ITインフラSummit 2019

CDN事業者がネットワークサービスに参入する理由
~クラウド型WANアクセラレータとSD-WANのシナジー

シーディーネットワークス・ジャパン
テクニカルコンサルタント マネージャ
中原 嘉隆

「ITインフラSummit 2019 夏」のソリューション講演に、シーディーネットワークス・ジャパンの中原氏が登壇し、「CDN事業者がネットワークサービスに参入する理由 ~クラウド型WANアクセラレータとSD-WANのシナジー」と題し、同社サービスの概要や強みなどを紹介した。

到着確認の省略やウィンドウサイズの
拡大などでWeb高速化を実現

シーディーネットワークス・ジャパン
テクニカルコンサルタント マネージャ
中原 嘉隆

CDNetworksはもともとCDN(Content Delivery Network)を軸に事業を展開しており、世界中で広く利用されてきた実績を持つ。中原氏は講演冒頭にて、実際にWebブラウザの開発ツールで大手カード会社のWebサイトのヘッダー情報を開き、参考となる利用事例を提示した。

中原氏は次にWeb高速化について話した。同社はCDNサービスのなかでキャッシュ配信とともに、アプリケーション(動的コンテンツ)高速化サービスを提供している。一般的にインターネットでは、オリジンのWebサーバーとエンドユーザー間のミドルマイル(距離が長く、伝送容量や効率が悪い海外区間)がボトルネックになりやすい。そのミドルマイルをCDNで高速化する。オリジンサーバーとユーザーはそれぞれ、CDNプラットフォームの最寄りのPoP(配信拠点)にインターネット回線などで接続し、PoP間で高速通信が行われる。

中原氏は高速化の仕組みを解説した。通常のTCP通信は毎回到着確認するため、ネットワーク上の距離が長いと、ACKの回答待ちでどうしても遅くなる。「Web高速化サービスでは、到着確認を毎回行わずデータをまとめて送ったり、一度使い始めたTCPコネクションは閉じずに再利用し、複数のHTTPリクエストを実行したりするなどの仕組みで、PoP間の通信を高速化します」(中原氏)。

パケットレベルでも高速化の仕組みを解説。「TCPヘッダーにあるウィンドウサイズ情報を利用し、ACKを待たずに一度に送信できるデータ量を増やします。さらにそのウィンドウサイズをどんどん増やすことで高速化します」(中原氏)。他にも、パケット損失時はロスした分だけすぐに再送するなどの仕組みもあわせ高速化している。

あらゆる通信を高速化できる
クラウド型WANアクセラレータサービス

中原氏は次に、同社のクラウド型WANアクセラレータサービスを紹介した。Web高速化を他の通信レイヤーでも行うことで、クラウド型のWANアクセラレーションを実現している。

「当社はグローバルで1500程度のPoPを保有しています。そのPoP間にて、HTTPのみならずFTPやPOP/SMTP、VPN、VoIPなど、TCP上の通信なら何でも高速化します。EmailからERP、CRM、SCM、ビデオ会議ツールなど、さまざまな業務システムを高速化できます」(中原氏)

通常のWAN高速化は、対向する拠点ごとにユーザー側で、高速化装置をオンプレミスで設置する必要がある。その点、クラウド型WANアクセラレータサービスなら設置は不要で、PoPに接続するだけで済むため、コスト削減をはじめさまざまなメリットが得られる。

もちろん、各拠点からPoPまではインターネット回線等でアクセスすることになる。中原氏はそのイメージを「目黒駅から大阪駅までの移動にたとえると、目黒駅から品川駅(PoP)までが在来線(インターネット回線等)で、品川駅から新大阪駅(PoP)までが新幹線(高速通信区間)、新大阪駅から大阪駅までも在来線になります」と語った。

クラウド型WANアクセラレータサービスでは、様々なTCP/IP上の通信に対応させるため、プラスαで追加技術を取り入れている。そのひとつがルーティング最適化だ。

「常にモニタリングし、PoP間で最も遅延の少ない最速経路をリアルタイムで分析して、最適なルートを検出しています。この仕組みは、CDNでWebサイト閲覧者を最寄りのPoPにアクセスさせる技術の応用になります」(中原氏)

PoP間ではさらなる高速化のために、独自のプロトコルチューニングも実施している。TCPは先述のとおり到着確認の回答待ちのため、信頼性を求められる通信に向いているもので、通信上の距離が伸びると遅くなる。一方、UDPは到着確認不要のため、通信は速くなるが、パケット損失が起きて信頼性は落ちる。そこで、TCPとUDPの“いいとこ取り”をすべく、独自のプロトコルカプセリングを行っている。

「具体的には送信側のPoPにて、UDPのパケットを通し番号つきカプセルで包み、最適化された経路上にどんどん流します。受け取り側のPoPではカプセルをほどくとともに、通し番号を確認し、もし抜け番があれば再送を要求します。この方法なら、到着確認の回答待ちが発生せず、かつ、パケット損失を防げるので、高速化と信頼性を両立できます。結果として、お客様の通信には何ら影響を与えず高速化できます」(中原氏)

加えて中原氏は最寄りのPoPへ接続する方法も解説した。CDNを利用する際のDNS CNAME解決を利用したPoP特定の仕組みを活用している。ユーザーの端末から一旦CDNetworksのドメインにCNAMEを回し、同社DNSが最寄り設備のPoPのIPアドレスを回答する。

「高速化装置をオンプレミスで設置する方式では、対向拠点間が1:1の関係となり、地理的制約が生じてしまいます。一方、この仕組みなら、最寄りのPoPがDNS解決で簡単にアサインでき、1:Nの関係になるので、地理的な利用箇所の制約を受けず、世界中のどこからでも利用できます。端末側にインストールや変更を何ら加えることなく使える点もメリットでしょう」(中原氏)

CDNetworksではクラウド型WANアクセラレータを発展させ、SD-WANサービスの提供を予定している。「当社のクラウド型WANアクセラレータはVPNも高速化できます。SD-WANはIPsecベースが多く、クラウド型WANアクセラレータと組み合わせました。すでに製品は完成し、現在はテストマーケティング中です」(中原氏)。

中原氏は続けて、中国国内での通信事情やテストマーケティングの結果を紹介した。講演の最後に、「当社のSD-WANはいわば高速化ソリューションからの派生です。令和元年はSD-WAN元年といえます。CDN事業者からSD-WANに必然的に行き着いた当社の強みを活かします。SD-WAN以外にも、お客様の利用サービスや提供ソリューションと、当社の高速化ソリューションの組み合わせを提供していきます」と意気込みを語った。

お問い合わせ

シーディーネットワークス・ジャパン

https://www.cdnetworks.co.jp/

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