2019年10月10日、マイクロフォーカスグループは、東京ミッドタウン六本木で「Micro Focus Realize 2019 Tokyo」を開催した。挨拶に立ったマイクロフォーカス合同会社 職務執行者 田島裕史氏は、“マイクロフォーカスグループは数多くの製品とソリューションを持ち、企業の多様な課題解決が行える唯一無二の独立ソフトウェア専業ベンダーだ”と語った。続いてMicro Focus CTO ジェローム・ラバット氏が基調講演に登壇。“マイクロフォーカスは遂行と変革をミッションとして、企業にイノベーションの迅速化とリスク抑制をもたらす”と訴求した。その後Cトラックにおいて「モダナイゼーションフォーラム2019」が展開された。

Special Session

Micro Focus社のモダナイゼーションビジネスと戦略

クラウドへのシームレスなモダナイゼーションのために
マイクロフォーカスは“成熟戦略”で全力サポート

円滑なモダナイゼーションのために成熟モデルを用意

マイクロフォーカス CTO(最高技術責任者) Stuart McGill 氏

Micro Focus
CTO AMC & Strategy

スチュアート・マクギル氏

モダナイゼーションフォーラム最初のセッションには、Micro Focus CTO AMC & Strategy スチュアート・マクギル氏が登場した。デジタルトランスフォーメーション時代に入って、35万MIPSもの膨大なCOBOL資産を所有する企業がクラウドへの移行を考え始めている。ここまでの規模となると、モダナイゼーションプロセスも極めて計画的に進める必要があると同氏は語る。マイクロフォーカスには、よく知られたCMMIに基づいたモダナイゼーションのための成熟モデルがあるという。それはメインフレームから分散型、クラウド対応、クラウド最適化、クラウドネイティブへと段階を追って進んでいく。こうした“モダナイゼーションの行程”では、アプリケーションのみならずオペレーションやメンテナンス、カルチャーも段階ごとに変えていかなければならない。

「一番望ましいのはメインフレームからクラウドへシームレスに移行することです。マイクロフォーカスは一つの段階から次の段階への体系的な移行を推奨しており、メインフレームから分散型、クラウド対応型、クラウド最適化へ、我々がそれぞれのレベルでベストプラクティスを提供、差異を埋める橋渡しを行います」(マクギル氏)

クラウドに向かう未来を見据えたモダナイゼーションアプローチ

つまり、マイクロフォーカスのモダナイゼーション戦略は、最初からクラウド対応を見据えているということだ。アプリケーション向けにクラウドベースのエンタープライズDevOpsプロセスを提供するとともに、新たな環境へ独自コンポーネントの体系的な置換が行えるよう、すべてのメインフレームアプリケーションを棚卸してポートフォリオを準備する。また、モダナイゼーションはビッグバン方式ではなく、本当に移行メリットが出せる特定のアプリケーションのみを選択して行う。「COBOL資産が膨大であれば数年かかる行程になるが、マイクロフォーカスのあらゆるモダナイゼーション技術を駆使してプロジェクトをサポートする」とマクギル氏は断言した。

グローバルではすでに、大規模COBOLアプリケーション資産のクラウドへのモダナイゼーションを進めている企業がいくつもあるといい、同氏はドイツの保険業アリアンツ、フランスを拠点とする世界最大の共同組合金融機関クレディ・アグリコール、米国のマスターカードの事例を紹介した。

図1

Technical Session

モダナイゼーション支援製品の紹介

マイクロフォーカスはCOBOL資産の
価値向上のために前進し続ける

変化し続けるビジネスに対応可能にすることが当社のミッション

山城裕一氏

マイクロフォーカス合同会社
COBOL事業部 技術部

山城裕一氏

マイクロフォーカスのモダナイゼーション戦略を、製品と技術の観点から語ったのがマイクロフォーカス合同会社 COBOL事業部 技術部 山城裕一氏である。マイクロフォーカスの考えるモダナイゼーションには大きく3つの柱があるという。COBOLをJavaや.NETと融合していくアプリケーションのモダナイゼーション、近代的なCIツールとの統合やDevOpsを可能にするプロセスのモダナイゼーション、そしてクラウドなど新しい形態にアジャストしていくインフラストラクチャのモダナイゼーションだ。

「我々は常に製品をブラッシュアップし続けています。たとえば、昨年はDocker上での開発・実行機能をリリースしました。このように、COBOLアプリケーションの価値を向上させ、メインフレームやオープンレガシーの資産を段階的にモダナイズしていくことで、変化し続けるビジネスに対応可能にするというのが、マイクロフォーカスのミッションだと考えています」(山城氏)

DX実現をサポートするソリューション提供に注力

COBOL統合開発環境であるMicro Focus Visual COBOLおよびMicro Focus Enterprise Developerは、12カ月サイクルでメジャーバージョンアップを実行しており、最新版5.0は2019年8月末にリリースされた。

今回も新機能が数多く搭載されているが、その一つにJSON PARSE文のサポートがある。この機能を利用すると、amazonやFacebookなど他システムとの連携時、JSONとして処理リクエストを受け付けたり、データを返したりすることができる。また、ソースコードの可視化にも力を入れており、最新版ではプログラムフロー分析やデータフロー追跡が可能になった。前者は、プログラムの全体構造をノードの形で表示して節や段落を分かり易くするとともに、ノードをクリックするとコードエディターで該当するソースに移動できるなどといった機能がある。後者は、ある特定の変数にフォーカスして、その変数がどのような要因で変化するかを追跡する機能だ。

山城氏は、「マイクロフォーカスは今後も、COBOL資産が制約を受けることなくデジタルトランスフォーメーションを実現できるようなソリューションを提供していきます」と語りセッションを締めくくった。

図1

Customer Success & Solution Session:

モダナイゼーション・ソリューションとユーザー事例

マイクロフォーカスは“Bridging Now and Next”で
DX実現を支援

既存資産と最新テクノロジーの橋渡しでDX実現を支援

黒田剛氏

マイクロフォーカス合同会社
COBOL事業部 営業部

黒田剛氏

マイクロフォーカスは、企業のデジタルトランスフォーメーション実現の一環としてモダナイゼーションをとらえている。Customer Success & Solution Sessionに登壇したマイクロフォーカス合同会社 COBOL事業部 営業部 黒田剛氏は次のように語る。

「マイクロフォーカスでは、既存のCOBOL資産はビジネスプロセスの集大成であり、競争優位性を生み出す財産だと考えています。デジタルトランスフォーメーションにあたっては、そうした資産に対して新しいテクノロジーを適用しながら技術者のスキルシフトも同時に進め、しかも、それをローリスク・ローコストで実現することが重要です。弊社は、顧客の既存資産と最新のテクノロジーを橋渡しすることで、ローリスク・ローコストでの迅速なイノベーションを可能にするとともに、デジタルトランスフォーメーション実現を支援します」

そして同氏は、その具体的なモダナイゼーション手法として、まずはいったんスピーディーにオープン環境への移行を果たし、それから様々なデジタルトランスフォーメーション対応を図る2フェーズ作戦を推奨した。

脱メインフレームでランニングコスト1/10を実現

ここからはマイクロフォーカスの顧客事例の紹介である。まず初めは、マレリ株式会社(旧 カルソニックカンセイ株式会社)だった。同社ではIBMメインフレーム上で30年以上基幹システムが稼働しており、高額な維持費用に課題を感じていた。そこで2020年の契約更新時期までに環境移行することを決断。その方式としてリホストを選び、IBMメインフレーム互換機能があり、アプリケーションの改修対応が可能であることなどから、インフラとしてMicro Focus Enterprise Serverを選定した。

戸村浩明氏

キヤノンITソリューションズ株式会社
SIサービス事業部
ソリューション開発本部
ソリューション開発第四部
プロジェクトマネジメントスペシャリスト

戸村浩明氏

このリホストプロジェクトでマイグレーションベンダーとして選定されたのがキヤノンITソリューションズ株式会社だ。プロジェクト成功ポイントの説明に立った同社 SIサービス事業部 ソリューション開発本部 ソリューション開発第四部 プロジェクトマネジメントスペシャリスト 戸村浩明氏は次のように語った。

「Micro Focus Enterprise Serverの機能は豊富です。そこに、ユーザーの要件に沿った設計・設定を行っていくのがマイグレーションベンダーの役割です。マイグレーションは、業務ノウハウを持つユーザーと移行ノウハウを持つベンダーが分業体制を取って全体効率化を図るとともに、データ依存の課題なども互いが協力して取り組むことが重要です」

図4

オープンレガシー上のCOBOL資産を.NET環境にマイグレーション

営業課 係長 岩下峻氏

東京システムハウス株式会社
ビジネスイノベーション事業部
マイグレーションソリューション部
営業課 係長 

岩下峻氏

もう一つの事例は株式会社にんべんである。同社ではもともと国産メーカーの汎用機及びオフコンで基幹システムを動かしていたが、ACUCOBOLを用いてWindows環境へ移行した。しかしACUCOBOLが販売終息し、技術者の確保も困難になって再レガシー化していた。そのため、Micro Focus Visual COBOLを採用し、この製品の機能を用いてCOBOL資産の業務ロジックを.NET環境にマイグレーションすることになった。このプロジェクトでは、東京システムハウス株式会社がマイグレーションを担当した。

同社 ビジネスイノベーション事業部 マイグレーションソリューション部 営業課 係長 岩下峻氏は、「プロジェクトは当初の予定どおり完了しました。システム刷新の結果、基幹システム配下にあるPCのWindows 10対応や社内システム基盤の.NET統一が実現しました。また、これを機にシンクライアント化と開発や保守の改善も達成するなど多大な効果が生まれています」と、既存資産を活かした最新技術環境への移行の成果を語った。

図5

Special Talk

COBOL60周年に寄せて

COBOLはこれからも決して進化の歩みを止めない

安定と進化を両立しているから60年目の今も使われ続ける

部長 吉田智氏

日本アイ・ビー・エム株式会社
システムズ・ラボサービス
システムズ統合ソリューション
部長

吉田智氏

今年はCOBOLという開発言語が誕生して60年という節目の年に当たる。これを記念して日本アイ・ビー・エム株式会社 システムズ・ラボサービス システムズ統合ソリューション 部長 吉田智氏がSpecial Talkに登場した。冒頭から同氏は断言した。「私の話の要点は2つです。まず、これからもCOBOLは継続してお使いいただけます。そして、COBOLは決して進化の歩みを止めません。マイクロフォーカスからの説明にもあったとおり、COBOLはさまざまな最新のテクノロジーに対応しています。だからこそ60年という年月を経た今も信頼され続け、使われ続けているのです」

そして同氏は、COBOLが今日も使われ続ける理由として次の5点を挙げた。「技術的に問題がなく、メーカーも製品を継続的に供給していること」「安定して稼働し、実績もあり、特に書き換える必要性がないこと」「数値計算やバッチ処理が得意で金融システムに代表されるミッション・クリティカルなシステムに向いていること」「上位互換性、保守性、可読性が高いこと」「様々なプラットフォームに対応していること」である。

モダナイゼーションへの3ステップ・アプローチ

吉田氏はCOBOL資産のモダナイゼーションを3ステップで進めることを推奨した。まずは、モダナイゼーションの対象領域・課題を明確化する「見える化」だ。これはメインフレーム上のすべてのプログラム資産をモダナイズの対象とするのではなく、稼働実績などを調査した上でモダナイズする対象を冷静に見極めるということ。また、そこにはコード品質やリソース関連を評価し、移行難易度を判定することも含まれる。

次は、開発・テストの効率化を行う「効率化」である。現在はオープン環境のLinux上でアプリケーション開発用のメインフレームOS(z/OS)を動かすZD&Tという製品があり、開発者がそれぞれ開発環境を持つことも可能であるという。続いて行うのが「先進化」だ。ここではAPI化によって基幹系システム(SoR)と顧客とのつながりを意識したシステム(SoE)の連携を強化したり、アナリティクス技術を使って基幹系システムのデータ活用を拡大するといった取り組みを推進する。

「現在のアプリケーションをレガシー化させずに今後も使い続けていくために、1ステップずつ着実にモダナイズしていくことが重要なポイントです」同氏はこう語って講演を締めくくった。

図6

関連リンク

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