「情シス」というと、社内の情報システムを運用しているだけの存在と思われがちだ。現在のほとんどのビジネスはITなしでは成り立たない。ビジネスの根幹を支える重要な役割にもかかわらず、十分な評価を得ているとは言い難い。本連載を通じてプロフェッショナルとしての熱い思いを聞く。

Point

情シスは全社にまたがる仕事。必然的に社内コミュニケーションネットワークを開拓できる点が醍醐味

知り合いをたどって交渉をショートカットすることがコツ

情報シスは「業務のライフライン」。ライフラインを支えている誇りや責任感が最大のやりがい

日本のIT巨人、その情シスの日常とは?

ヤフー
情報システム1部兼企画部部長
佐藤 治章 氏

――担当領域を教えていただけますか。

情報システム1部の部長と企画部の部長を兼任しています。現在ヤフーではCIOという組織が社長直下の独立部門として存在し、情報システム部門もCIO直下に属します。その中で情報システム1部は専任者が30人(8割がエンジニア)ほど。人事、法務、財務といったコーポレート部門のシステム企画開発・運用に加え、部門を横断するツールの企画、カスタマーサポート部門のシステム企画がおもな担当範囲になります。

それ以外にも、従来のシステムをプラットフォームから見直すモダナイズのプロジェクトが進行中です。もちろん、システムは必要に応じて適宜アップデートしていますが、業務系のシステムに関してはツールの利用頻度に差があります。中には10年ほど前の技術を採用して古いシステムもあるのですが、すべてを新しく作り変えようという動きが出てきています。

――ずいぶん幅広いですね。システムは独自開発ですか?

ケースバイケースです。当社はITの企業ということもあり伝統的に内製の文化が強く、今でも多くの内製のシステムがあります。ただ我々のようなビジネスにおいては今後さらにスピード感が重要になってきます。内製のシステムだけでは開発・運用の負荷も増えるため、現在はSaaSを積極的に活用する方針に変わりつつあります。

とはいえ、独自性を完全に放棄しようというのではありません。特化した部分に関しては内製でシステムを開発し、目的に応じて使い分けて運用するのが前提です。SaaSの場合、すぐに利用を開始できますが、ある程度までしかカスタマイズできない不便さもあります。費用対効果も踏まえ、時代の流れにあわせた多様な戦略を用意しておく必要があるのです。

ユニークな特性として、ヤフーでは社内のITツールもデザイナーがUIを監修します。エンジニアだけで作るとぎこちなくなる部分もありますが、外部に提供するサービス同様、社員のユーザービリティーにも配慮して使いやすさにこだわっています。

全社にまたがり、
社内ネットワークを開拓できるのが醍醐味

――情シスの仕事に就いた経緯は。

2004年に新卒入社して今年で18年目です。入社面接の際、当時の井上(雅博)社長に何をやりたいかを聞かれ「ネットワークをやりたい」と答えたら情報システム部門に配属されました。当時のヤフーはまだそんなに大きな会社ではなく、社長と面接で話す機会があったんですね。

通算すれば情報システム部門に最も長く在籍していますが、戦略部門、デザイン部門、開発プラットフォーム部門にも所属したことがあります。私は自らの経験を生かし、部門間の調整役を果たしてきました。他部署で知見を蓄積してきた経験は大きいと感じています。

――組織を横断して円滑なコミュニケーションを図るコツは?

企画を考えるときには、社内のいろんな意見を吸収することが必要です。情シスは全社にまたがる仕事なので、必然的に社内コミュニケーションネットワークを開拓できる。その点が醍醐味だと思います。現場のエンジニアは別として、PM(プロジェクトマネジャー)や企画担当者になれば、これらのコミュニケーション能力は必須スキルです。知り合いをたどって交渉をショートカットすることがコツと言えるのではないでしょうか。人的なつながりを活用することは大事なポイントです。

――情シスの力をたかめるための最近の取り組みを教えてください。

どの企業でも同じかもしれませんが、業務部門と情報システム部門の意思疎通は簡単には上手くいかないものです。そこで双方のニーズを適切に理解するために、業務を分析する役割を設定したり、そのために必要なスキルを意識的に高めていく取り組みをはじめたりしています。

開発に関していえば、開発生産性を意識して、様々なチャレンジは日々しております。やはり予測不可能な時代に迅速に対応するためには、開発プラットフォームから見直し、より簡易により速く開発ができるソリューションを検討しています。先ほども話したようにSaaSだけではかゆいところに手が届かないためです。まだ検討段階ですが、まずはシステム部門でスピードアップを図ることを目的としています。

情シスは「業務のライフライン」、
止めないことにやりがいがある

――情シスという仕事のやりがいとは。

情報システム部門は「業務のライフライン」。水道や電気と同じで“あって当たり前”、しかしトラブル発生時には一斉に批判を受ける立場です。ですから、ライフラインを支えている誇りや責任感が最大のやりがいです。

――最後に、佐藤氏にとっての「情シスの魅力」を教えてください。

一言で言えば、情シスは楽しい部門です。ヤフーの情シスでは企画・開発・運用を一気通貫で経験できます。フラットで活発に意見を交わす風土もあり、いろんなことにチャレンジできるのも特徴です。

とりわけヤフーならではの面白さを挙げるなら、変化の激しさでしょう。2019年にはZホールディングスになり、以降LINEやZOZOが加わるなど、どんどん変わり続けています。そうした中で各社の情報システムを効率的かつスピーディに連携させてきました。そのダイナミズムは、なかなか他社では味わえないものです。 もちろん大変なことも多々あります。ただやり遂げたときの達成感は大きいですし、自信にも繋がります。 将来的には、今まで培ってきた知識や経験を情シス以外に広げることも考えたいですね。

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