特別トップインタビュー 近未来・元年「2020」気鋭の企業に訊く
マキシム・ジャパン

イメージセンサーが眼なら高速インターフェースは神経

自動運転を見据えた
エコシステム構築を目指す

ソニー 執行役員
ソニーセミコンダクタソリューションズ 副社長
Mobility & IoT Solutions担当

大村 隆司

マキシム・ジャパン
代表取締役社長 兼 米国本社マネージングディレクター

林 孝浩

自動運転の早期実現が期待される中で、イメージセンサーで市場をけん引するソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、ソニー)と、独自の高速インターフェースであるGMSL(ギガビットマルチメディアシリアルリンク)を筆頭に躍進するMaxim Integrated(以下、マキシム)の協業が着実に進んでいる。両社の直近の取り組み、そして今後のビジョンについて聞いた。

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両社それぞれの2019年を総括してください。

 2019年は外部環境が大きく変わった年でした。市場ではグローバル製造業PMI(購買担当者景気指数)が50を下回るなど数年ぶりに厳しい状況を迎えました。そうした中でもマキシムは、戦略的ターゲット分野である車載、産業、医療、ブロード市場(すそ野の広い市場)で有効な手を打てた一年でした。

 車載分野ではADAS(先進運転支援システム)やBMS(バッテリーマネージメントシステム)において、自動車機能安全規格ISO26262のASILに対応した製品の採用が広がりました。産業向けではスマートファクトリーのコンセプトが広がりIO-Link製品が着実に浸透し、医療向けでは使い捨ての医療器具のための偽造防止用セキュア認証ICなどの採用が進みました。ブロード市場では代理店との協業を確立し、これまでリーチできなかったお客様にも届くようになり、2年後、3年後を見据えたビジネスの種まきがうまくできた年となりました。

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大村 ソニーグループの中で半導体事業を担う当社が注力するのは、やはりイメージセンサーです。2019年はとくにモバイル向けが好調で、スマートフォンの多眼化、大型化が予想以上に普及したことで追い風を受けました。またFAや監視カメラ向けも堅調に伸びています。世界半導体市場が大きく落ち込む予想にもかかわらず、前年比18%のプラス成長を見込んでいるのは極めて素晴らしいことです。

 また私個人としては、2018年9月にソニーに入社し、モビリティ&IoT領域を管轄しています。これまでの車載業界での経験を生かして、車載向け、IoT領域のイメージセンサーの拡大に取り組んでいきたいと考えています。

 車載向けにおける大きなトピックとしては、日本における自動車の安全性評価プログラムであるJNCAP(Japan New Car Assessment Program)の2018年度予防安全性能評価でトヨタ車が最高ランクを受賞されたことが挙げられます。ここにもソニーのイメージセンサーを採用いただいています。厳しい環境である「夜間性能」の項目が評価されたとのことで、貢献できたことをうれしく思っています。

ソニーとマキシムが協業する必然性

両社の共同開発ではどのような協業をなされてきたのかを聞かせてください。

 マキシムは過去10年以上にわたり車載関係ビジネスに携わっております。インフォテインメントから始まり、ディスプレイ、クラスターやヘッドライト、ボディーコントロールモジュール向け製品など、マキシムは多彩な製品を扱ってきました。とくに過去数年の間では自動車機能安全規格ISO26262のASIL-Dに対応するBMS製品の採用が拡大し現在自動車メーカー28社、70車種以上に採用されております。その中で培った技術・設計ノウハウを当社が独自開発した高速インターフェースGMSLに展開しています。

 ソニーとの共同開発では将来の自動運転を見据えたエコシステムの構築を目指しています。当社のGMSLとソニーの高感度イメージセンサーを組み合わせたモジュール製品を共同で開発することで、OEM(自動車メーカー)やTier 1が迅速に評価できるように協業を進めてきました。

大村 ソニーが目指さなければならないのはソリューション提供です。例えるなら、有名な産地で作られたおいしいニンジンを、「どうぞお食べください」とそのまま渡されるよりも、「そのニンジンをどう料理するのが最もおいしくなるか」までお客様は知りたい、ということです。

 ソリューションを考える上で重要なのは、お客様が求めるものを先回りし、好みに合わせて料理して提供すること。つまり、半導体チップだけを提供するのではなく、お客様がすぐに使えるモジュールやボードで提供することです。両社が手を組んでサブシステムを作り、いち早くお客様にお届けすることが重要で、ソニーのセンサーとマキシムのGMSLチップが入ったサンプルのモジュールは世界中の様々な企業にお渡ししてきました。

 実はソニーではイメージセンサーだけではなく、10年近く前からリアビューイングカメラ製品も作っており、ビューイングカメラ市場では高いシェアを獲得しております。マキシムとはリアビューモニターのデジタル化が始まって以来の協業ができています。さらに、イメージセンサーを扱うシステムは、様々なノイズに敏感ですから、とくにアナログ領域は精密さが肝心です。ハイエンドアナログICに強いマキシムとのコラボレーションが重要になります。