日経クロステック Special

データ活用の差が招く企業間の競争力格差:予測不可能な時代を切り拓くためにインテルが提唱するDcX戦略とは

データデバイドの縮小のために
インテルが推進するDcX戦略

 従来DXという言葉が示す範囲は広範にわたり、レガシーなインフラの刷新や新技術の導入による生産性向上やプロセス改善なども含まれた。鈴木氏は「DXをよりデータ中心に捉え、攻めのビジネスを行っていく活動に絞ったメッセージとして発信したい」と、DcXという言葉に込めた意味を解説する。

 また、価値あるデータとはGAFAなど大手企業が持っているものに限った話ではないと鈴木氏は言う。「あらゆる企業が価値ある独自データを持っており、活用できる可能性がある。そのデータにどのような価値を見いだせるのか、その価値あるデータを使ってどのようなビジネスモデルを作り出せるのか。そうしたデータを起点に新たな付加価値を生み出すための取り組みとして、DcXを提唱したい」。

 データ活用で具体的にどのような新しいビジネスモデルを作れるのか、鈴木氏は電力会社を例に解説する。

 「センサーやAIなどを用いることで、電力会社は、ある地域の住宅では何時に明かりが点き、何時に消えることが多いのか、プライバシーを守りながら把握できるはず。ここから帰宅時間や入眠時間が予測できる。こうしたデータに、コンビニチェーンが持つトラフィックデータを組み合わせれば、さらなる活用法が見えてくるだろう。つまり、それぞれの企業だけが持つデータは潤沢にあり、データの活用方法も限りない可能性を秘めているということ。むしろ、データを活用できなければ、本来価値ある企業にも、もったいない事態が起きてしまう。業界を巻き込み、あるいは業界を超えて、データが持つ価値の最大化を図ることができるはず」(鈴木氏)

 では、なぜインテルがこれを提唱するのか。それはデータに注目した新しいビジネスの創発を、インテルなら2つの側面からDcXの早期実現によってサポートできるためだと鈴木氏は語る。

 1つは、インテルの持つ高い技術力だ。「インテルは“Move Faster(より高速な移動), Store More(より大量の保存), and Process Everything(全てを処理する)”を掲げ、CPUやメモリーなど半導体の設計製造において、5GやAIといった新世代の技術に応える技術を常に磨いてきた。エッジコンピューティングからクラウドコンピューティングまでを包括したマルチなソリューションを提供できるイネイブラー(実現する技術)としての経験を基に、様々な企業に応じたDcX戦略やビジネスモデルを構築していく」(鈴木氏)。

 そしてもう1つは、中立性である。「あらゆる業種・業態とのネットワークによって集約された知識と、プロダクトファーストではない中立的なポジションでマッチメイキングハブとして企業間を繋ぐことができるのがインテル。分かりやすく言えば、インテルの半導体は既に多種多様なお客様に利用いただいている、DcXを軸に産業界が成長していくこと自体が結果としてインテルの事業の成長にも繋がる。だからこそ業界の中立的なハブとして、皆様と議論し、正しいビジネスパートナーのご紹介や、あるいは当社自身も戦略構築やサービスに携わることができると確信している」(鈴木氏)。

期せずして訪れた変革期
ニューノーマルにどう対応すべきか

 DcXの潮流は、昨今の社会事情の変化によって、ますます勢いを増すことになりそうだ。鈴木氏は、COVID-19の世界的な感染拡大で、これまで当たり前でなかったものが当たり前になる社会「ニューノーマル」の到来が予想以上に早く訪れようとしていると指摘し、なかなか先の見通せない未来についてこう付け加える。

 「これまでは、投資家も経営者もいわばROE至上主義的に、短期的利益を追求してきた。しかし、既にSDGsやダイバーシティなどへの関心が高まっているように、ROEにとらわれすぎない持続可能な経営が、ニューノーマルでの経済社会での主流になるだろう。DcXも同じく、こうした状況を踏まえてデータへの価値をどう見いだして活用していくか、第一歩をどの方向へどれだけの歩幅で踏み出すのかが肝心。データデバイドを目の前に、立ち遅れた企業はどう追い付き追い越すことができるのか。一緒に議論を深めていきたい」

 2025年まであと5年。期せずして訪れた大きな変革期の中で、あらゆる企業が崖を克服すべく、インテルはDcX戦略を推進していく。