自動化するプレイブック(実行コマンド情報)も順次提供していくという。

 これらに加えて既存投資への保護に関する強化も行われた。以前から異なるバージョン間での互換性が担保されているが、JP1 Version 12では、Version 9までの過去3バージョン間での接続性が担保された(従来は過去2バージョン)。これは、ITインフラのライフサイクルが長くなりつつあるなかで、運用管理ツールが足かせとならないようにする日立らしい取り組みだといえるだろう。

「JP1×千里眼」がシステムのあるべき姿を明示する

「Smart Facility Manager」の全体像 図2JP1と千里眼の連携イメージ JP1/IM2は千里眼とのシームレスな連携が可能だ。多種多様な運用データ、構成定義を取り込み、ITサービス全体を可視化する。プロアクティブな障害対応が可能になるほか、運用改善に向けた施策づくりもサポートする  こうした機能強化によって、JP1は運用管理プラットフォームとしても大きな進化を遂げた。それを象徴するのが、アシストが提供する運用管理の可視化ソリューション「千里眼」との連携によるITサービス全体の可視化だ(図2)。JP1/IM2と千里眼を活用することで、リアルタイムかつプロアクティブな障害対応や、中長期的な運用改善、さらにはIT部門の価値向上につなげられるという。

 「例えば、経営層の中期経営計画や業務部門の事業計画を受けて、IT部門はシステムへのインパクトを確認。運用面、コスト面を加味した形で、トラフィックの急増や数年先を見据えたキャパシティプランニングを提案していくことも可能になります」と鈴木氏。つまり、ITシステム全体が今後どうあるべきか。定量的なデータを裏付けとして目指すべき姿を経営サイドに示し、その実現に向けた最適なIT投資計画を運用部門から発信することができる。「運用改善というIT部門に閉じた取り組みをもう1段引き上げ、業務部門や開発部門へのITサービスの魅せる化や、DevOpsをはじめとした開発部門・運用部門のコラボレーションの仕組み作りに向け千里眼を拡張していきます」と鈴木氏は語る。

 これに加え、アシストではシステム運用を最適化するアセスメントサービスも提供する。「システム運用を最適化するためには取り込むデータの品質が重要です。お客様から運用データを提供していただき、機能の有効活用や設定の見直しなど改善案をレポートします」(鈴木氏)。また、アシストが提供する推論型AI技術を中核としたソリューション「AEDAN(エイダン)」とJP1/CPAを連携させることで、企業の自動化の取り組みを強力に推進するという。

 煩雑な運用から解放されれば、IT部門はDX戦略により多くのリソースを注力できるようになる。“攻め”のシステム運用でIT部門の業務を変革し、全社的な競争力強化につなげていく。この実現に向け、日立とアシストは今後も緊密な協業を進め、データとAIの活用による運用の自動化・自律化をさらに加速していく考えだ。
お問い合わせ
株式会社アシスト 東日本技術本部 システム基盤技術統括部
TEL:03-5276-5565
E-mail:sk_info@ashisuto.co.jp