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日経BP総研 監修 経営力向上ラボ CASE STUDY 08/キューアンドエー(BPO・従業員数1,218人)Win 7終了で気付いた意外な落とし穴 セキュリティ強化と運用管理軽減の妙案とは

日経BP総研 監修 経営力向上ラボ 事例研究編 小さな組織が生き抜く経営のヒントCASE STUDY 08/キューアンドエー(BPO・従業員数1,218人)Win 7終了で気付いた意外な落とし穴 セキュリティ強化と運用管理軽減の妙案とは

個人情報をどう守るかは、企業のICT活用の利便性とトレードオフの関係にある重大な課題だ。特に場所を問わずに業務で使うノートPCは、盗難や紛失のリスクと常に向かい合っている。そうしたノートPCの活用に、「データレスPC」を導入した企業がある。高いセキュリティに加え、レンタル契約によりシステム部の運用管理の手間も大幅に減ったという。

課題
Windows 7のサポート切れでノートPCの入れ替えを検討。データをPCに残さない設定ができなくなる事実を知って代替策が必要に
解決
マイクロソフトのOneDriveにデータを自動保存する「おまかせデータレスPC」をレンタルすることで、セキュリティの担保とシステム部の業務削減を実現

Windows 7のサポート切れで
従来のセキュリティ対策が使えない

師岡 裕行 氏
キューアンドエー
情報システム部
システムインフラグループ長
師岡 裕行

 Windows 7のサポート終了は、各所に影響を及ぼしている。キューアンドエーも、そうした企業の一社だ。同社がこれまで使用していたノートPCはOSがWindows 7で、情報システム部がデータをフォルダやデスクトップを含めてPC上のストレージには保存させず、サーバー上にだけ保存するような設定にしていた。けれども、2020年1月のWindows 7のサポート切れを控え、ノートPCの入れ替えを検討していたところ、大きな問題が持ち上がった。「Windows 7では有効だった設定が、Windows 10では機能しないことが判明したのです」とキューアンドエー情報システム部の師岡裕行氏は話す。

 キューアンドエーはPCやスマートフォン、ホームITなどICT関連機器を中心に、個人向けと法人向けのテクニカルなユーザーサポートを受託型のコールセンターで行う(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業。営業部門などでは移動しながら業務を行うことが多くあり、ノートPCは業務に必須。一方でデータの安全性を確保するためのセキュリティ対策も不可欠だった。

 Windows 7時代の対策に代わり、データをPCに残さないソリューションを探す必要に迫られ、2019年夏ごろから具体的な検討を開始した。検討に上ったのが、VDI(仮想デスクトップ基盤)とデータレスPCソリューションだった。

 サーバ側にCPUやストレージなどのハードウエアリソースを集中させ、端末側では入出力だけを受け持つVDIならば、端末側にはデータの本体は保存されないためセキュリティは確保される。しかし、「持ち出しを前提にしたノートPCの利用は全社で300台程度とあまり多くありません。企業規模や利用対象から考えるとVDIは費用対効果が得られないと判断しました」と師岡氏は振り返る。代わりに浮上したのが、データを端末に保存せずクラウドストレージだけに自動保存するデータレス機能を使ったデータレスPCソリューションだった。

データを残さないで使えるPCを
レンタルすることで生まれるメリット

 データレスPCソリューションとしては横河レンタ・リースが提供する「Flex Work Place Passage Drive」(以下、Passage Drive)に着目した。ソフトをPCにインストールするだけで、マイクロソフトのOneDriveにデータを自動保存し、クライアントである端末上にはデータが残らない。Windows 10にも対応するので、Windows 7のサポート切れに対するセキュリティ対策としても有効だ。

 一方で、キューアンドエーの情報システム部では、もう1つの課題も抱えていた。それが社内のPCなどのサポート業務だった。

 Windows 7時代は、約300台の持ち出し利用があるノートPCを、情報システム部の担当者が1台ずつサーバーにだけ保存するように設定してから配布していた。運用に入っても、PCの調子が悪い、ネットワークにつながらないなど、何かトラブルがあれば情報システム部に連絡がある。情報システム部には約30人のメンバーがいるが、かなりの業務を社内のユーザーサポートに割かれていたという。

 新しくWindows 10のノートPCを数百台購入して、Passage Driveをインストールして配布する方法も選択肢としてはあったが、インストールや運用後のサポートの手間がかかることに変わりはない。「Windows 10PCへの切り替えは必須なので、このタイミングならば抜本的な対策を採ることも可能だと判断しました」と師岡氏は話す。そうして切り替えが2カ月後に迫った2019年11月、Passage Driveを使ったデータレス機能を搭載したPCをレンタルするNTT東日本の「おまかせデータレスPC」サービスにたどり着いた。

 おまかせデータレスPCでは、データレス機能のPassage DriveやOffice 365、ウイルス対策ソフトをインストールしたPCを月額料金で利用できる。セキュリティ要件に対して、情報システム部が初期設定する手間がかからない。さらに、PCをレンタルするという利用形態は、情報システム部にも大きなメリットがあった。

 NTT東日本のおまかせデータレスPCは月額料金内で、自然故障はもちろん、落として画面が割れたりコーヒーをこぼして動かなくなったりしたときも、電話サポートの窓口に連絡するだけで代替機が届く。「これまで故障対応は情報システム部に連絡があり、代替機の段取りや設定などの社内サポートにも手がかかっていましたが、故障対応を利用者のセルフサービスにできます。将来に向けて、故障関連で発生する情報システム部の工数をゼロにできると見込んだのです」と師岡氏は、おまかせデータレスPCを選んだ理由を解説する。

おまかせデータレスPCの仕組み
おまかせデータレスPCの仕組み(NTT東日本のWebサイトより転載)

PCのサブスクリプションで
働き方の変化への柔軟な対応も可能に

 Windows 7のサポート切れを目前にした2020年1月10日、おまかせデータレスPCの導入第1弾として200台のノートPCが稼働を始めた。情報システム部長の佐藤雅則氏は「Windows 7サポート切れ需要でPCが不足している中、納期が早かったことも評価のポイントです」と語るように、スムーズに移行準備が進んだ。

大野 香穂里 氏
キューアンドエー
リレーション・ブランディング戦略本部
コーポレート・コミュニケーション部
大野 香穂里

 実際に届いたPCの使い勝手について、キューアンドエーのコーポレート・コミュニケーション部大野香穂里氏はユーザーとしての立場から「従来のノートPCでは、端末にデータを保存できないため、デスクトップやドキュメントフォルダも使えず、またショートカットも作成できず、実は不自由でした。おまかせデータレスPCではデスクトップやドキュメントフォルダも普通に使用できます。保存すれば自動的にクラウドに保存されるため、利便性とセキュリティが両立できていると感じています」と話す。ユーザーはデータレスPCということを特に意識する必要はなく、使い勝手は良好のようだ。

 「PCを更改する際の200台、300台といった設定の手間が確実になくなったことですでに効果は得られています。運用面でも今後は間違いなく情報システム部のサポート業務が減少します」と師岡氏は効果に期待を寄せる。

 おまかせデータレスPCのレンタルPCには、NTT東日本のサポート窓口の電話番号がステッカーに記載されており、電話をするだけで電話での案内や遠隔での画面操作、故障時の切り分け、交換機手配なども含めた強力なサポートが得られる。「今まで当たり前に情報システム部がしていたことを、プロに任せればもっとスムーズになることを実感しています。私たちもサポートや設定から手離れして本来業務に集中できます。IT部門がないような企業でもPCを自由に導入できる手法になると感じています」と師岡氏はPCをサブスクリプション型で利用するメリットを体感している。佐藤氏は「数年後に現在のPCが陳腐化したときにも、大きな投資をせずに新しい機器に更改できる点もいいですね」と将来の効果を見込んでいる。

 PCを自社の資産として持たず、セキュリティ確保から現場の生産性向上、そして情報システム部の業務効率化までを実現。キューアンドエーでは、持ち出し利用するノートPCに限らず、社内利用のPCも含めておまかせデータレスPCの活用を検討している。大野氏は「当社では働き方改革や女性活躍推進に積極的に取り組んでおり、社外で業務をおこなう際には、セキュリティが担保されたモバイルPCが必須です」と今後の導入に期待を寄せる。おまかせデータレスPCの導入により、業務の現場から情報システム部まで、キューアンドエーでは働き方が着実に変化している。

キューアンドエー株式会社
手に持っているのはキューアンドエーグループのキャラクター「Q助」
キューアンドエー株式会社

URL:https://www.qac.jp/
所在地:東京都渋谷区笹塚2-1-6 笹塚センタービル5階(本社)
設立:1997年7月1日
資本金:8億9,740万円
従業員数:1,218人

テクニカルなBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを提供。具体的には、コンタクトセンター/コールセンターや、マルチベンダー対応コンタクトセンター、オンサイト(訪問/出張)サポート、マーケティングサポート、ビジネスマナーなど、ICTに関する様々なサポートを提供している。

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