物流のプラットフォーマーへ 日本通運の挑戦

医薬品の物流を大きく変える『Pharma2020』

日本通運株式会社 代表取締役社長 社長執行役員 齋藤 充氏

鈴木:プラットフォーマーになるということは、自社が持つデータを業界全体で活用する、あるいは、業界を超えて異業種を結びつけるといった中立性が必要です。そういう意味で、日本通運様はE2E(End to End)で物流データを考え、既にその域に入ろうとなさっている。

齋藤:その象徴的な取り組みのひとつで、中期経営計画の重点項目でもあるのが、医薬品物流のプラットフォームプロジェクト『Pharma2020』です。これは、既に欧米ではルールとして運用されている医薬品の適正流通基準「GDP(Good Distribution Practice)」の日本導入を見据えたプロジェクトです。医薬品が出荷され、薬局や医薬品販売業者、医療機関などに運ばれる過程で、高い品質を保つだけでなく、偽造医薬品が正規流通経路へ流入するのを防止するのが目的。日本通運では、この医薬品物流の大変革期をチャンスと捉えて、徹底した温度管理やエアシャワーを導入した医薬品のみを扱う新拠点や医療品輸送に特化した配送トラックを準備。加えて、IoTとクラウドを活用し、E2Eで物流データをトレースし可視化していく仕組みの実用化を目指しています。

鈴木:そのトレースの部分では、『インテル® CLP(インテル® コネクテッド・ロジスティクス・プラットフォーム)』を応用したシステム、『GCWA(Global Cargo Watcher Advance)』の構築で、弊社も協力させていただきました。

齋藤:ありがとうございます。GCWAは御社のセンサー技術を応用し、小型タグで温度、湿度、照度、衝撃、傾きのデータを記録してクラウドにアップロードするシステムです。これにより、医薬品の個体レベルで随時、状況を把握することができるようになり、川上から川下まで物流データが可視化されるようになります。万が一のトラブル時、どの時点で発生したのかを追跡可能になったり、偽造品との入れ替わりや誤送を防いだりすることができるようになります。医薬品の流通経路は複雑な部分もありますが、このプラットフォームを共有して効率化できればと考えています。これからは日本国内で企業同士が消耗戦を行うのではなく、オールジャパンを掲げて物流業界全体で活用できるプラットフォームの構築・整備を進めていきたいと思っています。

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