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ローカル5G――、
企業の技術革新を後押しするインテルの眼差し

10年前、「クラウド」という言葉に多くの人が心を躍らせたように、今後のビジネスの核として「ローカル5G」に注目する企業は多い。目下の課題は、ローカル5Gをどうビジネスに取り入れるか。そして新しい技術で既存サービスを向上させ、さらには今までになかった革新的なサービスを生み出せるのかという点だ。インテルは、ローカル5Gを用いたソリューションを提供しようと知恵を絞る企業から、実際に工場など製造現場にローカル5Gを導入しようと考える企業まで、すでに多くのパートナーと業界スタンダードとなるユースケースを確立すべく邁進している。そんな
インテルだからこそ言えるローカル5Gの現状、企業がローカル5Gに見いだすべき利点、さらには導入に向けた道筋とはなにか。肝となる部分をインテル株式会社 執行役員常務 技術本部 本部長 土岐英秋氏に聞いた。

苦境から新ビジネスは生まれる!
5Gはその希望の光

“ローカル5G”は現状、言葉だけがもてはやされ、一人歩きしている――。そう見る向きが一部にある。なぜなら5Gの技術や仕組み、メリットを理解したとしても、それをビジネスへ生かす道筋が確立していないように思えるからだ。実際、ビジネスの話をする中で、「ローカル5Gという言葉のウケは良い」と土岐氏は話す。

「昨年、CIOやそれに準ずる方が集まる会に出席したとき、ローカル5Gの話になると皆さん、一様に声を上げて興味を示しました。しかし、『実際にローカル5Gで何をするのですか?』と尋ねると、『いや、今まさにそれを考えているところです』という解答ばかり。ローカル5Gを使って何か新しいサービスやビジネスをやらなければ……というお題はあるものの、具体的な形にはなっていないという状況でした」

インテル
執行役員常務 技術本部
本部長
土岐 英秋 氏

5Gの商用サービスは今年3月にスタートした。しかし、これから5Gが本格始動するという矢先、COVID-19が経済活動に大きな影を落とした。多くの企業は厳しい現実に直面しているわけだが、この状況を土岐氏は大きな視野で捉えている。

「過去を振り返ってみると、今までにない革新的なサービスは、経済がダメージを受け、そこから回復しようとする過程で生み出されてきました。今、時代を席巻している『Uber』も、リーマンショック後に登場したサービスです。現在、多くの企業が苦境に立たされていますが、ここから脱却しようともがくことで、新しいビジネスが生まれくると信じています。特にCOVID-19の影響で、今までの社会システムを変えようという風向きが強くなっています。この中で、ローカル5Gだからこそできたと言われるモノが、きっと見つかるはずです」

5Gの必要性が
高まった3つの要素とは

では、多くの企業が5Gに熱視線を送る理由は、どこにあるのだろう。土岐氏は5Gの必要性を高めている要因として、データ量の爆発的な増加、それらを処理するうえで高速かつ多接続に耐えること、有線のネットワークを置き換えられるほどの超低レイテンシーという3点を挙げた。一つ目のデータ量については、今後、一説には数十億と言われる圧倒的な数のデバイスがネットワークに接続されることを予想されているとし、「これらのデバイスから生成させるデータがとてつもない量になります。重要なのは、このデータをどう使っていくかです」と指摘した。すなわち5Gを活用することで、生成したデータを処理する場所へ送ることが可能になる。今までならどこかで一括して処理していることが、AIを含めた新しいワークロードから、クラウド、エッジ側まで分散してできるようになるのだ。

5Gの必要性が高まる背景にあるのが、上記のスライドで指摘する3つの要素

次に高速かつ多接続に耐えるネットワークについて、ビデオのストリーミングに例えて解説する。

「若い人にとって、ビデオのストリーミングは当たり前のものになりました。すでに、いろいろなコンテンツがビデオの形でシェアされています。皆さんもこれらを利用されているとき、ビデオの再生が止まり、データの読み込みを待つという状況を経験したことがあるでしょう。これはユーザーにとって、非常にストレスを感じる状況と言えます。5Gを導入することでデータ通信のキャパシティーが増え、多数のユーザーが同時接続しても、待たされることなく快適に使えるようになるのです」

最後は、5Gが既存の技術とは最も違うポイントとされ、主に産業で有効と言われる「超低レイテンシー」という観点だ。「5Gでは通信のタイムラグ、レイテンシーが少ないという特徴があります。これにより、リアルタイム性が求められる処理にも活用できるのです」と土岐氏。早い話が、これまで有線ネットワークでないと使えなかったマシンの制御ネットワークのような分野が、5Gなら置き換えられるようになるということになる。

「前述の2つの要素は、ある程度既存のネットワークでも体験できていた部分ですが、超低レイテンシーは5Gによって初めてもたらされる利点になります」

ローカル5Gは
クラウドのように使われ始める

このような概況を理解すれば、世の中が5Gという新しい技術を求めることにも合点がいく。そこで気になるのが、企業によるローカル5Gの導入はどのように進むのかという点だ。土岐氏は各企業が自前でローカル5Gを一から構築するという状況にはならないと分析した上で、「日本ではOEM、ODM、Slerなどパートナー企業がソリューションを構築し、これらを各企業へ提供していくことが多くなると思います」と語った。企業としてローカル5Gを意識的に使おうという話ではなく、自分たちの課題を解決するのに最も適切として選んだソリューションに、ローカル5Gの技術が使われている。そこまでマーケットを作り上げていく必要性があるというのだ。

「10年前によくあった議論と一緒です。どの企業もクラウドを使いたいと考えていました。でもクラウドという技術は理解できても、実際にどのように使えばいいのかを考えあぐねていたのです。今、実際に中小企業の状況を鑑みると、プライベート・クラウドを使っているところもありますが、多くはSlerなどが提供するサービスとしてクラウドをビジネスに活用されています」

実際、クラウドにおいては、ハイブリッド・クラウドという言葉が当たり前になった。最終的にはローカル5Gも同じようなハイブリッドの形へと進むと思われる。ある部分はローカル5G、ある部分はパブリックの5Gを使うといった棲み分けが自然となされていくはずだ。

ローカル5Gが
必須となるシーンとは

世間的に5Gには、商用サービスとしての5Gに注目が集まっている。だが、まだまだこれからという段階になるローカル5Gにも大きな訴求ポイントがある。それは閉域網だ。お客様専用のネットワークを構築できるという側面がある。企業が扱うデータには個人情報を含む、コンフィデンシャルなものも少なくない。こうしたネットワーク上に置きたくないデータを安全に取り扱うためにはどうすればいいのか?この課題への答えは、パブリックではない切り離されたネットワークにある。

「クラウドでも、パブリックとプライベートがあるように、自社のデータ、あるいは自分たちの個人情報をパブリックなところに置きたくないケースが多々あります。例えば工事現場では働いている方に、センサーを付けて熱中症対策をしている事例。現状では、そのセンサーを通じて取得した個人データが、すべてネットワーク上に上がっているという問題があります。今後、取得したデータを自分たちで管理して使っていくには、パブリックではなく、閉域網を使う必要があるわけです。個人情報の出方をコントロールする上で、閉域網という視点は極めて重要です」

土岐氏はさらに続ける。「そもそもパブリックの5Gと、ローカル5Gでは求められている領域に違いがあります。パブリックの5Gで一番低遅延が求められている領域では、自動車関連になるでしょう。高速道路をすごい速度で走行しているとき、データ処理(運転操作)に遅延があると、命の危険につながります。このように決められていたサービス上で、低遅延が必須とする要素というものが出てくるわけです」。

一方、ローカル5Gの低遅延は、大容量であるという利点と組み合わせて使うケースが多くなるだろうとも指摘する。「工場などでローカル5Gに興味を持っている方からは、8Kの画像を処理してその8K画像に基づいた状態で判断したい」という話が実際にあるのだとか。4K以下だと解像度が足りない。もっと高解像度、大容量のデータを瞬時に送って分析結果を返す……という動作を組み合わせたいという企業では、ローカル5Gの低遅延という部分が注目されているという。

ローカル5Gで
インテルが果たす役割

では、来るべき5Gがスタンダードになる世の中で、インテルはどういった役割を担うのか。昔から一貫しているのは、「技術の進化をできるだけ速く、皆さんの生活を豊かにすることを目指す」というスタンスだろう。5G時代の
基盤作りもその一つ。核としてはエッジ側で膨大なデータを処理するのに不可欠なプロセッサー「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」をはじめとするハードウェア。多岐にわたるデバイスをサポートし、バラエティーに富んだワークロードを処理するためのソフトウェア。このほかにも「必要とされる技術やソフトウェアを進化させ、エコシステム・パートナーが必要であれば速やかに組み込ませていく方針」でもあるという。

インテルとしてもパートナーと5Gのマーケットを作ろうという取り組みの中、エンドユーザーにとって近しい存在となり、その結果、「ローカル5Gについてインテルに問い合わせしてみようという気持ちを持たれる事業者も出始めています」と土岐氏はいう。興味深いのは、このサービス屋さんのこのサービスを使おうと判断と下す前に、インテルに話を持ちかけてくる企業が多いという点だ。インテルに対して、「いろいろなパートナーさんとお付き合いがありますよね。どういう風に使われているのですか……」というように相談を受けるのだという。

多くの企業がローカル5Gをどう使っていけばいいか分からない中で、インテルとしてアイデアも提案しながら、一緒になって5Gのソリューション、そしてユースケースを作り上げている状況にあるという、興味深い話だ。最後に土岐氏は、「インテルは、誰とでも中立で話ができるという立ち位置にいる企業です。これからも弊社の製品を使っていただける方、買っていただける方の声を集め、市場のニーズをくみ取る活動を続けながら、次の世代の製品に生かしていきたいと思っています」と綴った。

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