「電話の常識」が働き方改革のボトルネックに 〜IT・総務部門が考えるべきテレワーク環境のポイント〜

働き方改革の必要性が声高に叫ばれているにもかかわらず、なかなか浸透していかないテレワーク。その要因の1つが電話の存在である。社内外のコミュニケーション手段として現在でも電話は重要な役割を果たしているが、まだ多くの企業では宅内PBX(電話交換機)が各オフィス内に残っているため、社外から会社の電話を使えない状況だ。もちろんPBXをクラウド化するサービスは既に提供されているが、電話番号のポータビリティが確保できず現在利用している電話番号が変わってしまうため、導入に二の足を踏んでいる企業も少なくなかった。しかし最近ではその問題も解決可能になっている。ここではその具体的な手法を紹介したい。

社外で使えない「固定電話」がテレワークのハードルに

政府の強力な旗振りもあって、急速な勢いで進みつつある日本企業の働き方改革。しかしその重要な柱であるテレワークは、実はまだそれほど浸透していない。総務省が公表した「平成30年通信利用動向調査」によれば、2018年における普及率は19.1%。まだ8割の企業がテレワークを導入していないのである(図1)。

図1 日本企業におけるテレワークの導入状況

図1 日本企業におけるテレワークの導入状況

2018年におけるテレワークの導入状況(総務省「平成30年通信利用動向調査」から)。日本企業のテレワーク導入率は19.1%にとどまっており、まだ8割以上が導入に至っていない

この数字を見て意外に思う読者もいるかもしれない。テレワークの実現を目指し、モバイル端末やクラウドサービスの利用を開始した企業の事例は、これまで数多く報道されているからだ。そうした企業では電子メールのクラウド化に加え、社内ビジネスチャット、Web会議などを導入しているケースも多い。またシンクライアントを導入し、社外でも社内と同様のIT環境を利用できるようにしている事例も増えている。

シスコシステムズ合同会社 業務執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当石黒 圭祐氏

それでもなぜテレワークが広がらないのか。その理由としては、テレワークに対応した制度改革や、社員の意識変革がなかなか進まないといったことが挙げられるだろう。それに加え、テレワークを支える道具立てが不十分という理由も考えられる。その最たるものが「電話」である。

ビジネスチャット、Web会議といった新しいコミュニケーションツールを導入している企業でも、その用途は社内コミュニケーションに限られていることが多い。顧客や取引先といった社外の人々とのコミュニケーションは、現在でもほとんどが電子メールや電話で行われているはずだ。ほかのコミュニケーション手段の利用が広がったとしても、電話がなくなるとは考えにくい。

なぜ、電話がテレワークの阻害要因になるのか。それは現在でも多くの企業が、オフィスの電話環境をPBXで運用しているからだ。PBXがオフィスごとに設置されている以上、外線の発信や着信は社内で行うしかない。そのため社外で活動することの多い社員でも、1日のうち何度かは電話のために会社に戻る必要が生じてしまうわけだ。

もちろん社員に携帯電話を支給し、社外でも電話を利用できるようにするという方法もある。しかしこれはコストがかかるため、すべての企業で実施できるわけではない。また、携帯電話を支給している対象も営業職などに限定されるケースが多い。その結果、全社規模でのテレワーク導入がなかなか進まない、という状況に陥ってしまうのである。


外線番号を変更せずに導入できるクラウドPBX「Cisco Webex Calling」

シスコシステムズ合同会社 業務執行役員 コラボレーションアーキテクチャ事業担当石黒 圭祐氏

こういった問題を根本から解決できるソリューションが、2019年10月に発表された。それが、シスコシステムズとKDDIの協業によって実現したクラウドPBX「Cisco Webex Calling」である。

「このサービスのコンセプトは、内線電話や外線接続に必要なすべての機能をクラウドに移すことにあります。PBXが担う機能がクラウドへと移行すれば、インターネットなどのネットワークがつながる場所であればどこででもスマートフォンやPCなどにインストールしたアプリから会社の電話番号をそのまま利用し、発着信ができるようになります。これを利用することでPBXの宅内設置が不要になり、現状必要になっているPBX運用管理の依頼、委託などの手間やコストも軽減できるのです」とシスコシステムズの石黒 圭祐氏は説明する。

Cisco Webex Callingは、これまでに提供されてきたクラウドPBXとは、大きく異なる点がある。それは、従来のクラウドPBXでは外線番号を「050」などのIP電話番号に変更する必要があるのに対し、Cisco Webex Callingでは既存の外線番号をそのまま使い続けられる点だ。

「Cisco Webex Callingは、KDDIとの協業によって、『03』や『06』といった『0AB〜J』番号を、そのままクラウドへと移すことが可能になりました。そのため社外からの着信は従来と同じように行うことができ、電話番号が書き込まれた名刺を印刷し直す必要もありません」(石黒氏)

大まかなシステム構成は図に示す通りだ。利用企業の拠点とクラウドPBXの機能を提供するCisco Webex Callingをインターネットで接続、さらにKDDIの電話基盤が直結されている。これによってPSTN(公衆交換電話網)の電話回線をクラウド側に直収できるようになったわけだ(図2)。

図2 Cisco Webex Callingの構成

図2 Cisco Webex Callingの構成

Cisco Webex CallingのクラウドPBX機能をKDDIのPSTNに直結することで、PSTNの電話回線をクラウド側に直収している。これによって電話番号のポータビリティが確保できるようになった

端末としては専用アプリを導入したスマートフォンやPCを利用。また固定電話機としても使いやすいように、Cisco Multiplatform Phone(MPP)と呼ばれる物理電話端末も用意されている。いずれにしても、社内・社外を問わず、既存の外線番号をシームレスに利用できる。

なお、ほかのキャリアとの一括契約を既に行っているためKDDIのPSTN回線利用が難しい場合には、宅内にゲートウエイ装置を設置してKDDI以外のPSTN事業者の回線に接続することも可能。ゲートウエイの有無といった違いはあるものの、基本的な機能は同様である。


利用者の利便性向上だけではなくコスト削減も可能

電話番号のポータビリティが確保できるのであれば、クラウド化のハードルは大幅に下がることになる。電話番号の変更が必要だという理由でクラウド化に二の足を踏んでいた企業でも、導入しやすいはずだ。クラウド化で心配なのは不正利用のリスクだが、これについても防止できる仕組みが実装されているという。

さらにBYOD(個人所有携帯の社内利用)の推進も容易になる。個人が所有するスマートフォンに専用アプリを導入すれば、オフィス内の固定電話機を減らし、ユーザー数をベースに最適化することができるため、電話そのものにかかるコスト負担も大幅に軽減する。また利用者にとっては、会社用と個人用の2台持ちが不要になるため、持ち運ぶ端末が減るというメリットもある。「携帯電話を内線化するため既にFMCサービスを導入している企業でも、PBXそのものは残さざるを得ないため、PBXレスのCisco Webex Callingの導入は根本的なコストダウン効果をもたらします」(石黒氏)。

そしてもう1つ注目したいのが、Cisco Webexというサービスには電話機能(Cisco Webex Calling)だけではなく、ビジネスチャット(Cisco Webex Teams)やWeb会議(Cisco Webex Meetings)などの機能もラインアップされていることだ。そしてこれらのサービスは、Cisco Webex Control Hubと呼ばれるWeb管理画面からシームレス統合管理できるようになっている。これにより従来のソリューションごとに必要になっていた管理者の管理負担も軽減できる(図3)。

図3 統合管理ポータルCisco Webex Control Hubの管理画面例

図3 統合管理ポータルCisco Webex Control Hubの管理画面例

電話だけではなくチャットやミーティング、ビデオ端末などのハードウエアも同時に管理していることがわかる

「当社が最終的に目指しているのは、このような使い勝手の良いツールを、より多くの会社に使いこなしていただくこと。電話番号のポータビリティ実現は、その一環ですが、ほかにも様々な施策を展開しています」と石黒氏は話す。

その1つが「働き方改革支援特別プラン」の提供だ。いま契約を申し込めば、3カ月の無償トライアルに加え、契約初年度は全従業員数に対し15%のライセンス契約のみで全社員がCisco Webex Meetingsを利用できるという。

このようなサービスを活用すれば、テレワークを阻害する最後のハードルも、軽々とクリアできるようになるだろう。今後、働き方改革に伴うテレワークの推進を検討しているのでれば、有力な選択肢の1つといえそうだ。

※Cisco Webex Callingには「Enterpriseライセンス」「Basicライセンス」「Placeライセンス」が用意されており、チャットや資料共有・編集などの電話以外の機能を使う場合には「Enterpriseライセンス」が必要。


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