情報システム部門というと、社内の情報システム運用が本業だと思われがちだ。だが現在のほとんどのビジネスはITなしでは成り立たない。システムのプロフェッショナルである「情シス」は、ビジネスの根幹を支える重要な役割である。連載2回目となる今回は、タワーレコードの望月貴氏にプロフェッショナルとしての思いを聞く。

Point

情シスの仕事は社内外ともにコミュニケーションが重要

上流から携わることのできるダイナミズムが仕事の魅力

事業をシステム面から支えることこそ情報シスに与えられた特権

上流から携わることのできるダイナミズム

――所属部署と担当を教えてください。

タワーレコード
ITサービス本部 情報システム1部
部長
望月 貴 氏

タワーレコードのITサービス本部には情報システム1部、情報システム2部、ITインフラ部があり、私は情報システム1部の部長です。1部はECサイトの「タワーレコード オンライン」や音楽情報・レビューサイトの「Mikiki(ミキキ)」、など、コンシューマーとタッチポイントがあるサービスの開発・運用・保守が業務の中心になります。2部は基幹系やバックエンド、ITインフラ部はサーバーやネットワーク機器が担当領域です。

DXに対する社内の関心も高まっており、IT本部内にデジタル推進プロジェクトが新設されました。音楽を包括的に捉えた多彩な事業展開を目指し、社内でDXを推進する専門部署という位置付けです。

――担当する領域をもう少し詳しく教えてください。

情報システム1部は、コンシューマーに近いだけに企画段階からアイデアを出し合って関わるケースが多い部署ですね。下りてきた企画を単にシステムに実装するだけではなく、他部署の人たちと密接に意見を交換しながら進めています。

最近取り組んでいるのは、2021年10月1日から開始予定のストリーミングサービス「TOWER RECORDS MUSIC powered by レコチョク」です。デジタル推進プロジェクトが主導したものですが、開発や運用のフェーズまで含めて連携しています。部署間の垣根もありませんし、一緒になってプロジェクトを動かしている思いが強いです。

基本的なシステム構築の流れを把握した上で、開発フェーズは外部ベンダーに委託しており、全体のシステム対応方針や使用技術など認識を合わせながら進めています。

――コロナ禍でどの業界でもDXが進んでいます。

タワーレコード オンラインは「タワーレコード音楽情報データベース」と連携していて、このサービスは社内に設けた専任部門と協力して2020年11月に立ち上げたものです。作品のリリース年や曲名のデータベースに加え、自分の好きなアーティストの作品レビューや画像を投稿できる仕組みで、コアな音楽ユーザーを満足させる内容になっています。ECだけでなく、こうしたサービスも伸ばしていきます。

テレワークはIT部門が率先して実践

――ずっとタワーレコードで情シスを担当されてきたのですか。

最初は大手SIerにSEとして入社しました。そこでシステム構築、運用全般のスキルを身に着け、2011年にタワーレコードに転職したという流れです。そこからはずっと情報システム1部に所属しています。

SIerに入るまで、システム開発というのは黙々とPCに向かって作業するイメージでした。でも実際は、いろんな部署の人たちとコミュニケーションを取りながら進めなくてはならない、むしろうまくシステムを動かすにはコミュニケーションのほうが重要なのがわかってきました。私は人と話すのが好きなので仕事は面白かったですね。音楽も好きですから今の職場で働けて幸せです。

――コロナ禍ではどんな変化がありましたか?

タワーレコードではIT部門が先頭に立ってテレワークを実践しました。情報システム1部と2部は2020年3月頃からテレワークに移行しています。現在、オフィス部門の出社率は3割以下です。

テレワーク移行にあたって最重要課題だったのはセキュリティー。当社は基本的にBtoCのサービスを手掛けていますから、個人情報の管理には細心の注意を払いました。新たなセキュリティーの対策は急務でしたが、脅威をゼロに抑えるのは難易度が非常に高いミッションです。ITサービス本部を中心に全社的に強化を図っています。

――システムはクラウドが中心ですか。

すでに1部がかかわるシステムは2018年にクラウド化を完了しています。コロナ前からオンラインに購買がシフトしている傾向があり、マーケティング、CRM(顧客管理・施策管理)の観点からもクラウドが適していました。すぐにリソースを増強できるので、コロナ禍でのEC需要の急増にも対応できました。2021年7月からは決済にAmazon Payを追加し、より多様なお客様にご購入いただけるようにするなど工夫を続けています。

今後はマイクロサービス化に着手したいと考えています。適材適所でサービスが展開しやすくなりますから、さらにお客様の自由度が増すでしょう。もう1つが物流業務の強化です。構造改革の一環として在庫の最適化を喫緊の課題に挙げています。WMS(倉庫管理システム)を強化することで、より物流スタッフの業務を効率化できるように支援していくつもりです。

事業をシステムで支えるのは情報システム部門の特権

――ITプロジェクトを進める際の課題は。

現在は外部ベンダーもテレワークが大勢ですので、コミュニケーションロスが起きないように注意を払っています。以前のように会社に集まる状態ではありませんから、ベンダーも個人単位でプログラミングしている状況が珍しくありません。オンラインサービスの開発要件は多く、以前よりも効率を上げなければなりません。しかも不完全なものではサービスインできません。

オンライン会議、そしてチャットツールを駆使しながら意思疎通を意識した開発にあたっています。チャットの効用で、たまに雑談もはさみながら、開発メンバーとよりよい緊密な関係となることを心掛けて業務進行をしています。

――最後に「情シスのやりがい・魅力」を教えてください。

タワーレコードは全国に79店舗を構え、タワーレコード オンラインの会員数は約600万人を数えます。情報システム部は店舗、オンライン、本社機能も含めてすべてを見なくてはなりません。

パッケージ販売が頭打ちになる中、我々は新しいプロジェクトを立ち上げて、他社にないサービスや取り組みをしていかねばなりません。今こそ正念場だと思っています。新規事業に、ITシステムは必須です。事業をシステム面から支えることは情報システム部門に与えられた特権でもある。その思いがモチベーションになっています。

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