日経 xTECH Special

金属代替で自動車を軽量化   急速に進む電子化にも最適

高耐熱で安定した材料性能を実現 DSMのスーパー・エンプラ「ForTii®Ace」

金属部品の置き換えや回路用コネクタなどに適した材料として期待されているエンジニアリング・プラスチック。ガラス転移温度160℃、融点335℃など、高い耐熱性を備えたスーパー・エンジニアリング・プラスチック「ForTii®Ace」(フォーティー エース)をオランダに本社を置くDSMが開発した。

サステナビリティを重視して事業を進めるDSM

姜 氏
ディーエスエムジャパン エンジニアリング
プラスチックス株式会社
日本地域コマーシャル本部
取締役事業本部長
姜 信良

 ライフサイエンスとマテリアルサイエンスのグローバルカンパニーであるDSMは、食品や栄養補助食品、飼料、パーソナルケア、医療機器、環境に配慮した製品および用途、モビリティやコネクティビティなどの分野に革新的なソリューションを提供している。

 DSMのマテリアルサイエンス事業のソリューションを日本で扱っているのが、2003年に設立されたディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス株式会社だ。2013年には横浜市にジャパンテクニカルセンターを開設し、評価や試作を日本国内で完結できる体制を敷くなど、サポート体制の拡充も図った。

 「DSMは、最先端のテクノロジーを活用して高付加価値な製品を提供するとともに、サステナブルな社会の実現を目指しています。近年注目されているSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に取り組んできたこともあって、その活動はグローバルに認められており、2017年にはFORTUNE誌の『世界を変える企業』の2位に選ばれました」と、ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス株式会社の姜(かん)信良氏は述べる。

 そのため、エンジニアリング・プラスチックおよびスーパー・エンジニアリング・プラスチックを扱うマテリアルサイエンス事業部門では、材料の生産に再生可能エネルギーを使うなど、サステナビリティの実現に向けたさまざまな取り組みを行っている。

 さらに、「当社が開発したスーパー・エンジニアリング・プラスチック『ForTii®Ace』を金属部品と置き換えることで、自動車の軽量化などに活用していただき、CO2排出量削減に寄与していきたいです」と姜氏は語った。

「ForTii®Ace」が安定した材料性能を実現

 耐熱性の高いエンジニアリング・プラスチック(通称エンプラ)は、自動車や電子機器をはじめ、生活や社会のさまざまなところで使われている。とくに応用が広がっているのが自動車だ。厳格化が進む排ガス規制に対応するために、車両重量のさらなる軽量化を図って燃費を向上させることが急務となっており、金属部品の代替としての採用が進められているためだ。

 エンジニアリング・プラスチックよりもさらに耐熱性に優れる樹脂素材がスーパー・エンジニアリング・プラスチックだ。通常のエンジニアリング・プラスチックでは難しい自動車のエンジンルームなどでも使えるため、金属部品をさらに置き換えられるとして注目されている。

 DSMが開発したスーパー・エンジニアリング・プラスチックが「ForTii®Ace」(フォーティー エース)である。耐熱性を表すガラス転移温度(Tg)が160℃であり、安定した材料性能を実現した(図1)。

 「ForTii®Aceは、当社が展開するエンジニアリング・プラスチックおよびスーパー・エンジニアリング・プラスチックの幅広い製品ポートフォリオにおいて、フラグシップに当たる材料です。業界トップクラスの耐熱性を備え、耐薬品性にも優れており、自動車のほか、回路用コネクタや水回り機器などでの採用が進んでいます」と姜氏は説明する。

Tg160℃まで安定した材料性能

Tg160℃まで安定した材料性能グラフ
図1

これからの10年を見てみると、アジア太平洋をはじめとした海外の成長を取り込むために、グローバルカンパニーとの競争がより激化していくことが見込まれる。