日経 xTECH Special

制御盤内の接続方式の変遷を振り返る ねじからプッシュインへ進化を遂げる接続方式/セールス・マーケティング統括本部 商品・市場戦略統括部 盤内機器ソリューション推進部 部長 後藤 清子/セールス・マーケティング統括本部 商品・市場戦略統括部 HMIソリューション推進部 部長 河中 保則

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次世代の接続方式といわれ、日本でも普及が期待されているプッシュイン接続方式(ばね式)は、作業工数の削減や配線密度の向上などを求める業界の声を背景に誕生した。ねじ式(ねじ締め方式)が国内で普及してから50年余りが経つ中で、プッシュインへと至る接続方式の変遷の一端をIDECの二人が紹介する。

50年以上の実績を持つ圧着端子+ねじ式

 制御盤内の接続方式として普及している圧着端子(丸型またはY型)とねじ締めの組み合わせが日本で広がり始めたのは、戦後の高度経済成長期に突入し、制御盤や配電盤などの需要が増え始めた1950年代後半から1960年代にかけてのことといわれている。単線を「U」字型に曲げ、ねじに巻き付けて締めるそれまでの方式に比べて、より確実な接続で作業性も向上した。

 中でも産業分野に受け入れられたのが丸型端子だった。Y型端子はねじを少し緩めるだけで差し込めるが、逆にねじが緩むと配線が抜けてしまう可能性がある。一方の丸型は、接続の前にねじを一度外さなければならず、作業としては1段階多くなるものの、万が一ねじが緩んでも配線が抜ける心配がない。

 ただし、ねじ式には大きな課題があった。「ねじ式の最大の課題は締め付けトルク管理と緩み対策です。締め付けトルクが小さければ緩みが発生しやすく、逆に大き過ぎれば、ねじ胴部の破断やねじ頭の“なめ”が生じます。また、ねじは振動で緩みが発生するため定期的な確認や増し締めが不可欠で、そうした保守作業は業界の大きな負担になっています」とIDECの後藤清子氏は指摘する。

 ねじ式のもう一つの課題は小型化が難しいことだ。端子台は電流容量(およびそれにより決定される電線断面積)によって選定されるケースが多い。これに伴いねじ頭の径が決まり、端子間間隔が決まる。IDECの「BNシリーズ」ターミナルブロック(BN15LW:21A,JISによる)を例に取ると、端子間間隔は10.5㎜を要する。盤サイズが標準化されている場合を除いて、盤の小型化が進めにくいという問題も指摘されている。

 それでもねじ式は長年使われてきた実績がある。現在もねじ式を指定するユーザーは少なくない。

端子密度を高めたスクリュークランプ式

 ねじ式でありながら省スペースを実現したのが、IECタイプとして知られる押しねじ(スクリュークランプ)方式である。IDECが2019年7月から取り扱いを開始するワイドミュラー製品の中では「Wシリーズ」が該当する。

 断面積が2.5㎟のワイヤーを対象にした端子台(WDU 2.5:24A,IECによる)の場合で端子の間隔は5.1㎜と狭く、従来のねじ式に比べて省スペース化を図ることができる。主に欧州での採用が多い。ただし、増し締め作業は必要であり、全体の工数は従来のねじ式とおおむね同等といえる。

スプリングクランプ式でねじからばねへ

 1970年代後半に登場したのち、欧州でねじ式と二分するほどのシェアを獲得し、国内でもねじ式から切り替えるユーザーが増えているのがスプリングクランプ式である。ねじではなく、ばね状の接点で配線を挟み込む構造である。

 スプリングクランプ式は、挿入ツールとしてマイナスドライバを差し込んでばね板を開き、その隙間に電線を差し込んでからマイナスドライバを引き抜くと、ばね板によってワイヤーが挟まれて固定されるという仕組みだ。

 ねじがないため振動の多い環境でも緩みが発生せず、増し締めが不要なことがなによりもメリットだ。

図1 市場で主に使われている4種類の接続方法とそれぞれの特徴