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CASE STUDY 04 /ネットスターズ(情報通信・従業員数75人)QRコード決済の申込が倍増し手入力では限界!最新AI-OCRで危機を脱し、事業展開を高速化

CASE STUDY 04 /ネットスターズ(情報通信・従業員数75人)QRコード決済の申込が倍増し手入力では限界!最新AI-OCRで危機を脱し、事業展開を高速化

QRコード決済花盛りの中、数多くの決済サービスに対応する「StarPay」端末が人気のネットスターズ。加盟店登録希望の急増にうれしい悲鳴を上げる半面、日々、紙で届く加盟申込書の入力作業に追われるスタッフは疲弊していた。そして、事業の急拡大により業務効率化を迫られる中で同社が選んだのは、最新のOCRサービス。作業負担は一気に軽くなり、事業のスピードを高めることに成功した。

課題
QRコード決済加盟希望が倍増。紙で届く申込書に手入力だと登録が追いつかない
解決
AI-OCR導入で入力業務を自動化。扱える情報量が増大しても問題なく処理できるようになった

QRコード決済が浸透、激増する
新規登録用紙に手入力では限界に達した

田畑 賢 氏
ネットスターズ
フィンテック事業本部 ペイメントシステム本部
ペイメント運用部 リーダー
田畑 賢

 「当社の端末StarPayは、10以上の決済ブランドに対応していることもあり、半年前に比べて加盟を希望する申し込みは約2倍に増えています。申込書は紙で届くので、このまま手入力での登録を続けると業務負荷が大きくなりすぎる可能性がありました」とネットスターズ フィンテック事業本部の田畑賢氏は、当時の危機的状況を振り返る。

 同社は、申込書の入力やチェックなどを人の手で行ってきた。その体制は、専任者をおいたうえで、営業部門のスタッフが他の業務の傍ら処理するというものだった。業務量が急増したのは2019年初めからで、春ごろからスタッフの残業が目に見えて増えていったという。

 昨今は、現金決済中心だった人々の暮らしの中に、キャッシュレス化の波が押し寄せている。2016年、20%程度だった日本のキャッシュレス決済比率を、25年には40%に引き上げ、将来的には80%を目指すとの政府宣言も、この流れを後押しした。中でも目立つのがスマホを用いたQRコード決済だ。国内外の事業者が様々なブランドのQRコード決済サービスを立ち上げ、激しい競争が展開されている。

 多くのQRコード決済に対応する店舗も増加中だが、それぞれの店舗が各ブランド用に読み取り端末を導入するのは負担が大きい。そこで、ネットスターズは国内外計10種類以上のQRコード決済を、1つの読み取り端末で可能にするサービスを提供している。同社のマルチ決済ゲートウェイ「StarPay」は、大規模チェーンから個人経営の店舗まで幅広い支持を集めており、すでに10万を超える加盟店で活用されている。

StarPayは数多くのQRコード決済ブランドに対応している
StarPay
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 StarPayへの加盟を希望する企業は、同社に新規登録を申請する。郵送で申込書を受け取った同社は、記載された内容を登録システムに入力。さらに、QRコード決済の各ブランドに対して審査に必要な情報を送付する。審査を通過すると、同社からマルチ決済用の端末が店舗に送られるという流れだ。

松本 絵美 氏
ネットスターズ
フィンテック事業本部 営業本部 営業部
松本 絵美

 「申し込みから端末が届くまでの時間をできるだけ短縮したいところですが、他の業務も行っているので、事前準備やリソースの確保にも限界があります。専門に入力だけをしているわけではありませんから、手入力では1日に20件程度の処理が精一杯でした」とは、入力業務などにも携わっている同社 フィンテック事業本部の松本絵美氏だ。

 松本氏は営業部門の1つに所属していて、専門の入力者も他にいるが、松本氏も自ら入力業務を行わなければならない状態だった。

 申込書入力の工程が滞れば、次のプロセスに進まない。仕事全体も滞ってしまう。いかに入力作業を効率化し、スタッフの負荷を低減させるか。それは、加盟店に端末が届くまでのリードタイムにも影響を与える切実な問題だった。

競合OCRと比べて多い読み取り項目で
「AIよみと~る」を選定

 同社は、まず手入力プロセスの改善に取り組んだ。OCRを使って手書きの申込書を読み取り、入力業務を自動化しようと考えたのである。

 同社は2つのソリューションの説明を受け、総合的に判断した上で、NTT東日本の手書き帳票データ化サービス「AIよみと~る」を選定した。だが、デモを見るまでは競合のOCRを導入しようとしていたという。

 「実際、AIよみと~るではなく、別会社のOCRを導入しようと考えていました。ですが、デモを見てみると、別会社のOCRよりもAIよみと~るの方が読み取り項目の種別が多い。氏名や日時、金額、金融機関など多くの項目が指定できるので、当社申込書の書式に合致していることから導入を決定しました」と田畑氏は導入の決め手を話す。読み取り項目においては、種別に応じて文字や数字を判別するので自然と精度が高くなる。加えて2製品を比較検討した際に、使い勝手の良さや、作業時間の短縮を実感できたという。

 AIよみと~るはユーザーがアップロードした帳票や書類を、OCRを用いてデータ化し結果をファイルとして出力するサービス。高い読み取り精度や操作性などにより、入力作業の負荷低減に寄与できる点で、同社の課題解決にうってつけのサービスだったのだ。

 また、AIよみと~るの導入にあたって、同社は申込書の書式を変更した。「OCRが読み取りやすいように工夫しました。例えば、郵便番号のボックスは以前、1文字ずつの区切りがありませんでした。区切りを入れることで、より高い精度が出るだろうと考えました」(田畑氏)。

書類1枚の入力を5分削減、チェックも楽に
入力完了までの時間を短縮

 同社がAIよみと~るを使い始めたのは、2019年6月。田畑氏自身が初期設定を行ったが、「あまりICTに詳しくなくても数時間ほどで設定することができました」(田畑氏)。全社で使っている業務ツールとも連携させたが、その作業はNTT東日本がサポートした。

 松本氏は導入の当初から効果を実感することができたという。「入力にかかる時間は、1件当たり20分から15分に短縮されました。5分ほどの違いですが、10件で50分、20件で1時間40分です。いくつかのルーチンが入っている作業の中で、この違いは大きいですね。1日に処理できる申込書の数は相当増えました。入力作業の内容で例示すると、チェック効率のアップもあります。導入前までは、紙とPC画面を突き合わせてチェックをしていたのですが、PCの画面だけで確認できるだけでなく、確認したい項目をAIよみと~るが分かりやすく示してくれるので作業が本当に楽になりました」。

AIよみと~るでの文字確認の様子
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AIよみと~るでの文字確認の様子。左側が元データ、右側が項目ごとのOCRで読み取ったデータだ。
一つのPC画面で元データと読み取ったデータを指差し確認ができる

 導入から数カ月後、田畑氏はAIよみと~る継続活用の意向を、ユーザー部門である4部門の責任者に尋ねた。「4人とも、『使い続けたい。もう、元には戻れません』とのことでした」と田畑氏。今後は後続プロセスの改善も進め、一層の効率化を目指すという。

 「今後は入力データの確認、提携ブランドへの審査請求などの業務をさらにスピードアップし、加盟店に対して可能な限り早く端末を送付できるような体制づくりを進めていくつもりです」

AIよみと~るの導入前後の作業時間1件につき5分短縮!
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AIよみと~る導入により入力時間が短縮

 また、StarPayは提携ブランド増加に伴い、申込書への記入項目も増えてきた。提携が決まるたびに、ブランド側から「この項目も必要」と求められるためだ。そのため、以前はA4で1枚だった申込書は、書式変更を機に2枚に増えたという。

 「以前に比べて、当社に届く申込書の数が増えただけでなく、申込書の項目数も1.5倍になりました。さらに、申込書はA4×1枚からA4×2枚になりました。枚数、項目数が増えても、AIよみと~るであれば問題なくスピーディーに対応できるので安心です」と田畑氏は、AIよみと~るによって顧客要望に応えられていると話す。

 また、A4×2枚のPDFをAIよみと~るで処理した結果は、CSVのファイルとして出力される。同社はこれを自社システムにアップロードして管理している。

 予想外の効果もあった。「今回のAIよみと~るの導入で、手入力と比べると読取精度が高まり、チェックがスムーズになったことで、清算業務など他の工程も効率化が進みました」と田畑氏は説明する。

 「RPAやBPOなど、業務をいっそう効率化する手段は多くあると思います。ただ、その前に現状の業務を見直して定型化を進める必要があるでしょう。次のステップに進む前に、業務プロセスをきちんと整理したいと思っています」と田畑氏は話す。次の成長ステージを目指すためにも、同社はこれまで以上にICTツールを活用していく考えだ。

株式会社ネットスターズ

URL:https://www.netstars.co.jp/
所在地:東京都中央区日本橋茅場町3-11-10 PMO日本橋茅場町 12F
設立:2009年2月12日
資本金(資本準備金含む):18億3,900万円
従業員数:75人

QRコード決済を中心に、日本のキャッシュレス化を推進するフィンテック企業。独自に開発し、2015年にサービス提供を開始したマルチ決済プラットフォーム「StarPay®」は、大手企業のPOSレジから個店での決済、自動販売機や交通機関などでの支払いにも対応できるQRコード決済の標準ゲートウェイとして、幅広い支持を得ている。

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