Looop

再エネ活用の一貫したサービスで成長
分散型エネルギーシステムづくりを目指す

太陽光事業や小売電気事業などを手掛けるLooopは、2011年の創業以来、持続的な成長を遂げてきた。現在、エネルギーを取り巻く制度や市場環境は大きく変化しつつある。こうした中、Looopは集中型から分散型エネルギーシステムへのシフトを見据えて様々な取り組みを始めている。注力しているのが、一般家庭と街レベルでの最適なエネルギーシステムづくり。さいたま市との共同事業など意欲的な施策は、災害に強い街づくりという観点でも注目されている。

再エネ設備の開発から保守、
電力小売りまで一貫したサービスで成長

小嶋 祐輔 氏
株式会社Looop
取締役
電力事業本部 本部長
小嶋 祐輔 氏

エネルギー分野のイノベーションを目指すLooopは、2011年4月に設立された。東日本大震災を受けて、エネルギーの危機が叫ばれ始めたちょうどその頃である。

 「創業者の中村創一郎(現・Looop代表取締役社長)は、まず被災地に出向いて太陽光パネル設置のボランティア活動を行いました。その後、太陽光発電所の設置や設備の販売、自社発電所の建設・運営、電力小売り、家庭用の太陽光・蓄電池の設備販売などにビジネスを広げ、継続的な成長を遂げています」と語るのは、Looop取締役電力事業本部本部長の小嶋祐輔氏である。

 創業した2011年に、太陽光発電設備として「MY発電所キット」を販売。2014年には太陽光発電所の保守管理サービス「まもるーぷ」を開始。2016年には基本料金0円の「Looopでんき」、2018年には太陽光自家消費設備製品として「MY自家消費セット」を商品化した。

 着実に法人と個人の顧客を増やし、2018年度には売上高540億円を超えた。固定価格買取制度(FIT)による太陽光事業の伸び、2016年4月の電力小売全面自由化後の小売電気事業などが成長エンジンになったという。

 様々な制度変更に対応しながら、事業エリアを広げてきたLooopが掲げる理念は「エネルギーフリー社会の実現」である。小嶋氏は「エネルギーコストを下げて、究極的にはゼロにしたい。それにより、社会の発展に寄与したいと考えています」と話す。

 Looopは再エネ設備の開発から保守、電力小売りまで一貫したサービスを提供している。発電設備を「つくる」、電気を需要家に「届ける」に加えて、人々のスマートライフを支援することが同社の事業の3本柱だ。

エネルギーフリー社会の実現とは
電力自由化を経て必然的に生まれてくる発電・送配電・小売の新しい形を再エネを中心に社会実装することで、エネルギーを中心とした「限界費用ゼロ」の社会の実現を目指します。
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集中型から分散型へのシフトに対応
自家消費を含めた新サービスを開発

 現在、エネルギー関連の制度は大きな曲がり角に差し掛かろうとしている。小嶋氏は「電力小売全面自由化後の『踊り場』を迎えている」という。一方で、再エネに対する関心は高まっているようだ。

 「2018年の北海道胆振東部地震をきっかけに発生したブラックアウト、2019年の台風がもたらした大規模停電などにより、系統に頼らない電源の重要性が注目されるようになりました。また、SDGsに取り組む企業が増えており、再エネや非化石電源の持つ価値も高まっています」と小嶋氏は言う。

 こうした環境変化を受けて、エネルギー供給の仕組みも変わろうとしている。注目される動きとしては集中型から分散型システムへのシフト、関連サービスの多様化、デジタル化などがある。同社は培ってきた技術やノウハウをベースに、時代の変化に対応しようとしている。

 「例えば、欧州ではエネルギーマネジメントシステムによる系統運用の効率化が進んでおり、家庭では太陽光や蓄電池、電気自動車(EV)をつなぐ循環型の仕組みが普及しつつあります。また、米国ではエネルギーと農業、輸送など他産業が連携する動きが目立ちます。こうした動きを注視しつつ、海外の知見を取り入れながら国内のみならず、いずれは海外でも事業を展開していきたいと考えています」(小嶋氏)

 Looopが特に注目するのが集中型から分散型システムへのシフトだ。前述したMY自家消費セットなどはこの中に位置付けられるが、同社は新たなサービス開発を通じて積極的に分散型を推進する考えだ。

 「太陽光発電の余剰電力をFITで系統に高く売るというのが、これまでの基本的な考え方でした。太陽光発電設備は安くなっているとはいえ、FITの買取価格も低下する一方です。そこで、最近は自家消費を真剣に検討する法人や個人が増えています。当社はこうしたニーズに対応するサービスを提供していく考えです」と小嶋氏は説明する。

自立分散エネルギーシステムは
災害に強い街づくりにもつながる

 集中型から分散型へのシフトを進める上で、エネルギーコントロールは極めて重要な要素だ。日本では電力全面自由化まで、需要側では法人だけがエネルギーコントロールの対象と見なされてきた。そのため、個人及び個人と法人の集合体としての街のレベルでは、ほぼ手つかずの状態だった。Looopが注目するのはこのエリアだ。

エネルギーコントロールの全体像
2016年の電力自由化まではあまり行われなかった領域
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 「個人向けでは、系統の需給状況を通知し需要家の行動変容を促すことによるデマンドレスポンスの実現、蓄電池などのエネルギー機器の提供、電気機器や電気自動車関連のサービスなどを提供します。また、街のエネルギーコントロールにも取り組んでいます」(小嶋氏)

 デマンドレスポンス(DR)の対象はLooopでんきのユーザーである18万を超える一般家庭である。前日の価格などを参考にして、価格の高い時間帯について、インセンティブを用意してユーザーに節電を要請している。小嶋氏は「家族が多い家庭では、ゲーム感覚で節電しているようです」と語る。より効果的なDRを目指して、同社はさらに工夫を重ねていく考えだ。

 エネルギー機器の分野では、2016年度からリソースアグリゲーターとして実証実験に参画。一般送配電事業者からの需給調整依頼を受けて、同社が各家庭に設置した蓄電池を制御する仕組みを実現した。さらに、2017年度からは負荷平準化などに役立つバーチャル・パワー・プラント(VPP)の実証事業に取り組んでいる。

 街のエネルギーコントロールという分野では、さいたま市との共同事業が注目されている。これは環境省に採択された補助事業で、2020年度以降の導入が予定されている。

 「再エネを有効活用する上では、電気を近場で使うことがポイントです。太陽光発電による電力を家庭で使い、使い切れない余剰分は近隣に提供する形が望ましい」と小嶋氏。こうした考え方から、さいたま市の52戸を対象に、自立分散型のエネルギーシステムづくりに取り組んでいる。

 「余剰電力の行き先としては、蓄電池や給湯器、EVなどがあります。ここに、近隣への融通が加わります。まずはEVあり/なし、蓄電池あり/なしというように、いくつかの組み合わせパターンを用意して、パターンごとの再エネ活用度などを分析します。その実績を基に、再エネ活用度のより高い方法を見出していきます」と小嶋氏は話す。

 災害に強い街づくりにつながるため、さいたま市のサポートも大きい。同じような仕組みを必要とする自治体や地域は多いはずだ。

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