i-Construction実践セミナーレビュー

サイテックジャパン 建設現場の3Dデータ活用はどう変わるのか。Trimbleテクノロジーの事例

サイテックジャパン株式会社 ソリューション開発グループ グループリーダー 柿本 亮大 氏

今年度は生産性革命「貫徹の年」。日本のi-Construction展開はますます加速化している。サイテックジャパンは、米国Trimble社のi-Construction技術の国内展開とサポートを行う企業。データを中心とした技術革新は建設の未来をどう変えるのか。同社・柿本亮大氏の「i-Construction実践セミナー」の講演をレビューする。これからの建設業界はデータ・ドリブン。

 サイテックジャパンは、ニコン・トリンブルのi-Construction向け商品の販売とサポートを専門事業とする同社の子会社で、需要対応とサービス網の充実のために2017年に設立した。

 母体である米国Trimble社は、1978年にGPS開発からスタートした企業で、現在は農業、建築、建設・土木などの作業効率改善のソリューションを提供し、世界中の働き方を革新することをミッションとしている。当社はTrimble社の測量・マシンコントロール・ガイダンス技術の製品供給・サポートを通じて丁張りレス施工といった土工事の働き方革新や課題解決を実現してきた。

 データ・ドリブンが進展する建設業界に向け、データを中心とした技術革新とテクノロジーの提供を次の新たなテーマとして掲げている。その要素技術は、ビッグデータ、IoT、クラウド、AI&機械学習、ホロレンズに代表されるクロスリアリティ(xR)、自律施工、コネクティド・コンストラクション*、ドローンと画像解析による物体検知やトラッキングなど。

 ここから得られるデータを土木・建設現場に活用していく。その具体例として、当社が提供するTrimbleテクノロジーをいくつか紹介したい。

*コネクティド・コンストラクション:施工に必要な設計データや作業指示をクラウドから送り、施工の実績値を自動計測して重機の施工履歴データとしてクラウドに回収するなど、現場とデジタルを密接につなげる技術。

コンセプト実証中のTrimbleテクノロジー

●線形計画の最適化

 3Dの地形データ、人口分布、生態系データなどをもとに、経済性、環境など、任意の観点で最適化した線形計画をシミュレーションする。エンジニアの経験で見立てた複数の線形計画を検討し、決定案を絞り込む作業を軽減する。近年は土木工事の運搬作業の最適化への応用も進む。

●マシンコントロールガイダンス技術とドローン計測技術の組み合わせ

 ドローンによる3D計測結果をマシンコントロールへ3次元的にフィードバックし、施工へ反映させる。正確な現況の地形と作業進捗状況の把握、次の作業の最適化モデルをオペレーターにフィードバックする。

●画像識別と機械学習の現場適用

 ステレオカメラの物体検知で、重機や作業員の位置をトラッキング。ステレオカメラの画像から地形を3次元的にリアルタイムに計測。これらの映像情報と機械学習を組み合わせ、重機の作業状況を記録する。BIMモデルと仕上がり形状の比較による進捗管理、出来形管理の省力化、近接作業のモニタリングによる安全管理などを行う。

●xRでデジタルと現場をつなげる

 油圧ショベルにカメラを搭載して捉えた画像上にバケットの刃先下の地中にある地下埋設物などを3Dでリアルタイムに見える化表示することができる。

●自律施工への取り組み

 自律施工は従来のマシンコントロールガイダンス開発の延長上にあると考えている。マシンコントロールガイダンスは単一作業の最適化に特化していた。その範囲を広げて、部分的な作業ではなく、エンジニアの判断を含めたプロジェクト全体をオートメーション化する。自律施工は自動車の自動運転とニアリーなプロセスを辿ると考えられる。現時点では、重機の自動運転と遠隔操作のハイブリッドオペレーションだが、環境条件や重機、作業ごとにアプリケーションが整備されると、最終的には完全自律施工が実現するはずだ。

Trimble Connectを基盤としたxRソリューション

新技術は、xRソリューションとドローンデータの有効活用

 次に、今後、国内で提供を開始する新製品を2点紹介する。

●Trimble SiteVision

 「Trimble SiteVision」は、Trimble Connectを基盤としたxRソリューション。18年から国内で検証を重ね、今年9月から提供予定。高精度位置情報と拡張現実技術を組み合わせた複合現実システムで、スマホとGNSSアンテナを組み合わせ、スマホのカメラで撮影した現地画像に設計3Dモデルを重ね合わせて表示。計画段階の建造物を現地確認することが可能だ。

 設計3DモデルをTrimble Connectに保存すると、クラウド上で使用機材に合わせデータ形式を自動的に変換。xRは、Webベースのプラットフォームを採用しているので、Android、iPhoneとも専用ソフトがなくてもプレビューできる。

 マシンコントロールガイダンスで丁張りレスが進むと、重機のオペレータ以外は現場イメージを掴みづらいが、SiteVisionを導入すると、他の現場スタッフも設計や先の作業をイメージしやすくなる利点がある。このほか、設計の不具合や施工手順の不備を施工前に発見し、手戻りを防止できる。具体的にイメージを共有することで設計協議などの合意形成を効率化できる。地下埋設物など不可視部分の見える化による確認が可能になること、などの価値を検証期間に確認できた。

 検証後の改良点は、GNSS測量にレーザー距離計を追加したこと。ピンポイントで現場の座標や、現況とモデルとの2点間距離測定ができるため、設計の仕上がり高さ、法面の角度、離れなどが確認できるように改良した。

●Trimble Stratus

 ドローンによる空撮写真からクラウドで3Dモデルを生成し、現場の正確な情報のマップ化、測定、共有を行うためのソリューション。

 標定点設置後、ドローンで空撮し、位置情報と空撮画像をアップロードすると、通常8時間程度、最大でも24時間以内に解析が完了、Webブラウザで生成した3Dモデルを確認、評価、分析できる。Phantom 4 RTKと組合せて使用すると標定点として現地に1点のみAeroPointを設置するだけで高精度な3Dモデルを自動生成できる。精度は国内の実証実験では地上解像度2.29cm/pixelで平均34mm(最大67mm)であった。

Trimble Stratusの流れ
会場デモの様子
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