いま、日本の学校教育が大きく変わろうとしている。鍵を握るのは「主体的・対話的な深い学び」であり、児童・生徒はもとより、教員にもICTの利活用や21世紀型スキルを育成する授業デザインが求められる。このビジョンを共有する広島県教育委員会とインテルのキーパーソン対談から、“未来の教育の在り方”を解き明かす。

教員が“本質的な問い”を学べる
「インテル® Teach プログラム」

2020年度、日本の学校教育は大きなターニングポイントを迎えた。公立の小中学校に1人1台の教育用端末や高速な学内LAN環境などを整備する「GIGAスクール構想」が本格的に始まり、教育のICT化が全国規模で加速した。さらに、小学校から新しい学習指導要領がスタート。「生きる力 学びの、その先へ」をスローガンに掲げ、変化の激しい社会を生き抜く次世代人材の育成を目標とした教育指導方針が定められた。

こうした中、広島県では2014年12月に広島版「学びの変革」アクション・プランを策定。国の方針に先んじる形で積極的に次世代人材育成に励んできた。「学びの変革」では講義型学習ではなく、自らが主体的に学ぶ課題発見・解決学習(Project Based Learning、以下PBL)を施策の1つとして推進している。

これまでの画一的授業とは異なるPBLでは、教員も新たな指導方法を身につけなければならない。この方法を体得するため、広島県は2020年度にインテルの教員研修プログラム「インテル® Teach プログラム」を導入。今後5年ほどをかけ、県内公立学校の全教職員が受講する予定だ。

教育現場にパラダイムシフトが起きている現在、“未来の教育”はどうあるべきなのか。このテーマを軸に、広島県教育委員会 教育長 平川理恵氏(以下、平川)、そしてインテルの井田晶也氏(以下、井田)が対談を実施。まずは平川氏が「インテル® Teach プログラム」を選んだ理由について話し始めた。

平川

広島県教育委員会
教育長
平川 理恵 氏

いま、時代は江戸時代から明治時代への変化に匹敵するほどの大転換期を迎えています。社会構造が激変し、社会との関わり方が重視されるシチズンシップ教育が注目される中で、これまで以上に子どもたちそれぞれが主体的に考えていく姿勢が必要になっています。

広島県教育委員会
教育長
平川 理恵 氏

しかし、人間の行動様式やマインドセットはすぐには変えられません。依然として教科書通りに進めることがゴールであり、どうすれば子どもたちの発想を自主的に導き出せるかが課題となっています。それを変えようとの思いから2014年度に策定したのが広島版「学びの変革」アクション・プランです。国でも新しい学習指導要領で教育変革を掲げていますが、広島県は先行して取り組んできた経緯があります。

シチズンシップ教育にしっかり取り組むことを考えたとき、子どもたちがエッセンシャルクエスチョン(本質的な問い)を理解することが大事になってきます。授業内容も知識や記憶を問うばかりではなく、質問を昇華させるようなクリエイティビティの高い問いを作って投げかけることが求められます。一方、これらの授業を実現するには教員のトレーニングが不可欠になるため、2020年度からPBLを学ぶ手段として「インテル® Teach プログラム」を導入しました。

井田

どのようにして「インテル® Teach プログラム」を知ったのでしょうか。

平川

私は民間の出身で、2018年春に広島県教育委員会の教育長に就任しました。その前は横浜市の2つの公立中学校で校長を務めていましたが、その際に人づてで「インテル® Teach プログラム」を紹介されたのがきっかけです。

調べてみると、「インテル® Teach プログラム」は米国で生まれ、欧米ではPBLのトレーニングプログラムとして幅広く活用されていることがわかりました。そのとき、日本の先生は世界と比較しても優秀なのに、PBLを上手く組み立てられないのは単に“やり方”を知らないからだと気づいたのです。そこで横浜時代の担当学区の小中学校で「インテル® Teach プログラム」を採用しました。広島県の導入は、そこでの体験を踏まえたもの。本当にパワフルな研修プログラムだと思います。

井田

インテル株式会社
執行役員
パートナー事業本部 本部長
井田 晶也 氏

ありがとうございます。「インテル® Teach プログラム」は2001年から世界で展開しており、これまでにグローバルで1000万人以上、日本でも4万人以上が受講済みです。おもな内容は授業デザイン、プロジェクト型学習、テクノロジー活用、ルーブリック評価、カリキュラム構成質問から構成されています。

インテル株式会社
執行役員
パートナー事業本部 本部長
井田 晶也 氏

本プログラムの発端は、就職した段階で問題なくPCで生産的・創造的な作業ができるスキルを学校時代に習得することにあります。そのため、ICTを利活用して人材育成に結びつけることが当初から変わらない目的となっています。もはやPCは鉛筆や文房具の延長線上であり、社会生活になくてはならないものです。これからは小学校で読み書きを習うのと同じように、PCの習得が必須になるでしょう。それを実現する教授法のメソッドとして「インテル® Teach プログラム」をご提供しています。

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