みんな電力

メディア企業と生活者がともに考えるべき
再エネに根ざした新しいライフスタイル

「顔の見える電力」をうたう「みんな電力」のトップと、リスナーを巻き込んだ再生可能エネルギー(再エネ)活動に取り組むTBSラジオのトップがパネルディスカッションで、再エネに根ざした企業や一般の生活者の“これから”について、熱い議論を交わした。モデレーターは、日経エネルギーNext編集長の山根小雪。

企業トップの決断が
再エネ推進の原動力に

大石 英司 氏
みんな電力株式会社
代表取締役社長
大石 英司 氏

──まず、再エネへの取り組みについて、具体的にどのようなことをされているか、お聞かせください。

みんな電力 大石英司氏:再エネについて、私がいつもお伝えしていることがあります。それは、みなさんの使う電気は必ずどこかの発電所につながっているということ。言い換えれば、家庭の電気代1万円なり、企業の電気代100万円なりが、化石燃料を使ってCO2を出す発電所や遠い国の石油王のところに行くのか、あるいは、福島で復興のために太陽光発電を推進している会社や故郷の水力発電所に届くのかということです。今では、それがみなさんの意志で選べる時代になったのです。

 「みんな電力」は、電力の生産者が分かる「顔の見える電力」が大きな特徴です。30分単位で使用量が示されるだけでなく、それぞれの時間帯で、どの発電所で発電された電気が何パーセント使用されているかを示す「電力トラッキングサービス」を実施しています。ブロックチェーン技術を用いたトレーサビリティシステムで、世界で初めて商用化したものです。

TBSラジオ 三村孝成氏:2018年12月8日、私たちTBSラジオの戸田送信所の電力を、みんな電力へ切り替えました。これにより、TBSラジオは再エネ100%化を実現し、すべての番組が自然エネルギーでリスナーに届けられることになりました。

戸田送信所
TBSラジオの戸田送信所。自然エネルギーで送信されている

──そもそも、みんな電力とTBSラジオの関係のきっかけは何だったのでしょうか。

三村 孝成 氏
株式会社 TBSラジオ
代表取締役社長
三村 孝成 氏

三村氏:私が社長になったのは昨年(2018年)のことですが、社長就任直前に大石さんと出会ったとき、大石さんの人柄と主張に共感をもったのと同時に、再エネは企業価値を上げるきっかけになるのではないかと考えたわけです。

──再エネを利用するだけでなく、リスナーに対する啓発活動を始めたり、「みんな電力」へ出資もしていますよね。なぜ、そこまで前のめりになったのでしょうか。

三村氏:メディア企業というのはリスナーが最大のお客様であり、お客様に対して何を提案できるのかが、その価値を左右するといっても過言ではありません。70年間も同じことをやり続けているのですから、サービスの新しさより、姿勢やメッセージの新しさが大事になってきます。そこで、自分たちが再エネ100%にするだけでなく、そのライフスタイルをお客様に提案するのがメディア企業として最大の役目と考えたのです。

大石氏:三村社長は自ら人気番組の制作プロデューサーたちを集めて再エネの大切さを伝えてくれました。それによって再エネへかける社内の熱量がどんどん高まり、さらにパーソナリティーや460万リスナーに伝播していったという理想的な展開でした。

三村氏:再エネ転換のような大きなテーマは、トップが決断しないと容易には動かないと思います。もし、私が部下から再エネを提案されても、こうは決断できなかったことでしょう。トップの私が積極的に動き、大石さんにも社内で講演もしてもらったことで、想像以上に社員の意識が高くなっていきました。

──「顔の見える電力」は、具体的にTBSラジオでどのように活用されているのでしょうか。

大石氏:番組内では、当社の電力トラッキングサービスを利用して、例えば「10時から10時30分まで○○県の××発電所でつくられた電気を使用しています」というような放送をしています。これを聞いた発電所の関係者は、TBSラジオに使ってもらい、なおかつ聴取者にそれを伝えてくれているということで、とても喜んでやりがいを感じてくれます。

三村氏:「顔の見える電力」は、やりたかったことの1つです。ミュージシャンでは自分で発電している人もいるので、そのうちに「○○さんが発電した電気で、××の曲をお願いします」というリクエストも可能になることでしょう。電気というのは、どこでつくっても見分けがつきませんが、こうすることで人格が出てくるわけです。このストーリーがラジオ向きなのかもしれませんね。

再エネの使用で企業価値が上がる
電気はバリューで選ぶ時代に

──広告主やリスナーの反応はいかがですか?

三村氏:残念ながら、再エネに転換して啓発活動をしたからといって、TBSラジオの業績が上がったわけではありません。しかし、この積み重ねこそが、持続可能な社会の実現につながると同時に、企業の持続的な成長にとって必ず生きてくると考えています。広告主の関心の高さも非常に強く感じています。いずれは広告収入という即物的なメリットにもつながることでしょう。

 リスナーに対する目標は、460万人全員が「みんな電力」と契約してもらうことです。極端に聞こえるかもしれませんが、逆に言えばそれだけの力がなければメディアとしての価値がないとさえ思っています。

大石氏:そもそも、再エネを使わないことには地球環境が守れません。「みんな電力」でも、環境に対して先進的に取り組んでいる取引先企業が増えています。再エネに替えることで、株価の上昇、意識の高い若者の採用、話題性の向上などが期待でき、再エネを使うかどうかで企業価値も上下します。今や、電気はコストではなくバリューで選ぶ時代になったといえるでしょう。

みんな電力大石 英司 氏×TBSラジオ 三村孝成氏:モデレーター日経エネルギーNext編集長 山根小雪

──「短期間で結果は出なくても、いい会社で長く持続する会社」と判断され、投資対象として評価されることは、まさにSDGsの王道でもありますね。ところで、再エネのライフスタイルを生活者に広げるためには、具体的にどうすればよいでしょうか。

三村氏:まずは、メディア企業の意識を変えることが先決だと思います。メディア企業には、リスナー=生活者にライフスタイルを直接訴えかけることができるという特質がありますが、残念なことに一般企業よりも意識が古いのが実情です。訴える立場にあるメディア企業の頭が古ければ話になりません。

 そこで私は、同じ意識をもつメディアの仲間を増やすために、暇さえあれば再エネの重要性を出版社や新聞記者に伝えています。メディア企業というと、これまでは上から目線で情報を教えるというイメージでしたが、これからは一緒に新しい未来をつくっていくというやり方でないといけません。その象徴が、この再エネだと私は思うのです。

大石氏:誰も気候変動が進んでほしいとは思ってはいないでしょう。再エネを使うのは当たり前という今だからこそ、次にどうやれば再エネで企業価値を上げることができるのか、そしてどうすれば生活者を巻き込めるのか、すぐに結論は出ませんが、メディア企業だけでなく、サプライチェーンやBtoCの事業を展開している企業も巻き込んで一緒に盛り上げていきましょう。

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