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Intel Insideを再構築する新たな
プロセッサーへの取り組み

大量のデータを、より迅速かつ正確に処理しなければならないデジタルの時代においては、プロセッサーに求められる性能や役割も大きく変わってくる。これまで、PCからサーバー、データセンターに至るまでフルスケールでプロセッサーを提供してきたインテルも、デジタルの時代においては用途に応じて最適な性能を提供するXPUプラットフォームが重要になってくると考える。インテル株式会社 執行役員常務 技術本部 本部長 土岐英秋氏は、2019年10月に東京ビッグサイトで開催された「日経xTECH EXPO 2019」(主催日経BP)におけるセミナーで、「DX経営の要 データ分析とAI 結果を左右するのはITインフラ」と題して講演し、デジタル時代にインテルが目指す製品コンセプトの全体像などについて紹介した。

Intel Isideを再定義するXPUプラットフォーム

デジタルトランスフォーメーションの推進で重要なことは、爆発的に増えてしまったデータをどう活用するかである。特に最近では、エッジコンピューティングに関わるデータの増加が顕著だ。「そのように伸びているデータを、どうやってうまく使うのか、どう処理するのかがデジタルトランスフォーメーションの課題であり、その課題の解決がビジネスチャンスに繋がるのです」と、土岐氏は述べる。

インテル
執行役員常務 技術本部
本部長
⼟岐 英秋 氏

データ中心のビジネスを推進するには、データを活用するコンピューティングパワーが必要とされる。インテルはこれまで、PCやサーバー用のCPUを中心に開発を進めてきたが、その開発方針が大きく変わろうとしている。ITがPC中心の時代からデータ中心の時代に移行しようとしている中、土岐氏はインテルの製品ロードマップが大きく刷新されようとしているとし、これからのインテルのイノベーションを支える6つの柱について紹介した(図1)。

PCの時代からデータ中心の時代へのインテルのイノベーションを支える6つの柱

ベースにある「PROCESS & PACKAGEING」は、もともとインテルが得意としていた半導体製造技術である。その上に、CPUやGPU単体ではなく、さまざまなプロセッサーアーキテクチャの組み合せでソリューションを考える「XPU ARCHITECTURE」がある。XPUとは、異なるアーキテクチャを組み合わせたプロセッサーである。プロセッサーの処理速度の高速化に合わせて、「MEMORY」も高速化しなければならない。データ処理のスピードが上がれば上がるほど、メモリーに対する期待値も大きくなる。さらに、それぞれの半導体を繋ぐI/Oとなる「INTERCONNECT」に関しても、高速化が実現できなければ、システム全体としての処理が高速化されない。一方、昨今ではデータが大量になればなるほど、攻撃を受けるリスクが高くなる。そのため、「SECURITY」をマネージすることも重要になってくる。そして、それらを全部総合してうまく動かすためには、「SOFTWARE」が必要である。

すなわち、さまざまな種類のアーキテクチャの構成を考え、メモリーをどのように効率よく使うのか、必要なスループットを出すためにはどの程度までインターコネクトの性能を上げばいいのか、その上でどうやってセキュリティを担保することが求められてくる。 これまでの「Intel Inside」の定義は、「インテルのCPUがPCやサーバーに入っていること」だった。それが、今後は「“XPUプラットフォームがあらゆるものに入っていること”に、再定義されるのです」(土岐氏)。

デジタル時代のインテル製品

実際にインテルのデバイスはデジタルに対応するために、どう進化しようとしているのか。土岐氏はデータセンター、AI、エッジコンピューティングの3つのカテゴリーに分けて、デジタル新世代のインテル製品の概要を紹介した。

2019年4月に発表されたインテルのデータセンター向け製品戦略は、「MOVE FASTER(より高速な移動)」「STORE MORE(より大量の保存)」「PROCESS EVERYTHING(全てを処理する)」という3つのキーワードで整理される(図2)。「MOVE FASTER」とは、ネットワークなどのデータ転送に関連する製品で、そこには「INTERCONNECT」のテクノロジーを投入し、I/Oをどれだけ高速にできるかを考える。

2019年4月に発表されたインテルのデータセンター向け製品戦略を支える3つのキーワード

「STORE MORE」とは、メモリやストレージに関わるテクノロジーである。ここで土岐氏は、データセンターにおけるデータ量の増加に対応する、メモリ/ストレージ階層の再定義について解説した(図3)。既存製品としてはDRAMやSSD、HDDがあるが、例えばDRAMとSSDの間に新たな階層として高速・大容量・低コストの不揮発性メモリー「インテル® Optane DC パーシステント・メモリー」を配置する。3D XPointテクノロジーによって構築された「インテル® Optane DC パーシステント・メモリー」をキャッシングとして使う場合、データの読み書きはDRAMほど速くはないが、SSDよりは明らかに速くなる。「メモリーやストレージの選択の幅が増え、自社のシステム環境に合わせた最適な組み合わせが選べるようになります」(土岐氏)。

「PROCESS EVERYTHING」とは、プロセッサーを進化させる取り組みだ。2019年4月に発表された第2世代の「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」では、第1世代と比べてワークロード性能のパフォーマンスが約33%が上がっている。「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」と「インテル® Optane DC パーシステント・メモリー」を組み合わせることで、8ソケットで最大36テラバイトのメモリーを搭載したシステムが構築でき、VMインスタンスを約8倍まで増加できる。「メモリーとプロセッサーの改善によって、一気にパフォーマンスを引き上げます」(土岐氏)。

「インテル® 3D NAND SSD」や「インテル® Optane DC パーシステント・メモリー」がメモリ/ストレージ新たな階層を追加

AIのカテゴリーでは、インテルは「インテル® Xeon® スケーラブル・プロセッサー」の中に、AI推論を最適化する「インテル® ディープラーニング・ブースト」というテクノロジーを投入している。このテクノロジーの導入によって、導入前のプロセッサーの推論スループットを1とした場合、ワークロードに最適化された「インテル® アドバンスト・ベクトル・エクステンション 512」の推論スループットは5.7倍になり、「インテル® Xeon® Platinum 8200プロセッサー」ではさらに倍以上の14倍となる。「AIの推論に関しては、とても強力な進化を遂げています」(土岐氏)。

一方、デジタルトランスフォーメーションによって、エッジ側のデータ処理の負担も大きくなってきている。そこで重要になってくるのが、エッジコンピューティングの有効活用だ。大量に生み出されたデータは、かつてはそのままデータセンターに送られてきたが、ネットワークを効率よく運用するには、エッジ側で処理を行った方がよい。そのような背景から、エッジ側のコンピューティングが課題となっており、それがビジネスチャンスにもなる。

エッジ側の端末に関して特に考えなければならないのが、性能、消費電力、コスト、セキュリティである。そこに対しては、「OpenVINO」という組込み系のソフトウェア環境を利用することを土岐氏は提案する。「OpenVINO」を使えば、CPUやVPU、FPGA、さらにAI用のアクセラレータも、共通コードと汎用的なアルゴリズムで共有可能になる。さらに、「OpenVINO」によってエッジコンピューティングでもGPUが使えるようになり、ワークロードのオフロードをGPUに任せることもできる。「OpenVINOによって、CPUとGPUのワークロードバランスや、アクセラレータ系のVPUとFPGAのコードも一括したソフトウェアの環境で開発できるようになりました。非常に強力なソフトウェアの環境が提供できます」(土岐氏)。

さらに講演では、日立情報通信エンジニアリング イノベーションエンジニアリング事業部 プラットフォーム開発本部 第1設計部 担当部長 堀 泰三氏から、同社の取り扱うBig Data/IoT向けデータ収集、処理・分析ソリューション「Levyx」での「インテル® Optane SSD」によるベンチマークの結果なども公開された。「一般的なSSD比べても、インテル® Optane SSDは約30%のパフォーマンスの向上があった」(堀氏)。

日立情報通信エンジニアリング
イノベーションエンジニアリング事業部
プラットフォーム開発本部 第1設計部 担当部長
堀 泰三 氏