今年度から、スタートアップの事業成長やNTTグループとの協創を支援する場創りに注力しているNTTドコモ・ベンチャーズ。スタートアップが事業発信できるイベントや、大企業と協業相談できるピッチイベント、さらには事業成長を促進するメンタリングサポートの場などを積極的に提供している。その詳細とキーパーソンの話を紹介する。
 今年度から、スタートアップの事業成長やNTTグループとの協創を支援する場創りに注力しているNTTドコモ・ベンチャーズ。スタートアップが事業発信できるイベントや、大企業と協業相談できるピッチイベント、さらには事業成長を促進するメンタリングサポートの場などを積極的に提供している。その詳細とキーパーソンの話を紹介する。

シードスタートアップはダイヤの原石

 今回NTTドコモ・ベンチャーズは、『起業の科学』の著者であり、ユニコーンファームのCEOでもある田所雅之氏と連携し、スタートアップにとって必要な学びの場と事業成長のためのメンタリングを実施した。これらの取り組みはいずれも、起業して間もないシードステージからプロダクトやサービスをローンチしたばかりのアーリーステージまで、若いスタートアップをターゲットに展開している。

 NTTドコモ・ベンチャーズは、スタートアップ投資とNTTグループとの協業を創ることをミッションとしている。しかし、連携するスタートアップは、すでにサービスが伸び始めているミドルステージ以降のスタートアップが多い。そのため、シードやアーリーステージといった若いスタートアップに対しては、出会いこそあるものの、信頼関係を構築できるようなコミュニケーションにまで至ってないのが現状だ。

 一方で、若いスタートアップにとっては、「そもそも事業の相談をできる人がいない」「事業を成長させていく仲間がいない」など、起業初期に立ちはだかる壁は高い。そこでNTTドコモ・ベンチャーズとしては、同社が提供する“場”を通じて、若いスタートアップの課題解決をともに並走できるパートナーになれればとの思いがある。

 さらに、若いスタートアップといえども、ちょっとしたタイミングや巡りあわせで急成長するケースは多い。そういったスタートアップといち早く関係を築くことで、協業開発やトレンド把握につながるとの思惑もある。また、「NTTグループとの協業はハードルが高い」と思われがちな側面を、徹底的に払拭したい考えもある。若いか若くないかでスタートアップを見ているのではなく、「良いビジネスや技術を持っていれば、積極的に取り入れていく」という姿勢を見せる意味でも、「これらの場の価値は大きい」とNTTドコモ・ベンチャーズの篠原敏也氏は語る。

NTTドコモ・ベンチャーズ 篠原敏也氏

ユーザーが買うのは「モノ」ではなく「体験」

 NTTドコモ・ベンチャーズが運営するスタートアップスタジオ「/Hub」のメンターとしてもサポートしているユニコーンファームの田所氏は、日本と米国のシリコンバレーで合計5社を起業してきたシリアルアントレプレナー。NTTドコモ・ベンチャーズの取り組みを強力にバックアップしている人物の1人だ。

『起業の科学』の著者でもあるユニコーンファーム CEO 田所雅之氏

 全6回のスタートアップ事業成長セミナーの講師としても参加しており、「イノベーションの型7つのポイント」「リーンキャンバスをベースにしたビジネスモデルの検証」「UXの極意」「カスタマーサクセスの極意」「Mission Vision Valueの設定」「資金調達の極意」をテーマに講演を実施。スタートアップにとっての課題や、投資家目線での各シリーズにおけるポイントなどを丁寧に解説した。

 多くのスタートアップと接する田所氏が、スタートアップ業界の課題として感じているのが「すべての事柄が体系立っていない」ということ。全6回の長丁場でスタートアップ事業成長セミナーを行ったのも、その思いがあってのことだという。また、アーリーステージのスタートアップは「課題が似ている」と語り、優秀な人材こそ多いものの「カスタマーを定義する前にプロダクトを作ってしまうなど、順番が間違っている」と指摘する。

「必ずしも、初めからモノ作りに注力する必要はありません。重要なのは、プロダクトを作る前に『営業資料を作れ』ということ。そもそも、ユーザーが買うのは『モノ』ではなく『体験』。ユーザーエクスペリエンスの仮説を立て、インタビューやPoCを基にしっかり検証していれば、『このサービスは欲しい』という人はたくさんいるはずです」(田所氏)

 もう1つ、田所氏が気になっているのは、学生起業家や大学発のスタートアップが流行っているものの、そのほとんどが「ことごとく上手くいっていない」ということだ。当初は順調だったとしても、資金調達のシリーズAを超えると状況が大きく変化するため「これまでは起業家でよかった人も事業家になる必要があるのだが、そのトランスフォームが上手くできていない」と分析する。

 そのような現状にあって、NTTドコモ・ベンチャーズや田所氏のサポートは、若いスタートアップにとって大きな助けとなるはずだ。また、田所氏は「通信キャリアであるNTTグループは、まさにイノベーションの中心にいる存在。だからこそ、いま以上の取り組みとサポートを期待したい」と、NTTドコモ・ベンチャーズのさらなる後押しを促す。スタートアップの声に耳を傾けながら、どのようなサポートや新たな協創を目指すのか。今後も、NTTドコモ・ベンチャーズとスタートアップとの関係性に注目していきたい。

第6回のスタートアップ事業成長セミナーでは、豊富なスライドを使った解説とともに、参加者同士の簡単なワークショップも行われた

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ドコモ・イノベーションビレッジ事務局
E-mail:village-application@nttdocomo-v.com