「リードタイム短縮」を容易に実現 時流に即したEDI環境の構築法

企業間の電子商取引を担うEDI(電子データ交換)。現在は、これを取り巻く状況が大きく変化している。1つは受注から納入までのリードタイム短縮のニーズだ。リードタイム短縮には、企業間の受発注情報などをリアルタイムに処理することが求められる。もう1つは、これまでEDIのベースとなってきたINSサービスの提供終了、いわゆる「2024年問題」である。既存環境のままでは、やがて商取引が行えなくなってしまう可能性があるのだ。こうした状況を踏まえ、これからのEDIの最適なあり方を考える。

必要な環境が整備できない、ボトルネックは自社運用

株式会社オージス総研 プラットフォームサービス本部 EDIサービス部 永壽 拓宏氏
株式会社オージス総研 プラットフォームサービス本部 EDIサービス部 永壽 拓宏氏

企業間商取引に欠かせないものとして、多くの企業が利用しているEDI(電子データ交換)。しかし現在、その先行きに大きな変化の波が訪れている。

大きいのは、データ処理に関するニーズの変化だ。「最たるものが『リアルタイム処理』です。例えば、製品メーカーが得意先から注文を受ける際、バッチ処理ではタイムラグを考慮してなるべく早い時刻に締め時間を設定することになりますが、これではより遅い時刻に締め時間を設定してくる競合メーカーにシェアを奪われてしまいます。既存のEDIは、回線速度・既存の仕組みなどの点からバッチ処理でデータ送受信しているものが多いのですが、ビジネススピードが加速する現在、こうしたリアルタイム処理がビジネスの様々な場面で求められるようになっています」とオージス総研の永壽 拓宏氏は語る。

この状況に即応できている企業はあまり多くない。というのも、これまでのEDIは多くの場合、各企業がシステムを自社で保有し、運用してきた。そのため、データ処理に関する新たなニーズが高まっても、システムの改修などには一定のコストと期間が必要なため、レスポンスよく対応することが難しいのである。

「リアルタイム処理以外にも新たなニーズは生まれています。例えば、現在は業際取引をするケースが増加しています。EDIの通信プロトコルは業界単位で標準化が進んでいますが、業界外の企業とはどうしても個別に調整が必要になります。そのため、微調整しながらの試行錯誤および継続的な運用に耐える、柔軟で可視化された仕組みが求められています」と永壽氏は言う。


設備の構築・運用をアウトソースするという選択

そこで、これらの課題を解決するものとしてオージス総研が提供するのが、「eCubenetサービス」だ(図1、2)。

図1 eCubenetサービスの5つのサービス

図1 eCubenetサービスの5つのサービス

「データ伝送」「データ変換」「WebEDI」「FAX/BPO」「EDI回線接続」の5つのサービスを核に、EDIに必要なサービスを総合的に提供する

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図2 eCubenetサービスの活用メリット

図2 eCubenetサービスの活用メリット

自社でEDIシステムを保有することなく、サービス型で利用できる。EDIサービスが多様なデータ形式の変換に対応してくれるため、取引先ごとにシステムを整備する必要もない

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eCubenetサービスは、自社での構築・運用をベースとしてきたEDIを、オージス総研にアウトソースできるサービス。具体的には、取引先各社と自社とのEDI接続の中間に「オージス総研 EDIサービス」を介在させることで、リアルタイム/バッチといった処理方法の違いや、プロトコルの多様性などを吸収して運用できるようにするものだ。

「EDIサービスでは、データのフォーマットやプロトコルの変換を行い、取引先ごとに合った形で処理が行えるようにします。また、『公衆回線/ISDN』『インターネット』といった回線種別も、求めに合ったもので接続できるほか、FAX送受信や帳票の郵送といったBPOサービスにも対応します」と永壽氏は説明する。これによりユーザー企業は、取引先ごとの条件にもかかわらず、オージス総研 EDIサービスに接続するだけで必要なEDI環境を用意することができる。

また、オージス総研はDaigas(大阪ガス)のグループ企業として、30年以上にわたりEDIの構築・運用ノウハウを蓄積してきた企業である。これを生かした問い合わせ対応、運用監視・障害対応サポートが提供される点も、eCubenetサービスの特長といえる。ユーザー企業は、万一の不具合発生時にも不安なく対応することが可能になる。


商品の受発注などに適したリアルタイム連携を実現

同社は、このeCubenetサービスの1メニューとして、リアルタイムにデータ連携が行える新サービス「eCubenetデータフロー」をリリースする。

eCubenetデータフローの特長は、リアルタイムなデータ連携のフローを、ユーザーがセルフサービス型で構築できる点にある。セルフサービス画面を開き、画面上のアイコンをドラッグ&ドロップするだけで、ノンプログラミングで連携フローを構築できるのだ。

「複雑なプログラミング知識は不要です。また、ベンダーに依頼する場合に比べ、簡単・迅速に変更や改修が行えるため、新しい取引先との連携をすぐに始めたい場合や、ちょっとした改修を行いたい場合などに威力を発揮します」と永壽氏。もちろん、より複雑な改修などはオージス総研に任せることも可能なので、柔軟な運用が実現できるだろう。これにより、商品を市場投入し、量産化していくといったフェーズの変化に合わせて取引先が増減した場合なども、EDIの仕組みを柔軟に適応させていくことが可能になる。

ここで、販売店の注文データを受け取る仕組みを例に、eCubenetデータフローの利用シーンを紹介しよう(図3)。

図3 販売店の注文データをリアルタイムに受け取るケース

図3 販売店の注文データをリアルタイムに受け取るケース

クライアントソフトがEDI中間データベースの更新を随時監視することで、注文データをリアルタイムで受け取る仕組みを実現。処理の定義や設定の変更はセルフサービス型で行うことが可能だ

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初めに、データを送る側と受け取る側の双方の端末にクライアントソフトをインストールする。このソフトのCDC(Change Data Capture)機能でEDI中間データベースの更新を監視し、新規注文などの差分データが発生すれば取り出す。その際、送る側と受け取る側でデータレイアウトが異なる場合は変換をかけてデータを送信する仕組みだ。「クライアントソフトを入れ、中間データベースの監視をリアルタイムに実行することで、よりタイムラグの少ないやり取りを実現しています。製品メーカーは販売店などに提示する『注文の締め時間』をぎりぎりまで引っ張れるようになるといった、取引の利便性向上につなげることが可能です」と永壽氏は強調する。

また、eCubenetデータフローではWeb上にスプレッドシートを用意することもできる。扱いなれた形式の注文フォームを販売点に提供し、注文情報を入力してもらうといった運用も可能になるだろう。

さらに、リアルタイム連携と既存EDIを組み合わせることもできる。注文業務はリアルタイム化し、月次でよい請求業務は既存EDIでバッチ処理を継続するといった運用が実現できる。こうした仕組みを自社で構築するとなると、保持する設備や運用工数が二重になる。同社のサービスであれば、使った分だけ利用料を支払えば済むため、適材適所の環境が構築しやすいという。


レガシーEDIが迎える「2024年問題」にも備えることが可能

株式会社オージス総研 プラットフォームサービス本部 EDIサービス部 松井 宏樹氏
株式会社オージス総研 プラットフォームサービス本部 EDIサービス部 松井 宏樹氏

加えて、企業がeCubenetサービスを検討すべき理由はもう1つある。それが「2024年問題」だ。

NTT東西は、2024年から順次、固定電話網をIP網へ移行し、ISDNをはじめとするINS回線は2024年1月にサービス提供を終了すると発表している。これにより、INS回線ベースの“レガシーEDI”は、インターネットEDIへの移行が急務になっている。

「石油化学業界などはインターネットEDIへ向けて積極的に検討を始めていますが、ほかの業界はまだ対応がまちまちの状況です。EDIの仕組みの変更には取引先との合意が必要なため、自社が良いからといってインターネットEDIに移行することはできません。期限が迫る中、不安を抱える企業は少なくないでしょう」とオージス総研の松井 宏樹氏は話す。

その点、eCubenetサービスでは、先に紹介した通り、企業は自社からオージス総研 EDIサービスへの接続のみを考えればよくなる。つまり、自社がEDIアウトソーシングサービスに移行さえしておけば、取引先側の回線変更などは順次、取引先ごとのタイミングで行ってもらえば済むようになるのだ(図4)。

 

図4 レガシーEDIからの段階的移行が可能に

図4 レガシーEDIからの段階的移行が可能に

ユーザー企業と取引先企業との間にオージス総研EDIサービスを挟むかたちにすることで、回線変更などの自由度が高まる

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「通信は、一般的なEDIのプロトコルである『全銀TCP/IP手順』に、暗号化や電子証明書を施した『全銀協標準通信プロトコル(TCP/IP手順・広域IP網)』に対応しています。通信のパラメーターや伝送フォーマットがそのまま利用できるため、多くの手間をかけず、セキュアなインターネットEDIに移行することができます」と松井氏は言う。

大きな転換点を迎えるEDI。ビジネスに欠かせないものだけに、企業の取り組みは急務となっている。豊富な知見と導入実績を持つオージス総研に、まずは相談してみてはどうだろうか。


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