物流のプラットフォーマーへ 日本通運の挑戦

日本通運株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 齋藤 充氏 × インテル株式会社 代表取締役社長 鈴木 国正氏

日本を代表するロジスティクスカンパニーとして、国内、そして国際物流の重責を担う日本通運。グローバル市場で存在感を持つメガフォワーダーを見据え、大いなる変革を進めている。「イノベーションによる新たな価値創造」を目指す同社が重要視しているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)への対応だ。IoTやデータを活用した次世代の物流のあり方とは。代表取締役社長である齋藤充氏とインテル 代表取締役社長 鈴木国正氏の対談から、進化する物流の未来を紐解いた。

お客様に届けるために「最良の道」を考える

インテル 鈴木社長(以下、鈴木):私は新卒で入社した企業で最初に配属されたのが物流部門でした。そこで仕事の基本を学び、様々な刺激を受けました。そのため、物流には思い入れがあり、齋藤社長との対談をとても楽しみにしていました。

日本通運 齋藤社長(以下、齋藤):これはご縁ですね。よろしくお願いします。

鈴木:今回のコロナ禍で多くの企業が影響を受けました。日本通運様はグローバルサプライチェーンプロバイダーとしての役割が大きいと思いますが、どのような対応をなさったのでしょうか。

齋藤:お客様の物流を止めないことは当然ですが、それと同じくらい、従業員とその家族を守ることを考えました。従業員の安全・安心があってこそ、お客様の物流を守ることができます。中国でロックダウンが起きたときには、貨物を運ぶチャーター便がストップしたり、貨物クルーを飛行機から降ろすことができなくなったりするなど、オペレーションの変更・混乱がありました。しかし、国内で幾度も自然災害を経験した私たちは、被災地が必要とするものを必要としている場所へ送るということを長年やってきています。有事でもお客様をサポートしてしっかりと輸送するDNAがあり、今回もできるだけお客様のサプライチェーンを止めない努力をしました。

鈴木:大変な事象に対応してきたからこそ、経験値が養われていたのですね。具体的にはどういった対応を取られましたか。

齋藤:まず、新型コロナウイルス感染対策として、オペレーションスタッフをASEAN諸国に分散配置。各国で空き倉庫の確保に奔走しました。大変だったのは、サプライチェーンが常態に戻る過程です。急激に荷物が増え、通常の貨物機だけでは手が回らなくなりました。そこで、海外渡航が減って空いていた旅客機を確保してその貨物室を活用するなど、海外のネットワークも連携して対応をしました。物流が止まると工場も止まりますからね。お客様のサプライチェーンを全力でサポート、こういうシンプルな発想です。

鈴木:物流により世界中の人々が影響を被る可能性もありますので、ありがたい話だと感じます。今回のような困難なミッションでもやりとげる根底には、『We Find the Way』という信念があるとうかがいました。

齋藤:『We Find the Way』は、「できる・できない」の話をせずに、「どうやったらできるのか」だけを考えるという意味を込めています。絶対ギブアップしない、どんなに困難でも、私たちはお客様の期待に応えるたったひとつの最良の方法を見つけ、どこであろうとお届けする。今回のコロナ禍でも、従業員がそれを体現してくれたからこそ、お客様のサプライチェーンを守り、貢献できたと自負しています。そして更なる貢献のためには、中期経営計画でも記した「イノベーションによる新たな価値創造」。私たちが挑戦するイノベーションとは、長期ビジョンの実現に向けて、企業のあり方・考え方を根本から革新することです。具体的には、顧客(産業)軸、事業軸、エリア軸によるアプローチをイノベーションで強力に推進して、強みである日本で培った顧客基盤・事業をグローバルで成長させていきたい。そのためにはDXは必須です。各サービス、エリアという距離の概念を、デジタル活用により横通ししていくことを考えています。最終的には、ベーシックなものを提供する価値、言葉を変えれば、プラットフォーマーを目指しています。

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