コミュニケーションの活性化を加速するビジネスチャット

ビジネスシーンではこれまで、テキストによるコミュニケーションはメールが主流だった。近年、企業で導入が進んでいるのがビジネスチャットツールだ。2019年11月に開催された「HENNGE NOW!」では、ビジネスチャットツールとして注目される「Slack」や「LINE WORKS」を活用して、コミュニケーションの活性化、情報共有を効率化するヒントが紹介された。

ボトムアップでSlackを導入した日経新聞

株式会社日本経済新聞社 デジタル事業デジタル編成ユニット CPO室 部次長 東 弘行氏
株式会社日本経済新聞社 デジタル事業デジタル編成ユニット CPO室
部次長
東 弘行

株式会社日本経済新聞社のデジタル事業は、日経電子版などデジタルサービスの企画開発を行っている部門だ。2013年ごろから、同事業の開発チームでSlackを導入した。「チーム内の情報共有における透明性を高めることで、現場の参加を促すことが目的でした」と株式会社日本経済新聞社 デジタル事業デジタル編成ユニット CPO室 部次長の東弘行氏は語る。

さらに当時、デジタルサービスを内製化していくにあたり、エンジニアを採用する必要性があった。そこで、エンジニアから支持されるツールの導入が人材採用にも有効という判断もあり、Slackを選定したという。実際、もっとも活用しているのが開発現場のエンジニアだという。

チャットのみならず、APIを使ってGitHubやCircle CIといった定番の開発支援ツールとも積極的に連携して作業効率を上げている。こだわっているのは情報の透明性で、チャットはダイレクトメールを極力使用せず、なるべくオープンなチャネルでやるように徹底。プライベート設定にする場合は、その理由や必然性を説明させている。

情報共有の面では、顧客からのフィードバックを専用チャネルに流して共有したり、デジタル事業内の連絡に利用したりしている。例えば、編集部が緊急の臨時ニュースを配信する場合は、事前にアラートするなど急激なシステム負荷に備えている。また、デジタル事業内のマーケティングや広告を担当する現場とのコミュニケーションも以前より増えたという。

Slackの使用はあくまでデジタル事業内に限定されている。記者が所属し、新聞社の核となる編集局では、マイクロソフトのOffice 365に含まれる「Microsoft Teams」をメインのコミュニケーションツールとして利用。2つの異なるツールの併用は、新聞社として編集部門と非編集部門との間で情報統制を厳格にする必要性からだ。「報道に関わる編集局では、まだ世に出ていない重要な情報を多く扱っています。漏えい防止の観点から、TeamsとSlackで線引きしています」と東氏は強調する。

Slackを編集局以外の他部門へ展開するには、セキュリティや情報漏えいへのよりシビアな対策の必要があり、現実には難しいという。大規模な導入の際に見えてくる課題について、東氏は「投稿した資料をあとから参照しやすくするための作法やルール作りが必要になるでしょう」と指摘した。

慣れ親しんだLINEだからこそ抵抗なく浸透

株式会社ミルボン情報システム部 情報システムグループ 一課 マネージャー 伊藤 文宏氏
株式会社ミルボン情報システム部 情報システムグループ 一課
マネージャー
伊藤 文宏

コミュニケーションツールがメール中心のままだった期間に、世の中のIT環境は大きく変化した。スマートフォンが普及して多くの人々がLINEを使うようになり、業務上のやりとりも個人のLINEを使ってしまう社員が増えたという。いわゆるシャドーITだ。「個人のLINE利用が社内に蔓延していました。コミュニケーションの課題をLINEで解決していたわけです。コンプライアンス的にも早急に対策を考える必要がありました」と伊藤氏は話す。

悩んでいるときに登場したのがLINE WORKSだった。慣れ親しんでいるLINEと同じインターフェイスなので、トップダウンの導入でも抵抗なく社員に受け入れられ、コミュニケーションの活性化とコンプライアンスの課題が一気に解決へ向かった。

さらに、LINE WORKSの利用を徹底させるために「アメとムチ」も用意したという。アメ(使用するメリット)は、会議室予約が簡単にできるBOTの提供だ。簡単なチャットのやりとりで、全国拠点の会議室予約が15秒以内にできる。従来の方法よりも圧倒的に簡単なため、これが強いインセンティブになった。

「予約BOTは、Office 365のExchange OnlineのActive Directoryと連携してシングルサインオンを実現しています。他に参考になる事例がないころで開発は苦労しましたが、その分使いやすいシステムになりました」と伊藤氏。

一方、ムチ(使用しないデメリット)は、LINE WORKSの導入講習会を実施したうえで、以後個人のLINEを使って何かあった場合の責任は自分で取らせるとしたこと。ただし、LINE WORKSを使って起きたことは会社側が責任を取るとした。これらの施策により、利用率は93%という非常に高い数字になっているという。

ミルボンではLINE WORKSの導入により、外回りが多い営業とも連絡が取りやすくなり、結果として意思決定のスピードの向上にもつながっているという。ビジネスチャットツールの選定について、伊藤氏は次のように指摘する。「情報システム部門は、どうしても管理やセキュリティの視点になりがちですが、世の中が変化していることも認識しなければなりません。LINE WORKSを選択したのは、ユーザーの視点で使いやすさを重視したから。セキュリティとのバランスを取ることが大切です」。

チャットツールをはじめ、SaaS型サービスの導入で課題となるのがユーザーアカウントの管理だ。サービスごとに管理しようとすると煩雑になり、ユーザーもログイン情報が増えると覚えるのに苦労する。基幹システムのディレクトリサービスと連携して一元管理できる「HENNGE One」は、HENNGE株式会社が提供するソリューションだ。もちろん、SlackやLINE WORKSなどのチャットツールにも対応しており、メールやクラウドストレージのデータを管理できる。まさにセキュリティと使いやすさを両立し、企業のSaaS環境を加速するといえる。

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HENNGE株式会社について

「テクノロジーの解放」を理念に、独自の技術や時代に即した新しいテクノロジーを探し出し、他社に先駆けて、テクノロ ジーと現実の間のギャップを埋めるサービスを開発しています。SaaS認証基盤(IDaaS)HENNGE OneはOffice 365、G Suite、Box、LINE WORKSなど、様々なクラウドサービスに対して横断的に、セキュアなアクセスとシングルサインオン機能などを提供します。