コロナ禍でビジネス環境が大きく変化する一方、ESGやSDGsの潮流によって持続可能性の追及が求められている。データ活用の格差、行政や教育のデジタル化の遅れなど、日本社会が抱える課題が多くある中、インテルは「4つのSuperpowers」を掲げ、社会課題の解決へと舵を切った。ビジネス環境の先行きが不透明な今、インテルが見据えた未来とは。インテル 代表取締役社長の鈴木国正氏と、日経BP 総合研究所 フェロー 桔梗原富夫の対談から紐解く。

インテルにしかできない方法で社会に貢献
4つのSuperpowersを軸に課題解決を図る

桔梗原

コロナ禍が世界経済に衝撃を与え、ワークスタイルを大きく変えています。ビジネス環境の先行きが不透明になる中で、インテルはどの方向へ舵を切るお考えでしょうか。

インテル
鈴木社長
(以下、鈴木)

当社はこれまで、イノベーションやデジタルトランスフォーメーション(DX)にコミットし続けてきました。その前提は今後も変わりません。日本の社会や企業が抱えている課題をしっかりと認識し、複数の問題に焦点を当てて解決への努力を続けていきます。

社会課題の解決に向けて、カギとなる重要な要素が4つあります。「クラウド」「コネクティビティ」「AI」「インテリジェント・エッジ」です。この4つのテクノロジーは「破壊的イノベーションを起こす4つのSuperpowers」と位置づけられており、インテルもこれらに関する様々な取り組みを進めています。

まずは日本企業の戦略にしっかりと寄り添い、信頼できるアドバイザーとしての責務を果たしていきます。それと並行して、日本社会が抱える大きな課題を意識し、解決へ向けた取り組みを進めます。

桔梗原

4つのSuperpowersに機動力を持たせるには、何が必要でしょうか?

鈴木

まずは「セキュリティ」です。酸素がなければ人が生きられないように、セキュリティがなければどんなテクノロジーも生かすことはできません。

セキュリティ対策はいま、大きな転機を迎えています。サイバー上の脅威が高度化し、アプリケーション層よりもさらに深い、OSやBIOS、メモリーなどへの攻撃が増えているからです。そうした攻撃に対処するには、さらに深いハードウエアレベルでのセキュリティが必要になります。それがまさに第 3 世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーに搭載された「インテルソフトウェア・ガード・エクステンションズ(インテルSGX)」や第11世代インテル® Coreプロセッサーに実装された「インテル・コントロール・エンフォースメント・テクノロジー」です。

コンピューターの心臓部であるCPUとその周囲にセキュリティ対策を施し、強力な防御力を持たせます。OSやドライバー、BIOSへの攻撃はもちろん、メモリーの改ざんや、リブート時に暗号化キーを盗む「コールドブート攻撃」にも対抗します。攻撃者によって仮にマシンが乗っ取られてしまっても、そこから防御力を発揮できる画期的なものです。サーバーからエッジコンユーティングに至るまで、同様のテクノロジーを一気通貫で展開していきます。

加えて、「脱炭素」の問題を考える必要があります。インテルは顧客である様々なメーカーと協力しながら、持続可能かつエネルギー効率の高いPCやサーバーをCPU/XPUのハードウエア半導体製品だけでなくソフトウエアを含むプラットフォームやシステム全体から開発していきます。産業全体の二酸化炭素排出量を、テクノロジーによって削減していく決意です。

桔梗原

確かにそれは、インテルにしかできないことですね。日本社会の課題を解決したいとおっしゃいましたが、まずはどのような問題に注目されているのでしょうか。

鈴木

大きな課題として、まずはデバイドの問題があります。日本の行政サービスの電子化は非常に遅れています。2020年の電子政府ランキングで日本は14位、先進国で最低レベルでした。また、教育分野のICT利用率では、OECD加盟国中最下位。衝撃的な結果でしょう。この問題を解決すべく関係パートナーと動きたいと思っています。今や社会貢献は企業の使命であり、その活動から外して考えることはできません。

桔梗原

ESGやSDGsの重要性が叫ばれる中で、企業活動と社会貢献は切り離せない関係になりつつあります。逆に言えば、そこにこそ企業を成長させる新たなビジネスチャンスを見出す時代に入っていると思います。

「つなぐ」と「寄り添う」をキーワードに
企業、行政、学校のデータ活用を促進

桔梗原

インテルは具体的にはどのようにして日本社会の課題を解決していくお考えでしょうか。

鈴木

モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)などによってビジネスを変革するDXを、インテルは今一度データ中心にとらえ直しています。独自に「データ・セントリック・トランスフォーメーション(DcX)」というコンセプトを打ち出しました。

鈴木

インテルのチップはサーバーからPC、IoTのデバイスに至るまで、コンピューティングのあらゆる階層に浸透しています。同時に、業種や業態を問わず、あらゆる分野にお客様を持っています。そうした立場にあるインテルだからこそ、産業界全体の利益のために働く中立的なハブとしての役割を担える可能性があるのではないでしょうか。様々な業種や業態の皆様を「つなぐ」。その役割を当社が率先して務めることで、産業界全体のために貢献したいと考えます。同時に、企業ごとの戦略や課題解決に「寄り添う」こともできるわけです。

この「つなぐ」と「寄り添う」という2つの言葉をキーワードに、あらゆる企業と協力しながら、具体的な取り組みを進めていきます。

桔梗原

そのような事例は、すでにあるのでしょうか。

鈴木

はい。電機、物流、運送、小売などの分野の企業と一緒にDcXの取り組みを進めています。例えば、日本通運様とはIoTとブロックチェーン技術を活用し、医薬品のサプライネットワークと情報サービス基盤を構築しています。今年から運用を開始しました。

また、教育分野の変革も進めています。岐阜県恵那市にある小学校14校と中学校8校には、インテルのミニPC「インテル® NUC ミニ PC」が400台以上導入されています。情報漏洩やデータ損失のリスクを最大限に抑え、確かなセキュリティと高い性能を備えたコンパクトなPCです。シンプルな構造で安価に導入でき、操作も管理もしやすく、先生方や生徒の皆さんに楽しみながら使っていただいています。

次世代の通信インフラを日本発で構築
あらゆるネットワークを光でつなげ

桔梗原

個々の企業がDXを急ぐ動きと並行して、産業界全体としては高速かつ高度な情報処理基盤の整備が必要とされています。その観点から、インテルはどのような取り組みを進めていかれるのでしょうか。

鈴木

産業ごとに縦割りに構築されてきたネットワークを、高速な光回線によってつなごうとしています。あらゆるデータを有効活用できるインフラを整え、無駄のないスマートな社会を実現しようとしているのです。それが、いわゆる「Innovative Optical and Wireless Network(IOWN)」です。IOWNの実現には、様々な技術革新が必要とされています。

鈴木

例えば、光波長ごとの通信、光ファイバーによるデータ転送量の大容量化、光融合技術を用いたプロセッサーなど、次世代のコミュニケーション・インフラを支援する最先端技術に注目しています。

桔梗原

すでにインテルのプラットフォームが日本社会全体に浸透している現実があります。これまで進みづらかった産業界の横の連携も、インテルが本気で取り組むのなら、確実に動き出すような気がします。IOWNの取り組みは、今後どのように進んでいきますか。

鈴木

世界に先駆け、この日本で「IOWN Global Forum」が立ち上がりました。日本電信電話(NTT)、ソニー、インテルが発起人となり、参画企業はすでに37社を数えます。

今後、次世代の通信インフラを構築していく上では、世界の様々なエコシステムパートナーと組んで、光電融合を始めとした新しいテクノロジーに加えて、脱炭素化、それから超高速・超低遅延ネットワークに基づいた最適な分散コンピューティング処理の在り方などを検討していく必要があります。また、日本の企業にとっても、様々なかたちで貢献できる分野だと思っています。

桔梗原

今日のお話を聞き、今後の方向性が楽しみになりました。インテルは自ら産業界のハブとなることを決意し、行政、企業、学校などと具体的な取り組みを始めている。次世代の通信ネットワークを、日本発で構築しようとしている。インテルにしかできない数々の取り組みによって、日本社会が抱える課題が本格的に解決されていくことを期待しています。

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