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Intel Cloud Forum 2022 Spring
開催レポートテクノロジーとビジネスの両面からクラウド活用の最前線を語る

2022年5月18日に開催された「インテル・クラウドフォーラム 2022 Spring」では、クラウド活用を検討するあらゆる企業を対象に、その最新トレンドとインテルの戦略、ユーザー企業の導入事例、インテルの技術を活用しているクラウドベンダーの特長やサービスなど、価値の高い情報が共有された。クラウドビジネスを展開するうえでインテルCPUを活用することの意義や、インテルが提供する4つのビジネス価値などについても幅広く議論した。

3億ユニット出荷の実績と充実したエコシステムで
ビジネス変革を支援

インテル株式会社
代表取締役社長
鈴木 国正 氏

冒頭でインテル 代表取締役社長の鈴木国正氏が登壇し、開会の挨拶を行った。「Intel Cloud Forum」の開催は今回が本邦初となる。クラウドの導入や活用方法について、ゲストスピーカーの貴重な情報をシェアしたいと述べた。

続いて、インテル アジア・パシフィック &ジャパン・リージョン事業部長のスティーブ・ロング氏がインテルの4つの信念とそれぞれの戦略について語った。

第1の信念は「半導体への需要は長期的に持続する」だ。半導体は今後10年以上にわたってビジネスに欠かせない存在となる。その信念のもと、インテルは市場をリードする製品を提供し続ける。第2の信念は「コンピューティングに対する飽くなき需要が、ムーアの法則の価値を向上させる」だ。インテルの歴史はムーアの法則とともに発展してきた。今後も指数関数的な価値を生み出す。

インテル コーポレーション
副社長 兼 セールス・マーケティング&
コミュニケーション事業本部
アジア・パシフィック&ジャパン・リージョン事業部長
スティーブ・ロング 氏

第3の信念は、「オープンなエコシステムがイノベーションを促進し、コンピューティングを民主化する」だ。過去に存在した閉鎖的なエコシステムは、すべて消えていった。インテルはオープンソースの世界最大の理解者となる。そして、第4の信念は「バランスと回復力の高いサプライチェーンが重要になる」だ。特定の供給源に依存することなく、バランスの取れたサプライチェーンを世界規模で整備していく。

インテルは「ビジネスの加速」「パンデミックの影響」「人工知能(AI)」「エッジコンピューティング」の4つをトレンドとして認識している。エンタープライズ企業の85%がAIをビジネスに活用し、エッジコンピューティングでは22年までに94ゼタバイトのデータが消費される。

ロング氏はクラウドに話を進めた。インテルがクラウドに注力する理由は3つある。第1は「経験と知見が生かせること」。インテルは1998年6月にインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーをリリースし、3億ユニット以上を出荷。同業他社が300~400万ユニットの水準にあることを考えれば、インテルの経験と知見の大きさがわかる。第2は「製品」だ。インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーにより、インテルは世界中のデータセンターにマルチクラウドの柔軟性と効率性を提供している。第3は「エコシステム」だ。OEMやデバイス、ハードウエア、データセンター、クラウドなどのプロバイダーに投資してきた。今年はクラウドパートナーを2倍に増やす。「多くのパートナーと協働してお客様の課題を解決し、クラウドの価値を最大限に生かせるシステムとソフトウエアを開発していく」と述べ、ロング氏は話をまとめた。

クラウド活用はマルチハイブリッド型から
分散型へ進化

続いて、インテル 執行役員 インダストリー事業本部長の張磊氏が登壇し、「ユーザー企業のクラウド・インフラストラクチャーを支えるインテルの戦略」と題する基調講演を行った。

冒頭、張氏は「2022年、世界経済の50%以上がデジタル化され、多大な影響を受ける」と述べた。コロナ禍以降、デジタル化なしに企業活動が続けられなくなった。そのデジタル化が新たなビジネス機会を創出している。1秒間に127個の新しいデバイスがインターネットにつながる中で、データが爆発的に生み出され、その管理のために毎年700億ドル規模の新たなビジネスが誕生している。

続いて、インテルの3つの戦略を解説。「GPUやFPGA、ASICなど、CPU以外の製品の拡充」、「シリコンだけでなく、ソフトウエアやサービスまでを含むプラットフォームにフォーカスする」、そして「IDM2.0」だ。

インテル株式会社
執行役員 インダストリー事業本部長
張 磊 氏

IDM2.0のコアは「インテル・ファウンドリー・サービス」だ。インテルは半導体業界でも珍しい「垂直統合型」のメーカーであり、設計から製造まで自社で行っている。この方針は継続するが、今後はそれに加えて外部のファウンドリーを戦略的に活用していく。これまでにない多彩な製品を生産するほか、自社の空きリソースも利用して他社ニーズに応えるカスタム製品などを手掛ける。

クラウドは、インテルが提供している4つのスーパーパワー「ユビキタス」「コネクティビティ」「クラウド・トゥ・エッジ」「人工知能」の中でも大きな柱だ。日本のSaaS市場は年率13%ほどで成長を続けており、ユーザー数は過去5年間に毎年130%という急激な成長を記録。クラウドサービスの活用によって低コストで早いデジタル化が進行している。

インテルがなぜクラウドの未来に関心を寄せるのか。「1つのCPUを作るのに3~4年かかるからだ」と張氏は説明する。今から設計するCPUは4年後に出荷される。4年後のトレンドを正確に見据えて動かなければ、死活問題となる。このため、パートナーからエンドユーザーまで幅広く意見を聞き、確かな調査にもとづいて製品を開発している。

インテルが考えるクラウドの未来は次の通りだ。

クラウドの変遷とインテルが予測する未来

オンプレミスから仮想化が生まれ、プライベートとパブリッククラウドの併用、そして現在はマルチハイブリッド・クラウドが普及しつつある。この先、マルチハイブリッド・クラウド化がさらに進めば、クラウドレイヤーでのオーケストレーションが必要になり、それが分散型クラウドへと発展する。

現在、あらゆるクラウドで第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーが使われている。今年後半には、その第4世代を発表する予定だ。

「インテルの目的は、お客様のビジネスの成長です」(張氏)。クラウド化自体を目的とせず、ビジネスに即した正しい活用法を選択してほしい。インテルはそれをテクノロジーとソリューションで支援し、共に社会課題を解決してきたいと述べた。

インテルのCPUが
提供する4つの価値

この後、インテル クラウド・ソリューション・アーキテクトの松田貴成氏が登壇し、「クラウドにおけるインテルの重要性とは」と題する技術セッションを行った。松田氏は東京2020オリンピックにおいて、開会式のドローンショーやAIによる自動車の自動運転支援などを実現した立役者だ。

インテル株式会社
セールス・マーケティング&
コミュニケーション事業本部
インテル・データセンター&
AIグループ・セールス事業部
クラウド&データ・アナリティクス・ソリューションズ
クラウド・ソリューション・アーキテクト
松田 貴成 氏

クラウドにおいて、なぜインテルのCPUが重要なのか。その基本的な理解として、松田氏はまず「世界中のあらゆるクラウドでインテルのCPUが使われている事実を踏まえてほしい」と述べた。続いて、インテルのCPUが提供する4つの価値について解説。4つの価値とは「性能」「コスト」「持続可能な社会へ」「セキュリティ」だ。

あらゆるクラウドでインテルのCPUが使われているため、クラウドサービスの土台となる100以上のオープンソースプロジェクトやエンタープライズアプリケーション等に対してインテルの15000人のソフトウエアエンジニアが最適化等の活動を通して貢献している。インテルのCPUに最適化されたソフトウエアを使うことでワークロード性能が向上する。「仮に1000台のサーバーの性能が50%向上すれば、インスタンスを半減でき、コスト削減と温室効果ガス低減を同時に実現できます」(松田氏)

セキュリティ面では、コンフィデンシャル・コンピューティングに不可欠な機能を提供するインテル® SGXがハードウエアレベルでサポートしている。仮に脆弱性を狙われたとしても、プロセス単位でエンクレーブと呼ばれる「誰にも見えず、どこにも繋がっていない部屋」を使って計算する仕様を実現し、デー タを強固に守っている。

また、Web上のトランザクションの暗号化も、第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーに搭載された新たな命令セットで改善。「NGNIX」の性能向上、「WordPress」を1.48倍性能向上など、ワークロードの最適化技術によってクラウドの性能を総合的に向上させている。

第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーによる性能向上の例

AIにおいても、機械学習で得た変数リストをOpenVINOのモデルコンバーターで推論モデルに変換し、推論プロセスの性能を11倍高速化している。IoT機器から吸い上げたデータの抽出・変換・ロード、データウエアハウスに格納するためのワークロードや検索エンジンもインテルのCPUに最適化されている。

「本当の費用対効果は、実際のワークロードを走らせてみるまでわかりません」(松田氏)。インテルはワークロード全体でベンチマークを取り、ビジネスの効率化とコスト効果の向上に努力している。また、インフラやアプリケーションのエンジニアに対し、インテルの性能を引き出すためのアプリケーションノートやその他のリソールを提供しているので、ぜひご活用いただきたいと語った。

本セッションに続き、クラウドを活用してDXを進める2社のユーザー企業によるユーザーセッションが行われた。また、大手クラウドサービス事業者により、クラウドサービスの最新事情とその活用状況などについて情報が共有された。インテルCPUをベースに、クラウド活用を支える巨大なエコシステムの効果が際立つセッションとなった。

本記事で紹介した情報は、実際の講演内容のほんの一部だ。各講演の様子はオンデマンド動画で視聴できる。この機会にぜひオンラインでセッションを体験し、ビジネスの向上に生かしていただきたい。

世界のクラウドを支える
第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー

クラウドやエンタープライズ、ハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)、5G、エッジコンピューティングなど、多彩なビジネス要求に対える第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、あらゆるクラウドサービスで使われています。