キーワードは“深化” +dでNTTドコモがイノベーションを加速する

キーワードは“深化” +dでNTTドコモがイノベーションを加速する
 今年で4回目を迎える「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2019」が、2018年2月6日に開催された。今年は「Find new seeds.」「Blend for innovation.」「Enjoy a new future!」をテーマに、カンファレンスでは協業事例の紹介やスタートアップによるピッチを実施。新たなイノベーションの種となりえるブース展示とあわせて、その様子をレポートする。
 今年で4回目を迎える「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2019」が、2018年2月6日に開催された。今年は「Find new seeds.」「Blend for innovation.」「Enjoy a new future!」をテーマに、カンファレンスでは協業事例の紹介やスタートアップによるピッチを実施。新たなイノベーションの種となりえるブース展示とあわせて、その様子をレポートする。

“深化”をキーワードに質の良い投資と協業を進める

 冒頭、NTTドコモ 代表取締役社長の吉澤和弘氏が挨拶。「5G」をデジタルトランスフォーメーションの大きな柱の1つに挙げ、サービス開始当初からの「ネットワークとサービスの同時提供」を目標として掲げた。

NTTドコモ 代表取締役社長 吉澤和弘氏

 ただしNTTドコモだけでできることは限られることから、「スピードとチャレンジ精神で新たな世界を切り開くベンチャー企業の力を貸してほしい」と訴え、協創による未来の創造をビジョンとして示した。

 続けてNTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長の稲川尚之氏が登壇し、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)としての未来像について語った。

NTTドコモ・ベンチャーズ 代表取締役社長 稲川尚之氏

 2019年は“深化”をキーワードに掲げて「質の良い投資と協業を迅速に進めていく」(稲川氏)ことに注力する。CVCとしてイノベーションを起こすベンチャー企業を見つけ出し、NTTグループや大企業などとの連携にも取り組んで「世の中がもっと良くなるだけでなく、それぞれがWin-Winになるビジネスを作っていきたい」と力強く語った。

波に乗るために必要なのは「直感」と「共時性」

 続くゲストセッションでは、元格闘家でパフォーマンスユニット「WORLD ORDER」プロデューサーの須藤元気氏と、シリコンバレーでスマートホーム事業を手がけるHOMMA, Inc. Founder & CEOの本間毅氏が登場。NTTドコモ・ベンチャーズの稲川氏がモデレータを務め、「異分野との化学反応による新規事業創造」をテーマに語り合った。

ゲストセッションの様子

 異分野への挑戦を続ける原動力はどこにあるのか。本間氏は「大事なことは直感で決まる」と直感の重要性を挙げる。須藤氏もその意見に賛同し、「損得は考えず、身体の内側から聞こえる声が合図になる」として、最近ではすし職人としても活動している話を披露した。また本間氏は、シリコンバレーでの経験から「事業開発でリスクヘッジを考え過ぎると、大胆なことができない」としたうえで、「ユニコーン企業でもトライ&エラーをしているし、しない会社は絶対に成功しない」と強調した。

経歴はまったく異なるものの、共通の意識や考え方を持つ須藤氏(左)と本間氏(右)

 一方で、新規事業の創造には思いもよらない出会いが転機となるケースもある。須藤氏は自身の経験から「直感」に加えて「シンクロニシティー(共時性)」にも注目しており、何か来たときには「波が来た」と感じるそうだ。

 本間氏も「波はしっかり待っていないと乗れない。その感覚が重要だし、行動力も必要だ」と指摘する。では、その波にはどうすれば出会えるのか。須藤氏は変化の必要性を説くとともに、「自分の壁を壊すのではなく、感覚のフレームを移動させることが大切」と話す。本間氏は、自身の変化を踏まえたうえで「出会いやチャンスは自分が連れてくる」と考えており、「なりたい自分をイメージできないと何も変わらない。ただ、ビジョンや目標があればと頑張れる」と助言した。

NTTグループとベンチャー企業の連携が創造する画期的な未来

 協業セッションでは、国内外のベンチャー企業と日本電信電話(NTT)やNTTドコモの担当者がそれぞれのパートナーと登壇し、パネルディスカッション形式で事業の詳細や協業のポイントなどを紹介した。

 1組目は、スペースマーケット 代表取締役CEOの重松大輔氏とNTTドコモ スマートライフ推進部 スポーツ&ライブビジネス推進室長の馬場浩史氏。

スペースマーケットの重松大輔氏

 今回、NTTドコモは新たにスペースマーケットと業務提携を結んだ。空き場所のマッチングスプラットフォームを展開するスペースマーケットをパートナーとして選んだ理由を、馬場氏はスポーツイベントなどにおける「共体験の価値を実感できたから」と答え、今後のビジネスにおいても「面白いマーケットができる」と前向きだ。

NTTドコモの馬場浩史氏

 重松氏もNTTドコモが持つ多くのアセットによる体験価値の向上に期待を寄せており、「世界中のあらゆるスペースを1分単位で借りられるようにしたい。スペースシェアリングのプラットフォーマーとしてNo.1を目指す」(重松氏)と意気込みを語った。

 2組目は、Locix, Ink. CEO & Co-founderのVik Pavate氏とNTTドコモ イノベーション統括部 企業連携担当部長の田居夏生氏。

Locix, Ink.のVik Pavate氏

 Locix, Ink.は、独自の省電力カメラやワイヤレス技術などを開発。同社はNTTドコモによる顧客の課題解決を目指してスピーディーな実証実験を行う新プロジェクト「TOPGUN」で協業する初の海外スタートアップ企業に選ばれ、現在は「トマトの害虫判定」や「幼児のうつぶせ寝検出」において、モバイルカメラソリューションによる課題発見とビジネス検証を進めている。

NTTドコモの田居夏生氏

 Vik Pavate氏は「初日から強い関係性を築けたので、どんな課題も乗り越えられる」と自信をのぞかせる。田居氏も「両社の関係は対等で、オープンイノベーションの理想形になっている」とする。今後のさらなるパートナーシップの強化に向けて、NTTドコモとしては「早期の商用化を目指すとともに、そこからのフィードバックを新たな製品開発に活かしていく」(田居氏)と考えている。Vik Pavate氏は、NTTドコモを通じた5Gの活用や新たなパートナーとの連携に期待を寄せた。

 3組目は、QDレーザ 代表取締役社長の菅原充氏と日本電信電話NTT先端集積デバイス研究所 所長の岡田顕氏。QDレーザは、量子ドットレーザ技術の事業化を目指し、現在はレーザ網膜投影技術を採用したアイウェア型の超小型低電力プロジェクターの実現を進めている。このプロジェクターに必要な超小型の可視光光源の研究・開発でNTTドコモと協業しており、その実現にはNTTが光ファイバーの技術を活用して生みだした平面光波回路技術(PLC技術)が利用されている。

QDレーザの菅原充氏

 「世界的なイノベーションを起こしたい」と話す菅原氏は、要素技術の高度化が必要だと感じている。これには、ICTネットワークやAIなどのインフラを持つ企業とのコラボレーションがキーになると考えており、その点を踏まえても「NTTグループは非常に良いパートナーだ」と笑みを浮かべる。

日本電信電話の岡田顕氏

 岡田氏も、QDレーザは「光に関する深い知識と技術があるのはもちろん、すでにレーザアイウェアをしっかり具現化している点は大企業が真似できない魅力。それだけに、安心して議論ができた」と太鼓判を押した。今後の発展について、菅原氏は「苦労はあるが目標に間違いはない」と確信しており、「約2年での実用化を目指す」との見通しを示した。

 4組目は、パロニム 代表取締役社長の小林道生氏とNTTドコモ コンシューマビジネス推進部 デジタルコンテンツサービス デジタルコンテンツ企画担当課長の山崎裕司氏。パロニムは、TIG(ティグ)と呼ばれる映像拡張技術を展開しており、動画の任意の場所をタッチすることで、より詳細な情報へと誘導できるサービスを提供している。

パロニムの小林道生氏

 NTTドコモはパロニムへの出資をわずか3ヵ月で実現したが、このスピード感の背景にはTIGの技術に対する山崎氏のひと目惚れがある。当時はまだ計画中だったNTTドコモの新動画サービス「新体感ライブ」へ「直感的に導入できる」と思い、実際の採用に至った。

NTTドコモの山崎裕司氏

 2019年以降は低遅延・高速/大容量通信・多接続を実現できる5Gを活用し、リッチコンテンツと決裁システムを組み合わせたサイネージサービスや、「ライブコンテンツ(生配信)におけるTIG技術の展開」(小林氏)を目指していく。山崎氏も、ライブコンテンツへのTIG導入には大きな期待を寄せており、「生の映像をエモーショナルに触れられる世界を、早く一緒に実現したい」とさらなる協力を約束した。

 協業セッションの最後に登壇したのは、フィンランドの「Hatch Entertainment Ltd.」(以下Hatch社)。Hatch社は欧州を中心に、スマートフォン(スマホ)やタブレット、テレビ向けのゲームストリーミングサービス「Hatch」を展開しており、5G時代を見据えてNTTドコモ・ベンチャーズが出資、NTTドコモが業務提携を行ったゲームベンチャーだ。

Hatch社のLassi Nummi氏

 サービスは2019年2月13日から始まった。NTTドコモとの提携により、日本のプレイヤーはdアカウントを利用してすぐにHatchのゲームを楽しめる。また日本でのサービス提供開始にあわせ「ドコモテレビターミナル」と連携。外ではスマホやタブレット、家ではテレビの大画面に接続してスマホをコントローラー代わりにするといったシーン別の楽しみ方ができるのも大きな特徴だ。

 Hatch社でHead of Marketingを務めるLassi Nummi氏は「音楽や映画同様、ゲームもストリーミングの時代になりつつある。5Gが始まりネットワークがさらに高速になれば、ストリーミングで複雑なゲームがストレスなく体験可能になる」と説明。今回の協業に関しては「据え置きゲーム機に慣れ親しんでいる日本のユーザーにも自信をもって薦めたい。NTTドコモとの協創で魅力的なタイトルをどんどん追加する予定だ」との展望を語った。

NTTドコモの細川正人氏

 NTTドコモ コンシューマビジネス推進部 デジタルコンテンツサービス ゲームビジネス担当課長の細川正人氏は「まずはゲームストリーミングの文化を根付かせたい」と話す。もともとNTTドコモは「dゲーム」やスマホ向けゲームプラットフォームの「Shift for docomo」をはじめ、大型のeスポーツイベントに協賛するなど積極的にゲーム事業を手がけてきた。Hatchのサービス開始は拡大する一方のスマホゲーム市場のニーズを先取りしたもので、細川氏は「HatchとNTTドコモのアセットの強みを融合して、グローバルなゲーム市場で勝負していく」と語る。

Hatch社ブース前で展望を語る細川氏(左)。NTTドコモユーザーはdアカウントですぐにサービスを利用できる

 今後について細川氏は「ショッピングモールなどでスマホで楽しんでもらえる“カジュアルなeスポーツ”も提供していければ。また、日本発のゲームをHatchを通じて世界に発信していくことで、さらなるビジネスチャンスをゲーム会社にもたらすことができるのではないか」と期待を寄せる。

 続くグローバルセッションでは、「Evernote」などを創業してきたAll Turtles Co-Founder & CEOのPhil Libin氏が登壇した。Libin氏は、これまでの経験から「シリコンバレー中心のイノベーションモデルだけでは不十分」と考えてAll Turtlesを設立。東京、サンフランシスコ、パリに拠点を構え、AIによる複数のプロダクトを展開するスタートアップで、「従来のシリコンバレースタイルでは解決できなかった問題を解決できる」と説明する。

All TurtlesのPhil Libin氏

 Libin氏によれば、プロジェクトの要件には「本質的で現実的な課題を解決する」「創業メンバーに当該領域のエキスパートがいる」「ビジネスモデルが現実的で、収益化の可能性が高い」「数年前には実現不可能だったサービスを、最新の各種プラットフォームを活用して12~18ヵ月で実現する」という4つが必要だという。また、プロジェクトは当然失敗することも多々あるが、「失敗しても人材とアイデアはリサイクルできる。失敗こそが最良の先生だ」とも説いた。

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ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
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