2020年新型コロナウイルス感染拡大の影響で一気にテレワークが普及し、積年の課題であったワークスタイルの変革を日本企業にもたらす結果となった。では、この変化の効果をさらに高めていくために、PCを含むIT環境の整備について次にどのような対策を講じればよいのか?ITの最新動向を踏まえ、その最適解を考察していく。

コロナ禍が収まっても過去には戻らない

COVID-19は、我々の生活様式を大きく変えたが、そのうちの1つにワークスタイルがあるのは間違いない。

日経BP総研が実施した調査によると「週3日以上のテレワーク」を行っている人は、回答者の40%以上に上り、何かしらのテレワークを利用した人は全体の3分の2を占める。

そして、このような働き方の変化は一過性のものではなく、コロナ禍が終息した後も続くと考えられる。なぜならテレワークをはじめとするワークスタイルの変革は、労働力人口の減少という社会課題への解決策の1つとしてかねてから日本企業における喫緊の課題とされてきた。つまり、COVID-19の感染リスクを下げるだけでなく、様々なメリットがあるからだ。そのメリットには、ダイバーシティの実現や労働生産性の向上の他、東京一極集中の是正という効果も――。

総務省が発表した2021年2月の住民基本台帳人口移動報告で、東京都は8ヶ月連続で転出超過になっていることが分かった。

この背景には、リラックスできる環境で仕事をして、生産性の向上を期待する「ワーケーション」という新しい働き方が注目されていることが関係していると考えられるが、明らかに従来の東京一極集中とは異なる流れがある。

また、このようなニーズに向けた新サービスも続々と登場しており、定額で全国の複数の拠点に住めるサブスクリプション型生活プラットフォーム「ADDress」などが脚光を浴びている。

さらに、オフィスの在り方も変化を見せており、地方も含めたシェアオフィスの利用が広がっている。これは賃料の高い都心のオフィスから脱却することで、柔軟な資産運用を含む戦略的な意味も大きい。

いずれにせよ、以上のような変化は、テレワークを前提としたものであることは間違いない。

コロナ禍で起きたPC市場の異変とは?

日本企業は、COVID-19の感染拡大で図らずもワークスタイルの変革を実現したが、いま解決すべき課題の1つが「新しい働き方の中でいかにパフォーマンスを上げるか」だ。そして、この課題を解決するヒントが、PC市場の状況に隠されている。

2020年度上期の出荷台数をみると、PC市場全体のマイナスだったが、モバイルノートだけをみると前年比で202.6%の伸びだった。(出所:電子情報技術産業協会)

モバイルノートのニーズが高まったのは、テレワークを導入する企業が増えたことが影響しているのは言うまでもないが、PCのポテンシャルが改めて見直された結果であるとも考えられる。

COVID-19以前には、タブレットやスマートフォンを活用してリモートワークを実現しようとする企業が少なくなかった。しかし、ドキュメントの作成やクリエイティブな作業となると、やはりPCの方が効率よく遂行できる。業務のすべてをオフィス外で行う在宅勤務になると、生産性を考えると業務に利用するデバイスはPC一択になるという訳だ。つまり、新しい働き方の中で生産性を向上させるためには、まずテレワークに適したPCを用意することが必要不可欠だといえる。

ではテレワークに必要なPCとはどのようなものなのだろうか?

まずは持ち運び可能なノートPCであること。そして、CPUの処理性能が高いことが求められる。例えば、テレワークで頻繁に使わるリモート会議ツールを使うにも、多人数が参加する場合、PCのパフォーマンスが低ければ映像や音声が乱れてしまうからだ。また、ヘッドセットやカメラ、あるいは外部ディスプレイなどの周辺機器を接続するインターフェイスが充実していることも必要になるだろう。単に高性能であればよいという訳ではなく、ビジネスユースに特化したPCが好ましいという訳だ。

テレワークの死角を埋めるゼロトラスト

新しい働き方の中で生産性を上げるためにもう1つ求められるのが、適切なセキュリティ対策だ。

39.1%の企業がテレワークのセキュリティに対応できていない――これはNRIセキュアディレクションの調査結果だが、企業にとっても、社会にとってもメリットが大きいテレワークが広がる一方で、潜在的なセキュリティリスクが増しているのである。

2020年11月、某大手企業もオーダーメイド型ランサムウェアによる標的型攻撃を受け、世間を騒がせたが、ただでさえサイバー攻撃が高度化、巧妙化している状況なのだ。これではとても安心して業務を遂行できる環境だとは言い難い。これでは生産性を上げることはおろか、場合によっては企業を深刻な状況に陥りさせかねない。

このような状況下で求められるのが「ゼロトラスト」という考え方に基づいたセキュリティだ。これは、従業員やアプリケーションなど細かい単位で安全かどうかをその都度判断する仕組みを活用するもの。ネットワークではなく、個別のアプリケーションレベルでの防御、そしてデバイスの防御が必要になる。

現在、セキュリティベンダ―だけではなく、各PCメーカーやPCのプロセッサーを製造するインテルなど、ハードウエアベンダーがゼロトラストセキュリティに貢献するソリューションを提供していることを考えても、そのような対策の必要性が高まっているのは明らか。強度の高いPCを用意することでより自由で、生産性の高い働き方を生み出せることを各社が意識しているのだろう。

今後、働く人が柔軟に働き方を選べることができ、それぞれのパフォーマンスを発揮できる環境の整備――つまり安心してテレワークを行えるPCとセキュリティ体制を用意できない企業は、競争力を失っていくのは明らかだ。テレワークが一般的になりつつ今こそ、すべての日本企業は、PCやセキュリティに対する考え方を新たにし、具体的な取り組みを進めるべきであるといえよう。

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