多彩な技術革新によって、新サービスの創出や業務課題の解決が期待される昨今。各企業がそれぞれに努力するだけでなく、垣根を超えて互いに協力し合うことで、思いがけない化学反応を生み出すこともある。NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズが進める新たな取り組みから、一歩踏み込んだ企業連携の可能性を紹介する。
 多彩な技術革新によって、新サービスの創出や業務課題の解決が期待される昨今。各企業がそれぞれに努力するだけでなく、垣根を超えて互いに協力し合うことで、思いがけない化学反応を生み出すこともある。NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズが進める新たな取り組みから、一歩踏み込んだ企業連携の可能性を紹介する。

新たなシナジーで商流を作ってWin-Win-Winを目指す

 今回の交流会は、参加したスタートアップやグループ会社、そしてNTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズのそれぞれに、メリットや期待する部分がある。

 スタートアップにとっては、第一にこのようなイベントに参加できること自体に大きなメリットだったようだ。というのも、スタートアップには参加するグループ会社の担当者の役職やサービスが事前に知らされていたことに加え、テーマのECに関連した各社の課題などについても共有されていたからだ。

 一般的なイベントであればテーマこそあるものの、参加する企業の情報や課題を事前に知る方法は皆無に等しい。それだけに、スタートアップ側にとっては事前準備や当日の対応がやりやすかったようだ。

 Candeeの平井昭利氏は、提供すべき情報や資料をピンポイントに深掘りして用意できたそうだ。さらに、「通常の営業であれば、クライアントとのコミュニケーションは課題の見える化から始まるのが常です。しかし、今回はすでにそこが完了している状態だったので、我々としては細かい説明が不要でスムーズに理解してもらえた。その点は非常にやりやすかった」と笑みをこぼした。

 これについては、Kaizen Platformの大塚宥吾氏と多田朋央氏も共感を示した。さらに多田氏は、テーマ設定にあわせてグループ会社の参加数も絞られていたことをメリットに挙げ、「参加企業が多過ぎるイベントは必ずしも効率が良いとは言えない。数が少ないうえに事前情報があるからこそ、個々で密度の高いコミュニケーションを取ることができた」と振り返る。また大塚氏も、グループ会社と協業だけでなく、「スタートアップ同士のシナジーを生み出せる場にもなった」ことを喜んだ。

 これに加えて、グラッドキューブの金島弘樹氏はNTTドコモ・ベンチャーズを通じた資本関係にも着目。これまでの経験から、この関係性がグループ会社の信頼感や安心感につながるほか、資本関係のあるなしによって「提携に対する意識や思いはまったく異なってくる」と実感しており、今後のさらなるビジネスシナジーに期待を寄せた。

 次に、グループ会社にとってはまず、スタートアップの新しい技術やサービスを知る機会となったことがメリット。タワーレコードの小野寺慶祐氏は「直接的に自社の課題解決に活用できる・できないにかかわらず、素直に勉強になった」と感じたそうだ。

 さらに、スタートアップのプレゼン後に実施されたディスカッションの時間にも触れ、「今回紹介された技術やサービスをすでに使っている企業があり、実際に利用しているユーザーの具体的な事例を聞けたことはとても参考になった」と話す。実際問題、競合他社やまったく関係のない企業から、導入事例などを直接聞くことは難しい。それだけに、「こちらとしては気兼ねなく聞けるし、相手もグループ会社であれば出し惜しみすることなく教えられる。そういった場を作ってもらえたことは非常にありがたかった」と、今回の交流会ならではのメリットを挙げた。

タワーレコード リテール事業本部 オンライン事業統括部 マーケティング企画・推進部 部長 小野寺慶祐氏

 オークローンマーケティングの松田茉莉氏も、ディスカッションの時間で「グループ会社のさまざまな情報を知ることができただけでなく、新たな協業のきっかけも生まれた」と、今回の交流会を高く評価する。これは、グループ会社間での横連携につながっている証と言えるだろう。

 これに加えて、スピード感や柔軟性の高さをスタートアップの強みとして挙げ、「さらなる新しいテクノロジーや協業できる企業の登場」を熱望。さらに、今後の期待としてNTTドコモが持つ膨大なデータやアセットなどの活用も挙げ、さらなる連携に向けた取り組みを望んだ。

オークローンマーケティング E-Commerce Div. Senior Section長 松田茉莉氏

 最後に、NTTドコモやNTTドコモ・ベンチャーズの考えについても触れておこう。そもそも、今回の交流会が開催された理由は2つあり、1つは「スタートアップとグループ会社の接点を作ること」、もう1つは「グループ会社の横のつながりを作ること」にある。NTTドコモの須田将行氏は、「NTTドコモやNTTドコモ・ベンチャーズとのシナジーだけでなく、グループ会社の相互シナジーも作っていくことで新たな商流を作り、最終的にそれぞれがWin-Win-Winとなることが理想です」と説明する。

NTTドコモ グループ事業推進部 アライアンス支援担当 主査 須田将行氏

 また、NTTドコモの堀泰宏氏は「スタートアップとのつながりはNTTドコモ・ベンチャーズのアセットという見方もできる。そう考えると、例えばオークローンマーケティングやタワーレコードがスタートアップと結びつく場合も、横連携の延長線上にあるシナジーと言える」と、今回の意図を補足。参加した企業が自社のアセットを持ち合い、新しいビジネスを生み出すために協力するという意味では、それぞれの立ち位置が対等な「アライアンス」に近い関係性になると考えている。

NTTドコモ グループ事業推進部 アライアンス支援担当 課長 堀泰宏氏

 NTTドコモ・ベンチャーズの加納出亜氏も、自社のアセットを「NTTドコモやグループ会社のシナジーに活用してもらえることが一番だ」と語る。そしてそれが、結果的には顧客のライフタイムバリューの最適化や向上、あるいは5Gでの新しいユースケースの開拓につながると考えており、「単純に儲けたいのであれば、投資だけをすればいい。しかし、それ以上に重要なのは、顧客に対しての付加価値にある」と力説する。

NTTドコモ・ベンチャーズ ドコモ・イノベーションビレッジ ディレクター 加納出亜氏

 両社としては、今回のような交流会は今後も続けていく方針だ。加納氏は「NTTドコモのブランドに、単純に『通信』を求める時代は終わった」と断言し、ライフスタイルの変革をもたらすようなソリューションが求められていることを実感している。それを踏まえ、NTTドコモ・ベンチャーズとしては「スタートアップとのハブ役や目利き役を担いながら、今後も新しいコラボレーションを生んでいく」と抱負を語った。

 もうすぐ始まる5G時代にあって、これからどんな画期的なサービスが生み出されていくのか。NTTドコモとNTTドコモ・ベンチャーズのサービス提供戦略とともに、グループ会社やスタートアップを巻き込んだシナジー戦略にも期待したい。

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