国を挙げて取り組みが進む「働き方改革」。とりわけテレワークは移動が不要で、各自が快適な環境で仕事ができるため生産性向上が期待でき、普及が望まれる。国や東京都も旗振りを行っているが、まだ利用しているのは一部の企業にとどまるのが実態だ。
なぜ浸透しないのか? その課題や打開策は?
レノボ・ジャパンの元嶋亮太氏と、Zoom Video Communications の澁谷洋猛氏に、日経BP総研 イノベーションICTラボ所長 戸川尚樹が話を聞いた。

テレワーク利用のガイドラインが必要

戸川:働き方改革の現状をどう捉えておられますか。

レノボ・ジャパン株式会社
コマーシャル事業部 企画本部 製品企画部
プロダクトマネージャー
元嶋 亮太氏

元嶋:働き方改革の中でも、今特にテレワークに関心が高まっています。導入が少しずつ増えていることは確かですが、導入企業でも対象者は半分程度。対象者でも実際に使えているのは半分から7割程度といわれています。そのボトルネックとなっているのが、マネージャーの理解不足やみんな出社しているという横並び意識ですが、特に多いのが会議があるから出社しなければならないというケースです。当社で何度も調査しているのですが、4割程度で常にトップ3に入っています。やはり仕事は独りでは完結しないので、人に会うというところが普及のボトルネックになっていると感じています。

戸川:そうですね。会社の空気感として直接会って会議をしないといけない、という考えは根強いと感じます。澁谷さんはどうお考えですか。

Zoom Video Communications, Inc.
シニアアカウントエグゼクティブ
澁谷 洋猛氏

澁谷:テレワークは手段ですから、生産性が上がらないと意味がありません。在宅勤務で集中できて仕事がはかどるのであれば有効です。特に都内は通勤が大変で、毎日往復するとそれだけでかなりの体力を消耗し時間もとられます。そういう意味で、在宅勤務には生産性を上げるポイントが多い。ただ仕事には、テレワークに向く仕事と会社に来た方がはかどる仕事があり、今はまだ過渡期でそのガイドラインができている企業は多くありません。おそらく今は作っている段階なので、良い意味でこれから変わっていくと思います。

戸川:テレワークのガイドラインを整備するというのは、多くの企業に参考になりそうです。レノボ・ジャパンにはガイドラインはありますか。

元嶋:はい。基本的に社外に持ち出せない機密情報を扱うような業務以外は、テレワークOKとなっています。現在月1回テレワークをする人が7割になりました。ただ、ここまで来るのに4年かかっています。ようやく誰がどこにいても気にしなくなりました。ITの整備や制度は必要ですが、一番重要なのは企業の文化です。ただ、時間はかかるかもしれませんが、取り組んでいれば変わってきます。

戸川:Zoomは、自社でビデオ会議ソリューションを提供していますから、テレワーク前提の働き方なのでしょうか。

澁谷:日本法人はテレワークは自由にできます。生産性が上がるかどうかで選択します。ただ私自身は会社の方が生産性が上がるし、自然とメンバーとコミュニケーションもとれるので、基本的に会社で仕事をしています。それでも、遠方のお客様や取引先とのコミュニケーションは、次善の策としてオンラインを選択することはあります。

戸川:パフォーマンスを最大化できるなら、どこで仕事をするかは個人の判断に任せる、ということですね。

評価と連動しつつマインドセットを変え、
成果の上がる選択肢を用意

日経BP総研 イノベーションICTラボ所長
戸川 尚樹

戸川:働き方は企業文化と密接に関わります。日本企業の場合、会社内で長く仕事をしていた方が評価されやすいという傾向がまだあるかと思います。こうした状況を変えるには、人事評価制度の見直しが必要かと思いますが、いかがでしょうか。

元嶋:その通りです。これからは長時間会社に居れば良いとはならないでしょう。例えば当社では、年度目標に対する達成度で評価されており、労働時間は関係ありません。マネージャーは、360°評価などの場で働く環境についてもフィードバックがなされます。個人が最高のパフォーマンスを発揮できるように選択肢を用意する必要があります。

澁谷:そこで大切になるのが、やはりガイドラインです。このミーティングは必ずFace To Faceで、この仕事はむしろオンラインの方が生産性が上がる、というように決めればいい。ただ、あまり厳密に規定すると運用しにくいので、コミュニケーションをとりながら柔軟に決めていけばいいでしょう。

元嶋:ただし、ガイドラインを作成する際、既存の延長線上で考えるのではなく、マインドセットを少し変える必要があります。従来の考え方では、顧客やビジネスパートナーとは必ず実際に会うというのが常識でした。しかし、例えば私と澁谷さんはよく会って打ち合わせをしますが、ビデオ会議で済ませることもあります。一歩踏み込んで試してみると、案外それで問題なかったりします。こういうことは、現場の裁量でできる部分もありますが、トップダウンでガイドラインを作ることがとても重要です。

戸川:テレワークなど新しい働き方に取り組んでみましょう、という掛け声だけではなかなか普及しないものでしょう。ガイドラインのなかに、新しい働き方について具体的な事例を示すなど工夫が必要になりそうです。

コミュニケーションに合わせて、
適切なツールを選択

澁谷:ガイドラインを作成するときに、今までのやり方やツールではなく、新しいやり方やツールをうまく活用すると、より生産性を向上できるでしょう。例えば個人で考えると、最近友人と電話で話すことはほとんどない。チャットで連絡して、必要があれば少し話すくらいです。コミュニケーションの手段がどんどん変わってきており、それはビジネスシーンでも同じです。

元嶋:今当社で問題となっているのが、どうツールを使い分けるかです。そのコミュニケーションには何が最適なのかを選ぶリテラシーが、重要になってきています。当社では、ドキュメントの共同編集をするなら Office 365 、チームの情報共有ならビジネスチャット、ビデオ会議にはZoomも使っています。Zoomは、ビデオ会議ツールとしては、性能、使いやすさとも私自身活用していても満足しています。

戸川:最近取材でZoomのソリューションの話を聞く機会が増えました。人気が高まっているようですが、その理由はどこにあるとお考えですか。

実際にThinkSmart Hub 500 for Zoom Roomsを使用した様子

澁谷:オンラインで会議をする場合重要なのは、音と映像と資料共有です。どれも接続性や安定性がないと、ユーザーはストレスに感じ、また使おうと思ってもらえません。シンプルにこの3つの機能のパフォーマンスが出ていることが評価されています。また、1対1なら無制限に使える無料ライセンスから、エンタープライズ向けの有料ライセンスまで幅広く対応しています。個人のユーザーも多く、会社の標準ツールが別にあるが、使いやすいからと現場レベルでZoomをご利用いただいているケースもかなりあります。ただ、個人ユーザーの場合、カスタマイズができません。これを放置すると会社のセキュリティポリシーに適応しない使い方をされることになるので、このような場合はカスタマイズ可能な有料ライセンスでのご利用をお勧めしています。また、設定が不要ですぐにつながる操作性も評価されています。

簡単に接続できることも大きなメリットだ

元嶋:システムは入れたのに使われないということがよくあります。それは使いにくいからユーザーが使わない。誰もが簡単に使えることは極めて重要ですが、ツール選定の際にはそれが抜け落ちやすいのも事実です。

戸川:操作が簡単であれば、トレーニングの手間とコストを省けますから、企業側と利用者の双方にメリットがありますね。では最後に、働き方改革に取り組んでいるビジネスパーソンに向けてへメッセージをお願いします。

元嶋:当社は2015年からテレワークに取り組み、たくさん失敗もしてきました。外資系IT企業ではありますが、グループ企業の文化も個々のITリテラシーも様々で、決して簡単にできたわけではありません。その経験をお伝えすることで、同じ轍を踏まないようサポートできます。

澁谷:Zoomは日本のアカウント登録者数が約40万人になりました。先日Zoomを使った1300名が参加するWebinar(※)も開催しました。この規模のセミナーをリアルに実施しようとすると準備も費用も大変ですが、Zoomを使えば簡単に実施できます。また、Zoomは会議を録画ができますが、再生すると英語版では音声をテキストに自動変換する機能も搭載しており、今後日本語を含む多言語展開を行う予定です。こういった新しい使い方や機能を発信し、お客様に提案していきたいですね。
※:ウェブ(Web)とセミナー(Seminar)を組み合わせた造語。インターネットで行われるセミナーのこと。

戸川:本日はありがとうございました。

Zoom Roomsをプリインストールしたオンライン会議システム
「ThinkSmart Hub 500 for Zoom Rooms」

ThinkSmart Hub 500 for Zoom Rooms
製品詳細はこちら

レノボ・ジャパンではThinkSmart Hub 500 for Zoom Roomsの発表にあたり、「テレワーク利用実態調査」を実施し日本国内におけるテレワーク利用実態とテレワークへの不満に対する日本のユーザーの声をまとめています。

調査リリース「テレワーク利用実態調査」
URL:https://www.lenovo.com/jp/ja/news/article/2019-06-25-2

レノボ・ジャパン株式会社
https://www.lenovo.com/jp/ja/pc