業務の効率化と働き方改革を実現する自治体のデジタル化をトータルに支援

行政手続きを原則、電子申請に統一するデジタルファースト法案が成立した。その一方で、全国自治体のデジタル化はまだその前段階にあると、日本マイクロソフトは指摘する。そのため、同社では「デジタルフィードバックループ」というコンセプトを考案し、自治体のデジタル化をサポート。先進的な事例として、「渋谷区」では、業務の効率化と職員の働き方を大きく変えたという。

国民、事務・業務、職員、
サービスを有機的に統合

日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 パブリックセクター副事業本部長 光延 裕司 氏

日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員
パブリックセクター副事業本部長
光延 裕司 氏

2019年3月、デジタルファースト法案が閣議決定され、行政手続きの電子申請やマイナンバーカードの普及などを通じた行政サービスのワンストップ化が打ち出された。しかし、自治体の現場は、それに対応する体制がまだ整備されていないと、行政サービスのデジタル化を支援する日本マイクロソフトでパブリックセクター副事業本部長を務める光延裕司氏は語る。

「自治体では、ベースとなるデータのデジタル化が十分整備されておらず、データをどういう形式で、どのように集めて処理するかという標準化が進んでいません。そのため、弊社では、『デジタルフィードバックループ』というコンセプトを考案し、国民、事務・業務、職員、サービスの四象限を有機的に結びつけながら、デジタル化をサポートしています」

デジタルフィードバックループとは、政府や自治体から見て「国民とのやりとり」、内部の「事務や業務」、「職員の生産性向上と働き方」「よりよい新サービス」の四象限から集まる標準化されたデータを、ダッシュボードやAI(人工知能)などを使って分析し、データインテリジェンスとして回しながら活用するという考え方である。

「事務・業務および職員の象限においては従来から自治体も取り組まれていますが、すべてがつながっておらず、バラバラに進んでいることが大きな課題です。例えば、国民が何かを申請すると、その情報は自治体の事務・業務受付システムに入り、そこからメール添付などで担当部署に回して処理され、最後に国民に結果が戻される。時にはどこかのプロセスで紙に出力しなければいけません。ワンストップになっていないので、当然時間も手間もかかります」と、光延氏は指摘する。

日本マイクロソフトが考案する「デジタルフィードバックループ」によって、日々の業務から新たな考察を得ることも可能になる
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日本マイクロソフトが考案する「デジタルフィードバックループ」によって、
日々の業務から新たな考察を得ることも可能になる

行政サービスのデジタル化に
取り組むイギリス政府

日本よりも一歩早く、行政サービスのデジタル化を進めているのがイギリス政府だ。マイクロソフトのソリューションを活用している「Government Cloud First Policy」と称したその取り組みの中で、特色的な動向を3つ紹介しよう。

「G(Government)-Cloud」では、政府や自治体の調達において、企業の入札やセキュリティなどの条件を事前登録制にすることで、ネット上での入札手続きを実現。これによって企業側の負担が大きく軽減され、中小企業でも容易に参加できるようになった。その結果、調達コストが大きく下がるとともに、中小企業の売上が全体の45%を占めるようになった。また「The Internet is OK」では、従来の政府機関のクローズドなネットワーク通信から、セキュリティ対策を適切に施したオープンなパブリックインターネット接続利用に拡大して通信コストを削減している。

「Data Classification」では、政府の持つデータの機密レベルを3階層に分けた。政府機関が日常業務で利用する医療などの個人情報を含むデータは、基本的に1階層目の「オフィシャル」としてクラウド上で公開。2階層目の「シークレット」に指定するには理由を付けて申請しなければならない。結果、オフィシャルが80%、シークレットが15%、3段階目「トップシークレット」が5%と、大幅に公開情報が増え、データの利活用が進んだ。

 

「マイクロソフトでは、こうしたイギリス政府の取り組みを支援しています。特に重点を置いているThe Internet is OKでは、Office365やMicrosoft Azureなどのクラウドサービスを利用していただいています」と光延氏は語る。

 

渋谷区のデジタルフィードバックループを
実践する動き

日本マイクロソフト株式会社 パブリックセクター事業本部 官公庁・医療事業統括本部 自治体営業本部 アカウントエグゼクティブ 時任 正史 氏

日本マイクロソフト株式会社
パブリックセクター事業本部
官公庁・医療事業統括本部
自治体営業本部
アカウントエグゼクティブ
時任 正史 氏

日本の自治体でも先進的な取り組みが始まっている。渋谷区は2019年1月、新庁舎移転を機にICT基盤を刷新し、全面的なデジタル化を実施した。業務の量と質が変化する中、効率化を図り、職員の働き方を改革して本来の住民サービスにかける時間を増やすとともに、サービスの質を向上させるためだ。

渋谷区ではワークスタイル変革を支えるICT基盤のテーマとして、「職員にパワーを」「区民と繋がる」「業務を最適化」「サービスを変革」を柱に定めた。まさに、前述したデジタルフィードバックループの考え方の実践である。

 

日本マイクロソフトは、このICT基盤作りに参加している。職員用端末としてSurface Pro 6が採用された。また、Microsoft 365 E5の機能の1つで、ビジネスチャットであるMicrosoft Teamsを職員間コミュニケーション業務の要に据え、チャットでやりとりしながら、Microsoft Officeの業務アプリなどを複数人で同時使用して、共同作業できるようになった。これによって庁内メールの使用率が激減し、コミュニケーションが迅速化。会議のスタイルも変わり、紙資料を使わず、データを共有しながら議論するので、業務スピードが向上した。

 

また、時間と場所にとらわれない働き方を目指して、BYOD(Bring your own device)を導入。 Surface とともに自分のスマホなどのデバイスをセキュアに一括管理し、業務を効率的に遂行できるようになった。デバイス管理にはMicrosoft Intuneが使われている。日本マイクロソフトの時任正史氏はこう語る。

 

「働き方が従来とは大きく変わるので、当初はベテラン職員の方々に使っていただけるか心配する声もありました。しかし、区長や副区長のリーダーシップとICT戦略課を中心とした職員の皆様の改革意識も高く、順調に機能しています。幹部職員の方も率先してTeamsを使い、私どもがペーパーで資料を持参すると、『紙は不便なのでデータにしてくれませんか』と言われるほどです」

 

区議会対応では毎回数千枚以上の紙を使い、時には幹部職員が休日出勤して資料校正していたものが、最終稿までほぼペーパレス化を実現。Teams上でドキュメントを共同編集し、関係者のチェックも即座に受けられるので、業務時間は大幅に短縮している。

  

「全国から視察の申し込みが多く、すべてに対応することができない状況のようです。今後はデータインテリジェンスを活用し住民情報を分析、よりよい行政サービスを提供していくと聞いています」と時任氏。渋谷区の事例は、自治体デジタル化のモデルになりそうだ。

 

お問い合わせ

日本マイクロソフト株式会社
URL:https://www.microsoft.com/ja-jp/

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