コネクテッドカーの課題を解決に導くセキュアな新車載マイコン

USB Type-CのコントローラICをいち早く商品化したサイプレス セミコンダクタは、USB Type-Cコネクタの更なる普及と電気電子機器廃棄物の削減を目指すべく、新たなソリューションを発表した。同時に、パソコン、スマートフォンをはじめ、テレビやバッテリーチャージャー、電源など、様々な機器の移行を見据え、開発キットもリリース。USB Type-Cを電源端子として自社製品に組み込むことを容易に実現する。

 USB Type-Cは、AppleのiPhoneで採用されているライトニングコネクタと同じく表裏対象構造になっているため、どちらの向きでも挿し込むことができる。また、双方向に最大100Wまでの電力を供給できるパワーデリバリー(PD)機能や、USBではないインターフェースの規格、例えばHDMIやDisplayPortなどのディスプレイインターフェースに対してもオルタネートモードで使用できる特長がある。Type-Cは、万全の機能を有したインターフェースコネクタと言えるかもしれない。

スマホ、パソコンでUSB Type-Cへの移行が進む

山田 祥之 氏 サイプレス セミコンダクタ ワイヤード部門 マーケティングディレクター
山田 祥之氏
サイプレス セミコンダクタ
MCU & コネクティビティ事業部
ワイヤード部門 マーケティングディレクター

 サイプレス セミコンダクタ MCU & コネクティビティ事業部ワイヤード部門マーケティングディレクターの山田祥之氏によると、アンドロイドスマートフォンの98%がType-Cコネクタに移行し、パソコンもType-Cを採用するモデルが増えているという。その他、スマートスピーカーやカンファレンスシステム機器、ウェアラブルカメラなど。日本製品ではゲーム機でType-Cが使用されているものがある。

 Type-Cの狙いは、様々なコネクタを統一し、共通化することだ。ディスプレイのインターフェースであるDisplayPortやHDMI、PCI ExpressとDisplayPortを併せ持つThunderboltなどは、オルタネートモードとして置き換えられる。Type AやType B、Mini-USB、Micro-USBなど、従来のUSBコネクタももちろん可能だ(図1)。これらに加え、電源アダプター用バレルコネクタもType-Cに置き換えてユニバーサルな電源アダプターを実現するのが、サイプレスが提案するEZ-PD™ Barrel Connector Replacement (BCR) ソリューションである。

図1 DisplayPortやHDMIのようなディスプレイだけではなく、様々なインターフェースがType-Cに移行されようとしている
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Type-Cへの共通化は社会課題の解決にもつながる

 バレルコネクタは、ビデオレコーダーやシェーバー、パソコン、アンドロイドスマートフォン、スマートスピーカーなど、生活に身近な製品の電源アダプターとして使われている。これらの使用電圧と電流は、機器によってもメーカーによってもバラバラであるため、同じバレルコネクタであっても、それぞれ専用の電源を必要とする。当然、機器を買い替えると古い電源アダプターの使い道はない。

 「ある調査によると電源アダプターは毎年100万トンも出荷されており、その出荷量は加速度的に増加しています」と、山田氏は危機感を募らせる。電源アダプターに代表される電気電子機器廃棄物は、e-Wasteとも呼ばれ、地球規模の社会課題になっているからだ。山田氏は、「USB Implement Forumでは、今後、モバイル製品にはType-CのPDを採用しようと呼びかけていました」と紹介する。電源のType-Cへの統一は、利便性の向上だけではなく、e-Wasteの削減にもつながるのである。

 サイプレスが提案するType-CのPD機能は、電源電圧を変えられるという特長がある。最大100Wの規格に沿えば様々なデバイスの電源として使えるので、新製品にアップグレードしても電源を変えなくていい。従来は、デバイスを充電するためにはUSB-Type A、チャージャーを充電するためにはMicro-USBを使う場合が多いが、100VのプラグとUSB Type-Cコンセントがついたチャージャーであれば、ユニバーサルな電源となる(図2)。

図2 Type-Cの電源アダプター。DC側はType-CのPDを電源として使う
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 「個々のデバイスに個々のチャージャー、それを1つに。これがBCRソリューションのコンセプトです。e-Wasteの削減も大きなモチベーションになっています」と山田氏は語る。

25ドルの開発キットでソリューションの評価が可能

 サイプレスは、BCRソリューションのリリースと同時に、開発キット「EZ-PD BCR Kit(CY4533)」(図3)の提供を開始した。「EZ-PD BCR Kit(CY4533)」を使えば、メーカーはUSB PD 給電に対応したプロトタイプを、わずか3つのステップで素早く製作することができる。電源電圧は5V、9V、12V、15V、20Vの5種類だが、これらの電圧は抵抗分割されているため、その比率を変えれば他の電圧にも設定できる。この開発キットはオンラインで購入可能。価格は25ドルなので、手軽に試作することができる。

図3 開発キット「EZ-PD BCR Kit」
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 メーカーは設計するデバイスの電源電圧に合わせて、いくつかの抵抗素子とサイプレスのUSB Type-CコントローラICチップ「CYPD3177」をデバイスに搭載し、電源端子をType-Cにすればいい。サイプレスのUSB Type-CのコントローラICチップ「CYPD3177」は、24ピンのQFNパッケージで提供。最大5Aまでの電流に対応している(図4)。

図4 USB Type-Cコントローラを搭載した開発キットのブロック図
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電源のあるすべての製品に向けて

 「今後、Type-Cは自動車内での充電やIoTデバイスなどにも広がっていくと予想されます。近い将来には、ビジネスや日常生活、レジャーなど、様々なシーンでType-Cを起点に電源を取ることになるはずです。それに向けて、まずは皆様に開発キットを使っていただき、簡単にシステムを変えられることを周知できればと考えています」(山田氏)

 BCRソリューションのターゲットは、電源のあるすべての製品だ。その広大なマーケットで、煩雑なチャージャーを1つにまとめることでユーザーの利便性を向上させるとともに、e-Wasteという社会課題を解決に導くソリューションは、どのように評価されるのだろうか。2014年8月にUSB Type-CコントローラICをいち早くリリースして以降、グローバルでトップシェアを誇るサイプレス。その知見を活かした今後の展開に注目したい。

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