ビジネスにおける重要命題となったDX。イノベーションや競争力強化を推進するには、データ分析により導かれるインサイトが不可欠だ。多くの企業が、データからビジネス価値を生むための取り組みを続けている。
一方、その実現を阻む課題も見えてきた。それが「2025年の崖」である。経済産業省によれば、2025年には複雑化・ブラックボックス化したレガシーなITシステムの大部分が、柔軟なデータ活用やDXを阻む負債になる。この状態が放置されれば、日本は年12兆円に上る経済的損失を被る可能性があるという。
この状況を回避するには、あらゆる企業が早急に最新のシステム環境を整備する必要がある。具体的には、組織に分散するデータを可視化し、統合的に分析できるようにすることで、過去のトレンドから未来を予測したり、データの探索・分析により新たなインサイトを発見したりできるようにするのである。
「データは資産であり、デジタル経済の基盤です。データの利活用に適した仕組みを整えるとともに、全社員のリテラシーも強化し、データドリブンな企業に変貌することが不可欠になっています」とクリックテック・ジャパンの川畑 英貴氏は強調する。
データからは、これまでにない様々な新しい価値を得ることができる。同社によれば、その価値は大きく4つあるという。
1つ目は「プロセスの最適化」である。様々な業績データや、サプライチェーンの様々なポイントで得られるデータなどを分析・活用することで、業務プロセスを理想の状態に近づけることができる。「的確な経営意思決定の支援、高精度な需要予測による過剰在庫の抑制、サプライチェーン全体のプロセス見直しといった成果が得られるようになります」と川畑氏は言う。
2つ目は「事業リスクとリターンの最適化」だ。自社ビジネスの経緯や結果のみならず、外部の影響要因も織り込んで将来の状況をシミュレートできる。ますます複雑化するビジネスにおいて、正しい意思決定を支援することができる。
3つ目は「顧客インテリジェンス」である。データを活用することで、顧客の行動履歴や好みを可視化。長期にわたるリレーションを構築する上で必要な情報を得ることが可能になる。「購買傾向を基に、より魅力的な商品の提案や、位置情報に基づいた“個客”サービスの実現といったことが行えます。顧客ロイヤルティ、コンバージョン率の向上が狙えるでしょう」と川畑氏は話す。
そして4つ目が「新たなビジネス機会」だ。膨大なデータから新たなビジネスのヒントを抽出し、新製品・サービスの開発に役立てたり、データ自体を収益化したりすることが可能になる。
クリックテックは、こうした成果を得るための有効方法として、BIとAIを融合することを提唱している。BIツールにAIの高度な分析力が加わることで、一段階上のデータ活用が具現化できる。また、AIによって煩雑なプロセスが自動化されれば、一般のビジネスユーザーもデータにアクセスしやすくなり、より幅広い業務にデータ分析を組み込むことが可能になる。
これを支援するのが、クリックテックの次世代BI ソリューションだ(図1)。データ活用の様々なユースケースに対応した分析機能や、データ同士の関連性をマッピングする独自の「連想インデクシング」技術、分析作業を自動化する「拡張知能(Augmented Intelligence)」を実装。データの準備・最適化から実際の分析作業、ビジネス変革につながるインサイトの獲得までをシームレスに実行できる。
次世代BIソリューションは図2の製品群で構成されている。例えば「Qlik Data Catalyst」は、データの標準化やクレンジングにより、分析のための高品質なデータを効率的に生成する。「Qlik連想ビッグデータ インデックス」は、データレイクやHadoopなどの巨大なデータソースにデータを残したまま、連想インデクシング技術による高速なリアルタイム分析を実現するものだ。
「また『Qlik コグニティブ エンジン』は、パターンや相関関係、外れ値の認識や予測など、人の認知ルールに基づくアルゴリズムを機械学習に組み込み、分析機能を拡張します。これにより例えば、データセットを取り込むだけで適切なチャートを表示するといったことが実現できます」(川畑氏)。さらに「Qlik Insight Bot」を利用すれば、音声やテキストを入力するだけでAIが意味を理解し、分析作業が可能になるという。
既に多くの企業がクリックテックのソリューションによってDXを加速している。例えば、自動車関連サービスを展開するボーダフォン・オートモーティブ社は、IoT技術とGPS情報を活用し、ドライバーの運転スタイルを可視化。危険な運転をしがちなドライバーの情報など、自動車保険会社の新規契約に役立つインサイトを提供することに成功している。
また、エネルギー関連事業を展開するBP社は、ヨーロッパ全土7000以上のガソリンスタンドの収益と営業時間の関係を分析。在庫最適化による収益性向上、ロイヤルティプログラムの実施によるアクティブ顧客14%増といった成果につなげたほか、変革に要したコストは1年半で回収したという。
2025年の崖を回避し、DXを推進するには、こうした先進的なデータ活用環境を整備することが必須になる。クリックテックの提案、そしてソリューションが、そのためのカギになるだろう。