キーワードは“深化” +dでNTTドコモがイノベーションを加速する

キーワードは“深化” +dでNTTドコモがイノベーションを加速する
 今年で4回目を迎える「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2019」が、2018年2月6日に開催された。今年は「Find new seeds.」「Blend for innovation.」「Enjoy a new future!」をテーマに、カンファレンスでは協業事例の紹介やスタートアップによるピッチを実施。新たなイノベーションの種となりえるブース展示とあわせて、その様子をレポートする。
 今年で4回目を迎える「NTT DOCOMO VENTURES DAY 2019」が、2018年2月6日に開催された。今年は「Find new seeds.」「Blend for innovation.」「Enjoy a new future!」をテーマに、カンファレンスでは協業事例の紹介やスタートアップによるピッチを実施。新たなイノベーションの種となりえるブース展示とあわせて、その様子をレポートする。

プールテックからAI恋愛アシストまで、精鋭たちが集った多彩なピッチ

 最後のセッションとなった「ベンチャーピッチ powered by ドコモ・イノベーションビレッジ」には、5社のベンチャーが登壇した。

NTTドコモ・ベンチャーズの西本暁洋氏

 モデレーターを務めたNTTドコモ・ベンチャーズ シニア・ディレクターの西本暁洋氏は「さまざまなつながりが生まれ、新しいサービスや技術の種を得て協業やイノベーションを起こしていくことを目指す」と、改めてドコモ・イノベーションビレッジの主旨を説明。具体的な数字によって成果を示すとともに、「一方で数字だけでは表せない価値も大きい。これからも人と人とのつながりを促進したい」(西本氏)と決意を新たにした。

ecbo

 ecbo(エクボ)は荷物一時預かりの「ecbo cloak(エクボクローク)」を運営。荷物を預けたい人と店舗や施設の空きスペースをスマホアプリでマッチングするシェアリングサービスで、旅行客などが手軽にスーツケースやリュックなどの荷物を預けることができる。

ecboの井坂陽氏

 慢性的なコインロッカー不足の解決策として有効なだけでなく、“手ぶらで観光”を実現するのがポイントだ。さらに店舗オーナーは無料ですぐに導入できることから、空きスペース提供による副収入と店舗に足を運んでもらう利用促進の両立が可能。こうした理由から設置先が増えており、おもな場所ではJR東日本の駅構内、西日本の旅行代理店、郵便局をはじめ、最近ではタワーレコード渋谷店とも提携した。

 ecbo執行役員 井坂陽氏は「今後は次の移動先に簡単手続きで荷物が届くエクボデリバリーを視野に入れている。エクボクロークとエクボデリバリーの両輪で2025年には世界500都市での展開を目指す」(井坂氏)とした。

ベルズシステム

 ベルズシステムは、質問回答型の人工知能(AI)「ロアンナ」を提供する。今回の参加はドコモ・イノベーションビレッジが開催した福岡市でのベンチャーピッチイベントが契機となったもので、まさに“人と人とのつながり”が生んだ好例である。

ベルズシステムの小野寺隆氏

 同社代表取締役 小野寺隆氏は「ヘルプデスク業務の課題をチャットボットサービスで解決しようとAI市場はすさまじい勢いで伸びている。しかし、ヘルプデスク対応をチャットボットで自動化するのは難しいことがわかってきた」と指摘。その解決策として提供するロアンナは同社独自の自然言語処理技術「Natural Sentence Understanding(NSU)」により、日本語特有の言い回しや表記の揺れに標準対応する。

 「実際の業務での質問は長く曖昧なセンテンスがほとんど。これまでのチャットボットは複雑になるとたちまち認識できなくなる。だがロアンナは、異なるさまざまな言い回しを同じ意味と理解するため、飛躍的に業務の効率化が図れる」(小野寺氏)

ロアンナのデモ。自然言語処理能力は非常に高い

 利用者は質問と回答のデータセットを用意するだけでよく、導入のハードルが低いのも利点だ。小野寺氏は「チャットボットは決して競合ではなく、ロアンナとAPI連携することで次のステージに進化する」と考えており、デジタルサイネージやコミュニケーションロボットへの対応など、活用領域を拡大していきたい構えだ。

Rockin’Pool

 元気よく登場したRockin’Pool(ロッキンプール)は、元競泳選手の西川隼矢氏が代表取締役CEOを務めるスタートアップ。「人と笑顔をもっとプールに集める」を企業理念とし、プール×テクノロジーによって健康・スポーツ支援を行うユニークな企業だ。

 西川氏によれば、ここ10年ほどで公共、民間を含めて約3000施設ほどプールが減少しているという。その理由は24時間フィットネスのようなプールレスのジムが増えたことに加え、30年ほど前に乱立したプール併設の大型施設が老朽化し、同時多発的に廃止しているからだ。

Rockin’Poolの西川隼矢氏

 そこでプールに活気を取り戻そうと、同社では「水中VR」を提案している。ヘッドマウントディスプレイを装着して空撮映像を見たり、宇宙空間の疑似体験をしたりしながら実際にプールで泳ぐもので、これまでのイベントではかなりの好評を得た。また泳ぎが得意ではない人たちに向けて、水に顔をつけなくても楽しめる簡単なシューティングタイプのVRゲームも開発し、「中高年や障害者など、幅広い層に活用してほしい」(西川氏)との意気込みを見せる。

 5G環境が整った暁には「多接続なプールテックを進化させるのが理想。テクノスポーツとして人気の高いHADOの水中版を実現したい」と西川氏は話す。この可能性にNTTドコモも着目し、2018年末の「DOCOMO Open House 2018」に出展するなど、今後の協創に向けて関係を強めている。

gemfuture

 NTTドコモ・ベンチャーズのコワーキングスペースに入居するgemfuture(ジェムフューチャー)は、AIによる恋愛ナビゲーションサービス「AILL」を提供する。同社 代表取締役社長の豊嶋千奈氏は、「AIがコミュニケーションをサポートできる時代。AILLはAIが出逢いから付き合うまでの男女の関係進展をナビゲートする」と説く。

gemfutureの豊嶋千奈氏

 ターゲットを20〜30代の独身「正社員」のみに絞った点も特徴だ。「いまの20〜30代の男女は、成果主義の浸透によって結果を出すことにこだわりがある一方、結果が不透明なことに注力することをためらう。AILLのAIは異性の気持ちとその変化、自分の行動に対する結果を事前予測でき、実際の行動をアシストしてくれる。だからこそ、恋愛で傷つくことを最小限に抑えられる」(豊嶋氏)。

 AIのアルゴリズムには、かつて国内大手製薬企業のトップ営業として培った豊嶋氏のノウハウを反映。北海道大学、はこだて未来大学、東京大学と錚々たるアカデミアの協力を得て、本格サービス開始に向けたAI構築に励む。

豊嶋氏はAILLを、社会課題である少子化の突破口としても機能させたいという

 恋愛という繊細な感情を扱うだけに難しいテーマではあるが、「これまでAIアシストによって76%のデート成約率を達成した。これは自分の力のみに比べて3倍以上の数値」と豊嶋氏。科学的なエビデンスに基づいたAI恋愛アシストが完成すれば、スケールする可能性は高い。

Emotion Tech

 昨年に続き2度めの登場となったEmotion Tech(エモーションテック)は、感情データ解析を用いて、顧客と従業員の体験を向上させるSaaSを展開する。2013年3月に創業し現在7期目を迎えるが、草創期にドコモ・イノベーションビレッジによる「Villageシード・アクセラレーション」の2期生として採択され、その後も着実にステップアップを重ねてきた。

Emotion Techの今西良光氏

 同社 代表取締役CEOの今西良光氏は「ミッションは従業員を生き生きとさせること。それにより顧客体験が向上し、企業の収益向上につながる。その収益の一部を再び従業員の利益に投資していく。このポジティブなサイクルを世界中の企業内インフラとして提供したい」と抱負を語った。また、昨年のドコモ・ベンチャーズ・デイで出会ったことがきっかけとなり、デロイトトーマツと業務提携を行ったエピソードを披露。「今日も素晴らしい出会いがあればうれしい」と締めくくった。

ブースを訪れたNTTドコモの吉澤氏

 最後に、注目の出展ブースを紹介しよう。Villageシード・アクセラレーションの3期生として採択されたウンログは、排便を記録して日々の体調・健康管理を行うアプリ「ウンログ」を主軸とし、現在では各企業と連携した腸活サービスや腸内フローラ検査などを手がけている。

ウンログの田口敬氏

 同社 代表取締役の田口敬氏は「地道に活動を続けてきた結果、大学や病院から便を画像解析し、それによって病気(胆道閉鎖症)の早期発見につなげられないかとのオファーがあった」と語る。この実証実験を高知大学医学部付属病院とともに進めており、最終的には日本初となる「便色判定アプリ」を完成させるつもりだ。このアプリは、聖路加国際大学と共同開発した胆道閉鎖症早期スクリーニングアプリの「Babyうんち」の便色判定プログラムを改修したもの。それゆえ、健康な赤ちゃんと病気の赤ちゃんの便を大量に学習し、特徴を見つけ出す。田口氏は「こうした社会的貢献もウンログの重要な柱」と話してくれた。
 
 Candee(キャンディー)は、近年盛り上がりを見せるライブコマースを手がける。ライブコマースとは、人気モデルやタレント、YouTuberなどのいわゆるインフルエンサーがライブ動画を配信し、動画中で取り上げた商品を販売する形式。ECサイトと生配信の融合をイメージするとわかりやすいだろう。

 同社が運営する「Live Shop!」は、アパレルやコスメを中心に厳選した商品をじっくりと紹介するのが特徴。また豊富な映像制作経験を武器としたきれいな映像も売りで、同社の谷古宇幹也氏は「イメージを崩さず、きちんとブランディングできる点が評価されている」と話す。

Candeeの谷古宇幹也氏(左)。Live Shop!の配信イメージ(右)

 「ロングテールで何でも選べるプル型のECサービスではなく、ほしいときにオススメを教えてあげるプッシュ型のサービス」(谷古宇氏)が、これからどんな成長曲線を描いていくのか楽しみなところだ。

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ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
E-mail:village-application@nttdocomo-v.com