金融ITイノベーションフォーラム2018 REVIEW —新世代金融ビジネスとこれからのリスク管理—

データ主導の金融ビジネスを実現するオンデマンドなクラウド活用戦略 インテル

デジタル活用による業務自動化が金融業界各社の関心事となっている。これにより、人的ミスの削減や業務効率化につなげることが可能になるからだ。特にビッグデータを生かしたAI活用は、これまでの業務を大きく変える可能性を秘めている。この状況のもと、インテルは、データドリブンなビジネスを具現化するにはオンデマンドなIT環境が必要だと提唱している。その概要と、それを支える同社の製品群とは——。

データ活用は一連のプロセスを俯瞰することが重要

インテル株式会社 シニア・データセンター・アーキテクト 郡司 茂樹氏
インテル株式会社 シニア・データセンター・アーキテクト 郡司 茂樹氏

新たなテクノロジーが次々と登場する時代、金融業界で関心が高まっていることの1つが「自動化」によるオペレーショナル・リスクの低減だ。「RPAの活用によって業務を機械化・自動化し、人為的なミスを最小化したり、IT運用を自動化することで業務上のリスクを抑えたりする動きが業界内で高まっています」とインテルの郡司 茂樹氏は紹介する。

中でも注目を集めるのがAIだ。学習結果を踏まえた判断に基づき、顧客対応の標準化などに適用することも可能になっている。活用のポイントになる要素は多々あるが、インテルでは「データドリブン」と「オンデマンド」という2つのキーワードに着目している。

まずデータドリブンとは、文字通り「データ主導」でビジネスを考える観点だ。機械学習においては、学習ロジックそのものよりも、まずはデータの「質・量」を重要視すべきだという。「高品質・大量のデータでAIをトレーニングしながら、逐次その学習効果を評価する。そして、データの『質・量』を改善しては再トレーニングを繰り返すというサイクルを何度も回すことで、進化のスピードを高めていく。こうしたサイクルを効率的に回せるビッグデータ基盤をいかに構築するかが、AIで早期に成果を上げる上でのカギになっています」と郡司氏は説明する。

また、ここで必要になるのが「データ・パイプライン」という考え方だ。これは、「データの作成→伝送→取り込み→クリーンアップ→統合→一時保管→プランニング&モデル作成→分析・AI活用→視覚化→アーカイブ」からなる一連のプロセスのこと。この全体を担う仕組みを俯瞰的に整備することで、データを競争力の源泉にするデータドリブンが実現できるという。

「当社は、このデータ・パイプラインをエンドツーエンドで支える製品群を擁しています。中でも、高い処理性能が重要になる取り込みや、一時保管、分析・AI活用といった領域について、新しいテクノロジーを盛り込んだ製品を積極的に投入しています。これにより、お客様のデータ活用を強力に支援します」(郡司氏)


デジタル活用の流れを変える「パーシステント・メモリー」

図1 インテルの製品ラインアップ

図1 インテルの製品ラインアップ

データ・パイプラインの複数の領域に向けた新製品を投入。中でもパーシステント・メモリーは、次世代のデジタル活用を支えるものとして注目されている

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製品の例を具体的に見ていこう(図1)。

例えば、ビッグデータを活用する際、データをすべてクラウド上に格納するのは通信速度やコストの面で不都合が多い。そのため、ユーザーに近い場所(エッジ)に一次処理システムを配置する方式が増えているが、このアプローチを支えるための「OpenVINO™ ツールキット」を無償で提供している。

「エッジ側でAIを使用するケースもありますし、クラウドで作成したAIモデルを迅速にエッジに展開するケースもあるでしょう。OpenVINO™ ツールキットはこうしたAI活用ニーズに対応します」と郡司氏は言う。

また、データの取り込みフェーズにおいては「インテル® Arria® 10 FPGA」を用意。これは、従来のCPUに比べて遅延時間を1/40に抑えることができるFPGA(Field-Programmable Gate Array)製品だ。同時に、システム負荷の軽減にも効果を発揮する。

さらに一時保管のフェーズでは、データの特性や容量、要求されるアクセス速度などに応じて適切な配置を検討する必要がある。そこでインテルは、新技術により一層の高スペックを実現した「インテル® Optane™ SSD」に加え、2019年をめどに「パーシステント・メモリー」を市場に投入する予定だという。「このパーシステント・メモリーは、大量データを高速処理する不揮発性のメモリーです。様々な用途が考えられますが、金融業界のリスク管理にも活用が可能です」と郡司氏。例えば、バックアップ・サイトとのデータのやり取りがその例だという。

金融機関においては常時バックアップを行い、正/副サイトで最新のデータを維持するシステムが少なくない。この場合、通常はバックアップ・サイトのメモリーに書き込んだデータを、さらにディスク(HDD)に書き込むことで処理が終了するが、パーシステント・メモリーがあれば、こうした手順を大幅に省略できる。「不揮発性のため、バックアップ・サイトのメモリーに書き込むだけで処理を完了できます。10倍以上、処理を高速化できる見込みです」と郡司氏は述べる。

実際、このパーシステント・メモリーは、デジタル活用の流れを大きく変える技術として様々な業界からも注目されている。インテルの開発参入を受けて、アプリケーション・ベンダーからも次々に対応ソリューションが登場しているという。

「最後のAI活用の領域では、『インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー』が効果を発揮します。そもそもディープラーニングはGPUで行うものと考える方が多いですが、実は多くの企業がインテル® Xeon®プロセッサーで行っています。その理由の1つは、データ・パイプラインにCPUとGPUが混在する場合、データの行き来による非効率が起こることがあるからです。インテル® Xeon®プロセッサーなら、高速かつ効率的なデータ・パイプラインを構築することが可能です」と郡司氏は話す。


多彩なクラウド/オンプレミスを適材適所で活用する

もう1つのキーワードがオンデマンドだ。現在は、金融業界の多くの企業が共通基盤を整備し、その上で様々なアプリケーションを動かしている。一方、世の中には様々なパブリック・クラウド・サービスが登場しており、サービス提供の速度やリソース確保の柔軟性という点では、共通基盤よりも大きく優れた特性を持っている。

既存の共通基盤は、パブリック・クラウドと連携しにくいため、そのままでは加速するビジネススピードに追いつけなくなるリスクをはらんでいる。「例えば、行内のFinTechチームが新しいプロジェクトを始めたいとき、共通基盤ではすぐに対応できないといったケースがあり得ます。これでは、新事業開発などで後れを取ることになりかねません。あるいは、しびれを切らした現場が勝手にパブリック・クラウドを活用しだしてしまうリスクも高まるでしょう。望ましい状態ではありません」と郡司氏は指摘する。

オンデマンドの視点は、こうした状況に対応する上で必要になる。まずパブリック・クラウドとの連携が可能なプライベート・クラウド、さらには複数のクラウドを使い分けるハイブリッド・クラウド、そしてマルチクラウドへと、必要な環境を必要なときに組み合わせて活用する体制へシフトしていくのである(図2)。

図2 これからのデータ基盤のあり方

図2 これからのデータ基盤のあり方

共通基盤を脱却し、適材適所でオンプレミス、パブリック/プライベート・クラウドを組み合わせたシステム環境へ移行する。このことが金融業界各社の競争力強化のカギを握る

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「複数の環境を使い分け、必要に応じてアプリケーションやデータを移動できるようにしておけば、システム全体の可用性を高めることもできます。前出のデータ・パイプラインもこの環境の中に構築するわけです。ビジネスの核となる『データ』はあくまで自社で管理しながら、戦略的な活用を進めることが重要です」(郡司氏)

こうしたマルチクラウド環境の実現に向け、インテルは多くのパートナーと共にエコシステムを構築している。これにより、データやアプリケーションの移動を容易にするコンテナ、ユーザーサービスを簡素化するPaaS、自動化のフレームワークなどを提供するという。

「先ほど紹介したパーシステント・メモリーは今後、こうしたクラウドの世界にも投入されていきます。高い可用性と信頼性、そして処理性能を備えたマルチクラウド環境で、金融業界各社が当たり前のようにビジネスをドライブしていく時代は、もうすぐそこまできています」と郡司氏。インテルは、その技術にさらなる磨きをかけることで、デジタル時代に挑む各社を支えていく。

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