三菱UFJリース/MULユーティリティーイノベーション

太陽光発電の新しいビジネスモデル
PPAサービス導入のメリットと注意点

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の終了が現実化する一方で、SDGsの目標達成には太陽光発電の活用は不可欠である。FITに代わる新しいビジネスモデルとして大きな注目を集めているのが、PPAモデル(第三者所有モデル)である。その実例やメリット、導入時の注意点などを、三菱UFJリースと、その関連会社であるMULユーティリティーイノベーションの担当者が解説した。

沖縄・宮古島市のベンチャーへ出資
SDGsの目標達成に貢献

佐部利 憲威 氏
三菱UFJリース株式会社
環境・エネルギー事業部
エネルギーソリューション開発課
次長
佐部利 憲威 氏

 講演の冒頭で、三菱UFJリース(MUL)の佐部利憲威氏は、再エネ分野における同社の歩みを紹介した。MULは2001年からESCO事業を開始し、環境関連の主力事業として再エネ発電事業への出資およびファイナンス、省エネ設備の導入支援を行ってきた。2012年からは、メガソーラー事業への融資・出資を拡大し、2015年には再エネプロジェクトの中核企業として「MULエナジーインベストメント」を設立している。

 「近年では、FITに頼らないビジネスモデルの確立を目指してきました」と佐部利氏は語る。2018年にはMULユーティリティーイノベーションを設立し、太陽光発電の第三者所有モデルであるソーラーPPAの販売を開始するとともに、金融会社としてはじめてVPP(Virtual Power Plant=仮想発電所)実証事業に参画している。今後の成長事業として、ソーラーPPA、VPP事業のほか、太陽光ポートフォリオマネジメント、海外の再エネ発電事業へのファイナンス推進を位置づけているという。

 MULの再エネ関連企業への出資・協業の具体例として、沖縄県宮古島市の「PV・エコキュート普及事業」がある。これは、MULも出資している宮古島未来エネルギーというベンチャー企業を主体として、太陽光発電システムやエコキュートなどを無料で設置し、地域住民にエネルギーを供給するという事業である。

 「2018年度に、宮古島市の市営住宅40棟202戸に、太陽光発電システム1217kW、エコキュート120台を第三者所有で設置しました。つまり、住民の初期負担ゼロで太陽光電気エネルギーを届け、エコキュートで温水を利用していただき、従量制でお金を請求するというシステムです。これにより、各家庭の燃料費は1割程度低減しました」と佐部利氏はその成果を説明する。

 このシステムでは、低位出力帯での余剰電力を、沖縄電力に対して相対契約で売電している。そのため、電力会社にとっても、発電コストの低減とともに、ディーゼル発電機などによる化石燃料の低減が図れるというメリットがある。

 2020年度からは沖縄県内のほかの離島でも、同様の事業を実施する予定という。「私たちは、このような事業をベンチャーとともに展開して、全国に普及させたいという気持ちで出資をしています。今後は、蓄電池、EV(電気自動車)なども含めて、SDGsの目標達成に貢献していきます」と佐部利氏は話す。

市営住宅への設置イメージ
各家庭の燃料費は1割程度ほど低減した
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FITに頼らないビジネスモデル
今注目のPPAとは

 セッションの後半は、MULユーティリティーイノベーション(MUI)の松本義法氏によるソーラーPPAサービスのメリットの解説から始まった。

 PPAモデルとは、事業者が所有する発電設備を、需要家(電力の消費者)の施設の屋根や土地に設置し、発電した電気をその施設で使用することで、需要家が電気料金を事業者に支払うというビジネスモデルである。

ソーラーPPAの仕組み
太陽光発電の自己投資の課題を解消できる
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 設置費用やメンテナンス費用を事業者が全額負担するという点に大きな特徴がある。太陽光発電におけるPPAモデルは、ソーラーPPA、第三者所有モデル、オンサイト発電サービス、TPOモデルなどとも呼ばれており、FIT終了後の新しいビジネスモデルとして注目されている。マーケットも急拡大しているが、まだまだ認知度は高いとはいえない。

事業者によってPPAの基準はまちまち
長期契約だからこそ細部まで確認すべき

佐部利 憲威 氏
MULユーティリティーイノベーション
株式会社
代表取締役社長
松本 義法 氏

 「自己投資で太陽光発電を設置した場合、投資回収期間が長く、固定費・固定債務が増えたり、発電量・需要量の変動リスク、維持管理コストなどの変動リスクが生じたりしますが、ソーラーPPAは事業者のリスクで設置して電力を供給するので、そうした問題が解決できます」と松本氏は指摘する。

 太陽光発電ができない夜間は電力会社から電力を購入することになるが、昼間に関しては太陽光発電で供給される電気料金が電力会社の料金より安くなるために、その差額が需要家のメリットとなる。

 ビジネスモデルがシンプルなので、各事業者のサービス内容は同じように見えるが、新しいビジネスモデルだけに、明確な定義やガイドラインがなく、契約時には注意が必要だと松本氏は語る。例えば、各社とも「オールイン」をうたっているが、どこまでコストやリスクを含んでいるかに違いがあるという。

 「太陽光発電設備(イニシャルコスト)や設備のメンテナンスは含まれているのが一般的ですが、電気主任技術者への追加委託料金、屋根に重量物を載せる際の構造確認の費用などを含めるかどうかなどは、事業者によってまちまちです」(松本氏)

 また、太陽光発電なので、当然店舗や工場が休みの日も発電は続いているが、その分も支払う(買い取る)のかどうかという点も確認が必要である。もちろん、事故対応における保険の適用範囲の確認も不可欠である。金融スキームについても、オフバランスで費用処理できるかどうかは重要な問題になってくる。

 「よく知っている業者だから大丈夫、なじみの担当者だから信用できるとして曖昧なままにしておいてはいけません。長期のサービスなので、相手の担当者も交代することがあるでしょうし、自分自身も会社にいるかどうか分かりません。人が代わっても、きちんと解釈できるような契約を結ぶべきです」と松本氏は強調する。

 いずれにしても、10年、20年という長い契約期間となるので、その間にはさまざまなことが起こりうる。営業時間の変更、テナントの入れ替わり、工場閉鎖などを想定して、しっかりと文書で詰めておくべきだろう。

お問い合わせ

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