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CASE STUDY 05 /リップル(コンタクトセンター、BPOセンター運営・従業員数71人)社員の育成こそ小さな会社の生き残る道データの手入力をAI-OCRに置き換え作業効率化と人材育成を推進

CASE STUDY 05 /リップル(コンタクトセンター、BPOセンター運営・従業員数71人)社員の育成こそ小さな会社の生き残る道データの手入力をAI-OCRに置き換え作業効率化と人材育成を推進

職場の大量の事務作業が、社員の成長の足かせとなっている企業は多い。パソコン・コピー機などのOA機器のサポートを事業とするリップルも、膨大な登録書類の入力作業に追われていた。その解決策として考えたのが、ICTの活用によるデータ入力の自動化だ。社員の負担軽減と作業効率化、そして働き方改革を目指し、最新のAI-OCRサービスを導入。社員の効果的な育成と働きやすい会社を実現し、事業拡大のみならず、企業価値も高めるための一歩を踏み出した。

課題
OA機器の登録書類が大量。全て手入力なので、かかりきりに。地方都市の小さな会社が生き残るため、事業拡大の足かせを外したい
解決
AIよみと~るで作業を効率化し、空いた時間で社員の働き方改革と育成を推進

頭を悩ませる紙書類の取り扱い
入力作業の自動化で、働き方改革につなげる

伊戸川 直洋 氏
リップル
コンタクト事業部長
取締役
伊戸川 直洋

 「地方に本拠を置く社員100人規模の小さな企業としては、今後の生き残りのために、人材育成を通じて業務量の拡大への対応が課題となります。特に地方都市では、雇用の継続や離職防止も大きなテーマです」

 そう語るのは、熊本市に本社を構え、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)やコンタクトセンター受付業務、OA機器のサポート業務などを事業の柱とするリップルのコンタクト事業部長・取締役、伊戸川直洋氏だ。

 限られた人材で事業を拡大するには、様々な業務の担い手となれる多能工的なスタッフを増やし、顧客の多様なニーズに応えていかなければならない。しかし同社では、親会社であるラディックスが販売するOA機器のサポート業務でデータの手入力が大量に発生し、社員の能力開発はおろか、他の業務に思うように充てられない点が悩みとなっていた。加えて膨大な入力作業は、同社が推進する働き方改革の部分でもハードルとなる懸念があった。

 人手不足は、あらゆる業界に影響を及ぼしている。そこで多くの企業が考えるのが、人が担っている作業をデジタル技術の活用で極力削減し、浮いたリソースを別の仕事に割り当てることだ。

 例えば、どの企業でも紙書類の扱いには頭を悩ませている。紙書類の内容をデジタルデータ化する際、Excelなどに入力している企業も多い。人力に頼っている部分を自動化・省力化できれば、社員の作業時間が低減されてリソースの有効活用が可能になるとともに、作業者の負担軽減で働き方改革にもつなげられる。

 「当社では、多くの女性社員が働いています。熊本市から“子育て支援優良企業”として3年連続で認定されており、これまでも社員の育児サポートには力を入れてきました。しかし、今後は時短の推進によって、育児はもちろん介護をしながらでも働きやすい職場づくりをさらに進めていかなければ、将来に向けた人材確保も困難になるという危機感がありました」と伊戸川氏は話す。

リップルの社内の様子。女性が多い職場だ

読み取り精度の質で他製品を圧倒した、
AIよみと~る

 同社では、主に4つの業務で入力作業が必要となっている。1つは複合機やビジネスフォンといったOA機器に登録された短縮番号リストの更新作業だ。古い機器に登録してある取引先などの電話番号短縮リストを新しい機器へ移行する際、古い機器で登録した短縮番号リストを印刷し、社員がそのリストを見ながらExcelに手入力して新たな機器に移植する。もちろん新旧リストのデータは一つひとつ見比べ、入念にチェックしなければならない。件数は月平均で1万件から1万5000件と膨大で、その作業は担当社員に大きな負担を強いるとともに、他の業務へ人材リソースを回せない要因にもなっている。

 2つ目は、複合機の状態をリモートで監視・診断するシステムへのデータ登録作業。設置先の社名や住所、複合機の番号、毎月の利用枚数といったデータを複合機メーカーのWebサイトに入力する業務だ。月に500件ほどの複合機の設置があり、この入力作業も時間や人的リソースを大きく消費する。この2つに加え、リース契約に関してリース会社からFAXで送られてくる契約番号の入力作業、メーカーから届く顧客のコピー機の使用枚数などのデータ入力作業でも大量の入力作業が発生していた。

 「この4つの入力作業は年々増加しており、仕事量が増えるほど社員の作業負荷も増加し、働き方改革もままなりません。そこでOCRのシステムを導入し、可能なところから入力を自動化していこうと考えました」と伊戸川氏は振り返る。

 伊戸川氏が着目したソリューションが、NTT東日本の「AIよみと~る」だ。プリントアウトした旧製品に保存されていた短縮リストやメーカーから届く紙書類を「AIよみと~る」で読み取り、OCRによってテキスト情報をデータ化して、CSV形式でExcelに出力する。これにより各種書類を自動的にデータ化し、作業効率を大幅にアップすることが可能になる。

 「AIよみと~る」の導入を決断した理由について、伊戸川氏はこう語る。

 「やはり、読み取り精度の高さが最大のポイントでした。導入に際して他社製品との比較も行ったのですが、他社は読み取りに間違いが多く、一つひとつ手作業で修正していくのでは意味がないと感じました。その点、『AIよみと~る』の読み取り精度は圧倒的で、質の高いCSVに落とし込める点が決め手となりました」

人は財産。AIよみと~る導入により生み出した
空き時間で社員に複数の能力を持たせたい

 2019年4月から2カ月のトライアルを開始。4つの入力作業の1つ目、旧短縮番号リストの読み取りを試したところ、良好な成果を得られたため、7月から正式にスタートした。導入に際しては作業リストをピックアップし、OCR導入の向き不向きを作業ごとに検討した上で進めていった。伊戸川氏は「そこまでICTに詳しい担当者でなくとも、初期設定を含めてスムーズに使用開始できました」と、その使い勝手の良さに舌を巻く。

 そして、導入の効果は早くも表れている。旧短縮番号リストの移行では、従来2人で行っていた二重チェックを、1人1回のチェックに減らすことができた。

 「短縮リスト1枚に20件から30件のデータが記載されているのですが、従来の作業では1枚あたりの手入力やチェックに10分から15分かかっていました。それが、チェック回数を削減できたことで、5分程度で終わるようになりました」と伊戸川氏は証言する。

AIよみと~るの画面
[画像のクリックで拡大表示]
AIよみと~るの画面。青で囲んだ箇所を読み取る

 2つ目の複合機のリモート監視・診断の登録作業には、従来1件あたり5分から10分の時間を要していた。AIよみと~るの導入により、所要時間自体は変わらないものの、同作業を社員が行う必要がなくなったため、社員は他の業務に取り組めるようになった。また、3つ目のリース契約番号の入力作業は2日分を削減、4つ目のコピー機のデータ入力作業も仕事量をほぼ半減できているという。

AIよみと~る導入による効果
読取データ 枚数(月) 導入効果(月)
短縮番号リスト 約600枚 100時間削減
リモート登録リスト 約500枚 作業時間は変わらないが、
社員を他の業務に回せている
リース契約番号 約2000枚 24時間削減
コピー機の使用枚数 約400枚 12時間削減

 「AIよみと~る導入による作業効率化で、入力作業をしていた社員に空き時間ができ、サポート業務をはじめとする他の業務に回すことができるようになりました。入力作業は遠からず自動化されると思います。つまり、人の仕事ではなくなるはずです」。単純作業に近い仕事が増えたからと言って、人手を増やしていては先がないという危機感を伊戸川氏は持っている。「様々な仕事を経験することで、社員のスキルが高まりノウハウも蓄積され、成長できると考えています」。

 サポート業務の価値を高めるために、同社では、担当商材以外でも相談に乗るようにしているという。「これは弊社の担当外です」「契約外ですのでわかりません」とたらい回しにはしない。当然わからないことも多く、対処できない事案もあるが、ノウハウを共有し対応力を高めている。これは顧客を第一とするサポート姿勢の基本だろう。「こうしたサポート姿勢を持ち実践してもらうためには、単純な事務作業に社員を専念させるわけにはいきません」(伊戸川氏)。空いた時間を有効活用することで、自社の価値を拡大させるのだ。

 AIよみと~るの導入により、働き方改革も進めている。空き時間を育児や介護に充てることが可能となった。社員からも“働きやすくなった”という声が聞こえてきます」(伊戸川氏)。働きやすい会社からは新たな企業価値も生まれるだろう。

作業効率化
AIよみと~るの導入で作業効率化が進み、働き方改革も推進しやすい環境になった

 今後は、読み取り・入力可能な紙の書類は積極的にAIよみと~るに移行していくとともに、RPAなどによってさらなる効率化を狙っている。こうした取り組みにより、同社は社員の成長サポートと働き方改革を推進し、事業のさらなる拡大と将来の価値拡大に向けて一歩ずつ前進していく考えだ。

リップル株式会社
リップル株式会社

URL:https://www.ripple-call.co.jp/
所在地:熊本県熊本市中央区辛島町3-20 NBF熊本ビル3F
設立:2013年11月1日
資本金:4,000万円
従業員数:71人

熊本市に本社を構え、BPOやコンタクトセンター受付業務、OA機器のサポート業務などの事業を展開している。熊本市から“子育て支援優良企業”として3年連続で認定されており、育児や介護をしながらでも働きやすい職場づくりを目指している。

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