子育てや児童福祉サービスをCRMで構築 真のデジタル・ガバメントの確立を支援

少子化や児童虐待の増加など子どもを巡る状況変化が社会問題となっている。積極的な子育て支援策によって人口減少の食い止めや児童福祉の充実を目指す自治体も多い。セールスフォース・ドットコムでは企業顧客向けに培ってきたCRMによる業務効率化、データ連携の技術・ノウハウを自治体向けソリューションで展開。喫緊の重要課題解決を視野に入れ、住民を中心に据えた「真のデジタル・ガバメント」の確立を支援している。

単なるデジタル化では不十分、
社会課題解決につながるデジタル・ガバメントを

株式会社セールスフォース・ドットコム 執行役員 公共事業推進担当 今井 早苗 氏

株式会社セールスフォース・ドットコム
執行役員
公共事業推進担当
今井 早苗 氏

国を挙げて自治体のデジタル改革に取り組むデジタル・ガバメント実行計画が進んでいる。現状その中心は行政手続きのオンライン化推進にあるが、今後は、ソサエティ5.0時代を切り開く本質的なデジタル改革が期待されている。

デジタル・ガバメントの目指す社会像は①必要なサービスが時間・場所を問わず最適な形で受けられる社会、②新たなイノベーションを創発する社会——であり、①では「住民中心の行政サービス」、②では「官民を問わないデータ・サービスの有機的連携」が不可欠となる。セールスフォース・ドットコムの今井早苗氏は「紙のデータをシステムに投入したデジタル化だけでは不十分で、そのデジタルデータを活用して、市民一人ひとりや企業、NPOなどそれぞれの対象者・団体に特化した行政サービスを提供してこそ、デジタル・ガバメントと呼べるのでは」と語る。

「デザイン思考」の子育てアプリ

セールスフォース・ドットコムが提供する「地方自治体向けクラウドソリューション」は「行政データ・サービスの連携」を強力に推進し、「住民中心の行政サービス」の構築を可能にする製品だ。同社によるCRM(Customer Relation Management)の展開は、つまりクライアント企業とその顧客の関係構築支援が事業の根幹にある。「地方自治体向けクラウドソリューション」でも、その本質的な仕組みはCRMの考え方やノウハウがベースとなっており、違いはCRMソリューションのエンドユーザーとなる「C」がCustomer(カスタマー=顧客)からCitizen(シチズン=住民)へと変わるだけだ。「CRMの仕組みを使うことで必然的に住民を中心に置いたサービスが展開でき、それはデジタル・ガバメント計画の基本理念に合致します」と今井氏は強調する。

「地方自治体向けクラウドソリューション」を使った実例として、同社のパートナーである両備システムズ社が提供するスマホアプリ「i-Blend」がある。大阪府寝屋川市は同アプリを活用した独自サービス『もっと寝屋川』で子育て中の住民向け情報を提供。「子育て・健康」「教育」「見守り」などのタイルがあり、そこで行政側担当窓口とのやり取りが可能だ。ひとくちに「子育て」といっても役所の縦割り行政下での担当部署はそれぞれ別々なのだが、アプリ内ではその垣根を越えて情報収集や手続きが一元化される。

 

「当社システムの優れたところは住民の利便性や自治体の現状を考慮しながら、ITの専門家でない自治体職員でも簡単にサービスの構造や内容を変更・更新できることです。この『デザイン思考』ゆえにテーマを『介護』『防災』『産業振興』『児童福祉』など多様に横展開することも容易で、先行導入した自治体のやり方も参考にできます」(今井氏)。

     
大阪府寝屋川市の子育て情報アプリ『もっと寝屋川』
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大阪府寝屋川市の子育て情報アプリ『もっと寝屋川』
子育てといっても、担当部署はそれぞれ別々になる。
アプリ内ではその垣根を越えて情報収集や手続きが一元化される

児童虐待の防止に向け
CRM活用のソリューション開発が進む

少子化同様に近年は児童虐待や育児放棄も大きな社会問題となり、関連する暗いニュースが目立つようになった。全国の児童相談所への児童虐待相談対応件数は2017年度に13万件を超え、その5年前と比べて倍増(*1)。児童虐待により年間約 80人(*2)もの子どもの命が奪われている。もちろん日本だけの問題ではなく、米国では同年度に児童虐待や育児放棄の疑いで350万件の通報があり、1700人以上の児童が虐待によって死亡(*3)。オーストラリアでは同様の通報数が16年に35万件以上とその5年前と比べて1.4倍(*4)に増えている。

 

児童福祉を巡る環境を分析すると日米、そしてオーストラリアで共通する課題が見えてくる。1つは児童虐待に関する通報数が年々増加するため、対応する担当職員は多忙を極め、過酷な働き方を強いられていること。もう1つは対応窓口が役所、警察、学校などに分かれた縦割り行政のせいで、関係部署が情報を共有してそれぞれのケースに即したケアを長期間・継続的に施すという「児童を中心に据えた支援」が難しい点だ。こうした課題は実はCRMの仕組みによって大きく改善できるはずだ。前者は「業務効率化」「担当人材育成」「サービスの質向上」、そして後者は「児童を中心に据えた仕組みの構築」「部署を越えた情報共有・サービス連携」によってだ。

 

※1:厚生労働省 「児童相談所での自動虐待相談対応件数とその推移」(平成29年度発表)より

※2:社会保障審議会児童部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会「子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第14次報告)」より

※3:米国保健社会福祉省 「Child Maltreatment 2017」(2019年1月)より

※4:Australian Institute of Family Studies「Child abuse and neglect statistics」(2017年6月)より

オーストラリアの州政府では、
虐待防止システムの通告ポータルを
わずか6週間で構築

「ChildStory」は、ニューサウスウェールズ州全体の子どもの保護のための情報技術システムであり、Salesforceのプラットフォームを活用している。子どもや若い人を物語の中心に置き、子ども、家族、介護者、ケースワーカー、サービス提供者のネットワークを結びつける仕組みだ。医師、警察官、教師など様々な関係者もこのネットワークに参加する。 ChildStoryは、子どもたちの安全と幸福の実現を、仲間が一緒に働くことによって実現する。

 

システム全体は広範なマルチフェーズ実装だが、最初の部分では、児童虐待の通告をサポートする外部ポータルが6週間で稼働した。「ChildStory Reporter」は、マンダトリー・レポーター(通告義務者)が、目の前の事件、状況にどう対応するかの判断をサポートするオンラインツールで、レポーターは必要に応じてMandatory Reporter Guide(MRG)にアクセスすることができる。 このツールは、適切な行動を提案し、より多くの参考情報にリンクさせることで、報告プロセスをガイドする。 レポートの履歴を表示して、通告した事案の状況、結果、最新情報を確認することもできる( NSW ChildStoryのWeb Site)。

 

「ChildStoryではその子ども自身も自分の情報にアクセスすることができます。子どもや若い人が最高の人生の結果を得るため、適切な情報を適切なタイミングで記録したり、呼び出したりすることができ、子どもと関係者がその都度正しい判断ができるようサポートするのです」と今井氏は語る。

 

CRMを使った児童虐待防止の取り組みは拡大しつつある。Salesforceのグローバルパートナー、アクセンチュア社では、Salesforceプラットフォームを使った児童福祉サービスのソリューション「Accenture Case Insight Solution:ACIS(エーシス)」のグローバル販売を開始した。同ソリューションを日本向けにローカライズした「ACIS日本版」も用意されている。

特徴は①地域で生活する子どもの健康・福祉に関する情報の収集・一元管理、②データの自動分析によるリスク判定・アラート発信機能と、意志決定の効率化・精度向上支援、③タブレット等を活用した直感的なユーザーインターフェイス、④報告・統計資料作成の容易さ、⑤手書き帳票をデータ化できるOCR機能、入力内容サジェスト機能等、Salesforceの各種連携ツールを組み合わせ可能——などだ。(ACISサイト)。

    

今井氏は「第四次産業革命時代の子どもたちは高度なデジタル社会の恩恵を受ける反面、様々なリスクにも晒されます。例えばSNS、IoTデバイスを介して個人データが不正に使われるリスク。子どもの成長支援や見守りに有益にITを活用するには、あくまでも子どもを中心に置いて行政を含む関係者の輪を拡大していく必要があります。その仕組みの基本はクラウドサービスを活用した情報共有だと考えています」と締めくくった。

  
Salesforceを活用した児童福祉アプリケーションの構築例
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Salesforceを活用した児童福祉アプリケーションの構築例
子どもを物語の中心に置き、関係者を結びつける。
虐待の自動分析などは、最終的には当然専門家の判断を重要視するが、
AIアシスタント「Einstein」のサポートなども視野に入れている

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株式会社セールスフォース・ドットコム
URL:https://www.salesforce.com/jp/
TEL:0120-733-257

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