行政業務の効率化から市民参加型サービスまで加速するクラウド利活用

日本政府は、行政業務での積極的なクラウドサービス活用を促進していく方針を明らかにした。住民が求める行政サービスを柔軟かつ低コストに提供する手段として、クラウドサービスの活用には数々のメリットがある。中でも注目を集めるのが、個人情報など秘匿性の高いデータの管理に利用できる機能と体制を備えるアマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)だ。

 政府や自治体の業務をデジタル化する際、クラウドを活用すれば、官民連携によるサービス提供の加速、業務量の増減に対する柔軟な対応が可能になる。
 2018年6月に政府が発表した「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針(案)」の中では、政府の情報システムではクラウド活用を第一候補とする方針「クラウド・バイ・デフォルト」が打ち出された。2019年5月には「デジタルファースト法」が成立。行政手続きのオンライン化を積極的に推進することになった。

行政サービスの質の向上と住民接点の多様化を実現

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 パブリックセクター営業本部 本部長 大富部 貴彦 氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
パブリックセクター営業本部 本部長
大富部 貴彦 氏

 デジタルファースト法には、①手続きをITで処理する「デジタルファースト」、②同一の情報提供は求めない「ワンスオンリー」、③手続きを一度に済ます「ワンストップ」の3つの原則が求められている。将来は官民のデータも連携し利便性の高いサービスを住民に提供することも想定している。「AWSでは、官民連携オープンデータ基盤という1つの情報提供プラットフォームから、住民が求める様々な切り口の情報を、パソコンやモバイル、AIスピーカーなど多様な媒体を通じて提供するための支援をします」とAWSの大富部貴彦氏はいう。

 行政が住民の要望に応えるサービスをシステムとしてすべて提供することは困難である。新たな住民へのサービスの担い手として、市民や行政情報を活用するスタートアップ、民間企業などがクラウドを活用したサービスの基盤を提供すること、それが行政にAWSが提案するモデルである。

 例えば、AWSを活用した住民への情報提供を推進する米国シカゴ市では、Open Gridという行政・事業者・市民の共創に基づく情報提供プラットフォームを構築・運営している。OpenGridでは行政からのオープンデータを活用し、新たなサービスを構築する基盤をオープンソースとして非営利法人に運営を委託。サービスの開発はCivicTechやGovTechをはじめとする民間が主体となる。市民側は必要に応じて必要な情報を、必要な形で閲覧して活用する。必要なサービスがなければ、自らが開発者となることもできる。「このように、3者それぞれのニーズと役割を効果的につなぎ、利用者からのアクセスの増減にも柔軟に対応した運用ができるのは、クラウドだからこそです」と大富部氏は強調する。

インターネットを経由せずにAWSへの接続は可能

アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 パブリックセクター パートナーアライアンス本部 担当部長 天野 浩史 氏
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
パブリックセクター
パートナーアライアンス本部 担当部長
天野 浩史 氏

 自治体は、住民情報システムを厳重にインターネットから分離してきた結果、容易にクラウドが利用できない状況だ。一方、クラウドによって、同様の機能を持つ情報システムを最小限の労力とコストで構築・運用できると期待を抱いている。自治体がクラウドのメリットを享受するために、AWSは2方向からの取り組みを推進する。

 1つは、インターネットを経由せずに庁内ネットワークからクラウドを利用する構成である。AWSの天野浩史氏は「庁内ネットワークからAWS Direct ConnectやパートナーによるLGWAN ASPサービスを活用すれば、インターネットを経由せずにAWSに接続できます。AWS上に仮想プライベートクラウド(VPC)というお客様専用ネットワークを構成し、クローズドで接続することで、専用線でデータセンターにホスティングしているのと同様の環境を利用できます」という。

 もう1つは、住民の個人情報をクラウド上に置いて管理できる技術的な裏付けと法的根拠を明確にすること。自治体から、クラウド上の住民の個人情報を運用していいのかという判断基準に対する問い合わせが多いという。AWSはセキュリティとコンプライアンスを最重視し、第3者機関の認証や多くの政府機関の認定を取得。重要情報を取り扱うシステムを安全に運用できる。特に個人情報の取り扱いでは関係各所と連携をとり、自治体それぞれの判断での運用を支援している。基盤提供者とサービス利用者が協力し、クラウドのサービス全体を安全に運営することを責任共有モデルといい、一方に負担、責任が集中せずサービスを利用できる。

クラウドの特長を活かして行政にイノベーションを創出

 国内でも、AWSを活用する自治体が増えている。

 北九州市は、日立製作所と同社のLGWAN ASPサービスを活用し、LGWAN接続系業務をインターネットから分離しながらAWSを稼働させる実証実験を行った。「インターネット分離をふまえながら庁内業務をクラウドで運用するための取り組みが始まりました」と天野氏はいう。

 また、つくば市はブロックチェーンとマイナンバーを活用して、市民参加側のキャンペーンに機密性を保持した安全性の高い投票システムを導入。わずか3カ月という短期間で構築した。この先進的な取り組みには、ネット投票の可能性や、公的機関が市民の意見を収集する手段として大きな期待が寄せられている。

 「クラウドを活用してより良い世界への変革を目指す自治体の皆様の活動を支えるのが我々のミッションです。AWSのクラウドプラットフォームは、住民への新たなサービスの提供をはじめ、行政機関の業務効率の向上やコスト削減に貢献できると確信しています」と大富部氏は力強く語る。

AWSが提唱するスマートシティ ビジョン
AWSが提唱するスマートシティ ビジョン

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