3D&バーチャルリアリティ展東京ビッグサイト
2019年2月6日~2月8日

ブースNo.
西1ホール 西2-73

日本イーエスアイ株式会社

作業者の目線でリアルな検証を実現
開発者の声に応えた「現場のためのVR」

バーチャルリアリティ(VR)技術やハードウエアの性能向上でVR活用のハードルは下がっており、さまざまなシーンで利用が期待されている。ハンド・ボディトラッキングや物性データを融合させ、製造業向けに「現場の作業者の目線で検証できる」VRソリューションを提供しているのが仏 ESI Group。同社の日本法人である日本イーエスアイは設計の早期検証などに効果をもたらすVRを、2月6日から始まる「3D&バーチャルリアリティ展」に出展する。

日本イーエスアイ株式会社
技術本部長
新関 浩

産業分野でのVR活用で期待される一つが、設計段階での早期検証だ。デジタルの設計情報をそのまま仮想空間上に展開。試作品を作る前に仮想空間上で検証を行うことで不具合を早めに発見でき、試作の回数も減らせる。特に巨大な産業機械や製造装置、プラントでは試作そのもののハードルが高い場合もあり、VR活用の余地は大きい。一般的な開発工程では前半の設計は概念レベルから詳細レベルへ、後半の検証は詳細レベルから概念レベルへの順で行う「V字サイクル」に基づき進められる。VRを活用すれば前半の設計段階でさまざまな検証が可能になる(図1)。一般的なVRとは大きく異なり、製造業向けVRでは形状をリアルに再現するだけでは意味がない。現実の製品にした時に起こりうる問題を浮き彫りにするのが目的だからだ。そのような観点から、製造業向けに最適化されたVRソリューションが、日本イーエスアイの「IC.IDO」である。

図1VR活用でV字モデルの設計領域でも検証と不具合の早期発見が可能になる

ケーブルの「たわみ」も再現

IC.IDOは、1990年に独の研究機関Fraunhoferと自動車OEMなどによるコンソーシアムで製造業向けVR技術として開発された。2011年にCAEベンダーである仏ESIが買収。現在は自動車業界をはじめ、さまざまな産業分野で活用が進んでいる。

IC.IDOは、3D CADデータを読み込み、スクリーンやヘッドマウントディスプレイ(HMD)に投影した仮想空間にモデルとして再現する。そのモデルを動かすことで、干渉や作業性などを検証できるシステムだ。HMDは装着した人の顔の向きも反映するので、作業者目線で対象物の様子を再現できる。

大きな特徴の一つは、部品の形状だけでなく実装時の変形も再現すること。例えば部品同士をハーネスで接続するような場合、ハーネスの長さは設計図面から計算できても、実際にどのようにたわむかまでは分からない。たわみ具合によっては別の部品の装着などに支障が出るため、事前に検証する必要がある。IC.IDOでは「ハーネスのヤング率などの物性データを持っています。現実のたわみ方を再現するので、仮想空間上でハーネスの経路をリアルに確認できます」(日本ESI技術本部長の新関浩氏)。ESIはもともと自動車の衝突解析をはじめ、プレスや鋳造、接合など、ものづくりに直結した製造業向けのシミュレーションソフトウェアを数多く手がけてきた。それゆえ材料物性への知識と経験を長年にわたり蓄積しており、IC.IDOにもCAEベンダーならではの知見が生かされている。

設計者の"ワイガヤ"を加速

IC.IDOでは、実作業に沿った検証も行える。例えば、ハーネスをつまんで引っ張るような作業をする場合に、つまんだ状態でハーネスがどこまで伸びるか、作業するためにはハーネス長をどれだけ伸ばせばよいかなどを、仮想空間上で確認できる。ここにもESIの材料物性に関するノウハウが詰め込まれているのだ。

VRを使った検証の利点は、試作回数の削減や手戻り防止だけではない。仮想空間を大きな画面で共有して複数の技術者で検証できることも大きなメリットだ。設計部門での"ワイガヤ"を加速し、多くの関係者の知恵を集めることができる(図2)。通常、大規模な3Dモデルを使ったVRは処理が重くなりがちで、マシンにかかる負荷が大きい。だが、IC.IDOはハイスペックグラフィックスカードを搭載したPCで大規模モデルをストレスなく安定的に動かせ、検証作業にあたる設計者の思考を妨げない。

図2IC.IDOは試作回数の削減だけでなく、設計部門の"ワイガヤ"の加速などにも効果をもたらす

機能強化でVRの適用範囲を広げる

2018年夏、IC.IDOは大幅な機能強化でグローブ型センサへの対応を実現した。フィンガー・ハンドトラッキングが可能となったのである。「コントローラでも手の動きはVRで再現できますが、握ったりつまんだりする指の動きまでは再現できません。『コントローラでは違和感がある』という日本のユーザの声に応えるべく、ユーザ企業、ドイツ開発チーム、日本イーエスアイでプロジェクトを立ち上げて開発に取り組みました」(新関氏)。機能強化により、指の動きまでも仮想空間上に再現できるようになった。(図3)また、フルボディトラッキングにも対応し、作業者をモデル化したアバターも用意する。作業者が手や腰に付けたコントローラの動きをアバターの動きに反映し、手が届く範囲の確認や、作業姿勢のチェックが行える(図4)。

図32018年にIC.IDOはグローブ型センサに対応し、仮想空間で指の動きまで細かくシミュレーションできるようになった
図4IC.IDOによる作業性の検証。作業者が工具の代わりにコントローラを持ち、作業に無理がないかをチェックする

ハンド・ボディトラッキングへの対応はVRの適用範囲を大きく広げた。「部品をつまむ、動かす、締める」といった細部にわたる作業シミュレーションが、仮想空間上でより自然な感覚で行えるようになったのである。実際、展示会で同社のブースを訪れる来場者には、ハンド・ボディトラッキングの採用を機に検討を始めたユーザが少なくないという。「作業者の目線でのリアルな検証」を実現する同社のVR ソリューションは、開発プロセスを変える大きな可能性を秘めている。

お問い合わせ先

日本イーエスアイ株式会社
〒169-0074
東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー28F
TEL :03-5331-3831
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