2021年9月1日、事務方のトップに当たるデジタル監には、一橋大学の石倉洋子名誉教授が就任した。発表された幹部の顔ぶれを見ると、デジタル庁ができる前から長年、ITというかデジタルにかかわってきたキーパーソンが並んでいる。個人的には「CxO(最高責任者)」の人選に目がとまった。

現時点でデジタル庁には、チーフアーキテクト(Chief Architect)、チーフデザインオフィサー(Chief Design Officer)、チーフインフォメーションセキュリティオフィサー(Chief Information Security Officer)、チーフプロダクトオフィサー(Chief Product Officer)、チーフテクノロジーオフィサー(Chief Technology Officer)、5人のCxOがいる。目がとまったのは数ではない。民間からの登用で兼業のCxOが何人もいたからだ。

チーフテクノロジーオフィサーの藤本真樹氏は、グリーの取締役上級執行役員 最高技術責任者である。長年、グリーで最高技術責任者を務め、スタートアップにも顔が広い。チーフプロダクトオフィサーの水島壮太氏はラクスルの執行役員CPOを務める。チーフデザインオフィサーの浅沼尚氏は、三菱UFJフィナンシャル・グループ子会社のJapan Digital Design(JDD)のCXO(最高体験責任者)でCorporate Culture室長 Head of Experience Designを兼務する。

設立以前から、デジタル庁は官僚だけでなく民間人材を登用するとうたっていたが、日本をよくするという意気を感じたのか、力のある顔ぶれがそろったという印象を受ける。

平井卓也デジタル大臣と石倉洋子デジタル監。2021年9月1日に行われたデジタル庁発足式の様子(デジタル庁Webサイトより)

10月10日・11日のデジタルの日に考えたい
デジタル化や情シスのこと

人材が気になるのには理由がある。日本のDXを進めるうえで最大のカギになり、これまで壁となってきたのが人材だからだ。

少し歴史を振り返る。デジタル庁が進めようとしている取り組み自体は、ここにきて始まったものではない。デジタル化、さかのぼればIT化、情報化の重要性は長年にわたって指摘され続けてきた。

政府を見ても、2001年3月には、「e-Japan重点計画」が発表され、「5年以内に世界最先端のIT国家となる」ことを目標に掲げていた。超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策、電子商取引、電子政府の実現、人材育成の強化の4つが重点政策として挙げられている。

その後、何度となく計画は更新された。ネットワークインフラの整備や電子商取引のように進展があったものもあるが、電子政府の実現、人材育成の強化に関しては、目標が達成されたとは言い難い。その間、ITは大きく世界を変えた。

電子政府の実現に関しては、ユーザー、つまり政府の人材不足、さらに言えば情報システム部門、情シスの弱さを指摘しないわけにはいかない。ローテーションで担当が変わるのが一般的な官僚に強い情シスを求めるのは現実として厳しい。政府CIO(最高情報責任者)、CIO補佐官など外部人材の力を取り込む動きはあったが、国民の期待に応える電子政府を実現させるにはリソースが足りなかった。

人材育成の強化は積年の課題だ。専門人材を輩出する教育機関の不足、職能としての社会的な評価、発注側企業のITベンダーへの過度の依存、ITベンダーで横行した多重下請け、さらにバブル崩壊後に続いた新規プロジェクトの抑制など、問題はある程度分かっているものの、現状を変える手を打てなかった。

デジタル庁のWebサイトには、取り組みを進める主な政策分野として「デジタル社会に必要な共通機能の整備・普及」「国民目線のUI・UXの改善と国民向けサービスの実現」「国等の情報システムの統括・監理」「その他」の4項目を示している。人材の問題を無視しているわけではない。

4つ目のその他に「デジタル人材の育成・確保」があり、「我が国のデジタル人材の育成・確保に取り組みます」と明記している。情シス人材をはじめとした、デジタル人材の強化が進むかどうかは、同庁が成果を上げる上で重要なポイントになる。

デジタル庁が進める4つの政策分野

デジタル庁の政策には、デジタルの日(Japan digitadays)の創設がある。デジタルについて振り返り、体験し、見直し、共有するための定期的な機会として設けたものだ。

2021年度のデジタルの日は、10月10日(日)と11日(月)に設定され、第1回目となるデジタルの日を、改めて企業のデジタル化やデジタル人材重要性、あるいは情シスの役割について考える機会にしてみてはいかがだろうか?議論の場としてSNSを使われる場合には、#jyosyslabo を使っていただければ幸いである。本記事に関するご意見がある場合も同様だ。

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