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企業間のデジタル格差に打ち勝つ攻めのビジネスモデルを構築する
インテル・データ・セントリック・イノベーション・デイ 2020
開催レポート

2020年7月に開催された2020年の「インテル・データ・セントリック・イノベーション・デイ」は、新型コロナウイルス感染対策を考慮し、オンラインイベントとして開催された。AI、IoT、5G といった最新 IT テクノロジーが注目される中、今後、多種多様なデータを蓄積・活用するために、高い計算能力が求められている。今回のオンラインイベントは、最新のテクノロジーに対して、インテルがどのような方向性で向き合い、ソリューションを提供していくかを知る貴重な機会となった。

データ・セントリック・トランスフォーメーションを推進していく
インテルのポートフォリオ

開会の挨拶に立ったインテル株式会社 代表取締役社長の鈴木国正氏は、インテルが掲げるデータ・セントリック・トランスフォーメーション(DcX)についての説明を始める。データ・セントリック時代には、データ活用の格差(データ・デバイド)が企業間で起きる可能性があり、いわゆる2025年の壁に直面する危険性が高い。デジタルトランスフォーメーション(DX)という言葉が注目され、今や一般的になっているが、DcXはよりデータを中心に据え、データの価値を最大限に高めて、攻めのビジネスモデルを構築することを指す、インテルが発信している概念だ。

インテル株式会社
代表取締役社長
鈴木 国正 氏

DcXを提唱する理由について鈴木氏は、「エッジからクラウドまでの包括的なソリューションを提供するインテルが、さまざまな最新技術に対応できる製品を生むための開発に投資することが目的」とし、あらゆる業種業態とのネットワークによって集約してきた知見を中立的につなぐハブとしての立場で事業を進めているという。そのためDcXの推進で産業界がさらに成長することが、インテルの事業成長につながると考えているのだ。DcXという考え方で、複数の企業や異業種間での連携をインテルが率先して進めることで、データの可能性を最大限に引き出すソリューションを提供していくことを鈴木氏は示している。

基調講演では、インテル株式会社 執行役員常務 技術本部 本部長の土岐英秋氏が、さらなるデータ社会の実現のためにインテルが提供するソリューションについて解説した。

第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー(コードネーム:Cooper Lake)は、5年前のシステムに比べ平均で1.9倍パフォーマンスが高く、メモリーとしてインテル® Optane パーシステント・メモリー200シリーズに対応している。また、インテル® スピード・セレクト・テクノロジーによって、一世代前と比べてより正確かつ緻密なコントロールが可能だ。

インテル株式会社
執行役員常務 技術本部 本部長
土岐 英秋 氏

インテル® ディープラーニング・ブーストは新バージョンのbfloat16が搭載され、従来のFP32とほぼ同等の精度でAIを処理しながら、2倍のスピード(学習で1.93倍、推論で1.9倍)を実現している。さらに、2021年には次世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー(Sapphire Rapids)を投入する予定となっており、新たな命令セットの拡張に期待してほしいと土岐氏は説明する。

インテル® Optane パーシステント・メモリー200シリーズは、第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーと組み合わせることで、1ソケットあたり最大4.5TBのメモリーを実装でき、4ソケットで18TBのメモリーを提供できる。また、帯域幅は従来よりも平均25%向上し、不揮発性メモリーのストレージとして使用した場合は、NAND SSDと比較して225倍のパフォーマンスを実現できる。

最新のTLC 3D NANDテクノロジーを採用したインテル3D NAND SSD D7-P5500&P5600は、従来よりもレイテンシーは最大40%、パフォーマンスは最大33%向上している。

AIに向けては、FPGAとしてインテル® Stratix® 10 NX FPGAを提供。AI Tensorブロックを実装し、メモリー帯域が非常に高いこのFPGAを活用することで、アーキテクチャーが異なるヘテロジニアスな環境でもAIに最適化でき、これまで以上のパフォーマンスが可能になると土岐氏は説明する。最後に土岐氏は、「非常にベネフィットの高いソリューションに対してインテルは、さまざまな製品の幅広いポートフォリオを提供して、パートナーのエコシステムとともに皆様に提供していく」と話して、基調講演を終えた。

今後10年を決定づけるAIと
データ分析に向けた最新ソリューション

インテル株式会社 技術本部 プラットフォーム・アプリケーション・エンジニアの矢内洋祐氏は、第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーとインテル® Optane パーシステント・メモリー200シリーズの解説をさらに掘り下げていく。

第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、従来は最大3リンクであったUPIが強化され、最大6リンクに増え、リモートソケットのデータとのやり取りが強化されたほか、高速なDDR4-3200メモリーに対応している。

インテル株式会社
技術本部
プラットフォーム・アプリケーション・エンジニア
矢内 洋祐 氏

ハードウェアによるセキュリティ支援も充実しており、インテル® プラットフォーム・ファームウェア・レジリエンスによって、FPGAに格納したロジックを活用して、ファームウェアの健全性を自動で判別することができる。また、インテル® スピード・セレクト・テクノロジーといった機能や、インテル® Optane パーシステント・メモリーなどのデバイスにも対応しており、これらと組み合わせることで効率性をさらに向上できることもアピールした。

インテル® Optane パーシステント・メモリー200シリーズの解説に移った矢内氏は、現在のメモリーやストレージの構成は役割に沿った構成となっており、DRAMとSSDの間には容量と性能のギャップがあると説明。インテルでは、これらのギャップを解消するために、DRAMとSSDの間に大容量の不揮発性メモリーとしてインテル® Optane パーシステント・メモリーを、高性能でランダムアクセスに強いSSDとしてインテル® Optane SSD 905P シリーズを、効率的なストレージとして3D NAND SSDを市場に投入している。インテル® Optane パーシステント・メモリー200シリーズは、高性能化によってI/Oボトルネックを解消し、データ分析を高速化して、アプリケーションのパフォーマンスを向上することが可能となる。

最後に矢内氏は、「AIとデータ分析は、これから10年を決定づける重要なワークロードだとインテルでは考えている。第3世代インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーは、AIなどのデータの負荷が高いデジタルサービスに対応しており、bfloat16に初めて対応したメインストリームや汎用サーバに向けたプロセッサとなっている。今後もインテルは、幅広いポートフォリオでデータ・セントリックな社会を支えるソリューションを提供していく」と話している。

インテルとAIに蜜月の歴史
過去・現在・未来

インテルのAIに対する取り組みを解説したのは、インテル株式会社 アジア・パシフィック・ジャパン データセンター・グループ・セールス AIテクニカル・ソリューション・スペシャリストの大内山浩氏だ。

これまでインテルは、ディープラーニングの推論処理に注力し、事業活動や製品開発を行ってきた。AIは、学習がメインのモデルの構築と推論メインのモデルの運用では求められるインフラに違いがあり、構築ではアクセラレータが使われ、運用ではCPUが使われることが多いためだ。そのため、インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーでは、第1世代のSkylakeからAIワークロードに適し、ディープラーニングに特化した命令セットを提供してきた。

インテル株式会社
アジア・パシフィック・ジャパン
データセンター・グループ・セールス
AIテクニカル・ソリューション・スペシャリスト
大内山 浩 氏

また、AIソフトウェアも提供し、 OSSベースのPythonフレームワークをインテルCPUに最適化・チューニング。推論処理のさらなる性能向上のために、ディープラーニングの最適化(CPUに合わせたモデルのスマート化)と量子化(モデル内部の数値表現を32ビットから8ビットにスリム化)の技術、OpenVINO ツールキットなどのソリューションを提供することで、同一のハードウェアでも推論性能やデータ処理能力が向上し、企業のTCO削減に貢献してきたと大内山氏は説明する。

一方、現在のインテルは、たとえば、製薬会社の事例では、GPGPUで困難だった大容量画像データ処理を、CPUと大容量メモリー、分散学習技術の活用をインテルが提案することで解決するなど、ディープラーニングの学習処理やマシンラーニングにも範囲を広げている。

インテルがマシンラーニングにも注力する範囲を広げる理由について大内山氏は、ビジネスの現場ではマシンラーニングの活用比率がまだまだ高い状況であることを挙げる。マシンラーニングでよく使われているPythonと周辺ライブラリーを最適化して提供することで最大限のパフォーマンスを発揮できるほか、ソフトウェアベンダーが提供する分析ツールでも、最新のインテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサーを使うことで、パフォーマンスの向上が期待できると大内山氏は説明している。

AIの世界では、セキュリティやデータ、アルゴリズムにおいて新たなテクノロジーやデマンドが登場し、PPMLやGraph、SLIDEといった技術に注目が集まっている。インテルでは、これらの技術にも積極的に投資しており、たとえば、プライバシーデータを保護してマシンラーニングを行うPPMLの応用例としてペンシルベニア大学とともにFederated Learningという技術の有効性を測る共同検証を実施し、その中でインテルSGXを使うことでハードウェア支援型のメモリー暗号化機能を提供している。

これまで培った知見や各種AI技術を武器に、より多くの課題解決をサポートしていきたいと話す大内山氏は、インテルは課題解決の初期のフェーズからアプローチを行い、提案、実装、導入までをサポートしていくと説明する。ITのパーツを販売する企業ではなく、さまざまな業種に対してAI活用の支援を行い、ビジネス課題を解決するパートナーとして活動していくことを大内山氏は表明し、「今後インテルは、皆様のAIジャーニーを最大限支援させていただきたいと考えているので、AIジャーニーのパートナーとしてインテルという会社を使い倒していただきたい」と語った。