カスタマーエクスペリエンスフォーラム2019 レビュー
@ホテル雅叙園東京

BtoB企業における営業活動のデジタルシフト
~データを活用した顧客とのコミュニケーション実践事例~

コニカミノルタジャパン株式会社

BtoBにおける顧客の購買行動が変化する中、営業プロセスを変革して、大きな成果を上げているコニカミノルタジャパン。その取り組みの全容に迫る!

従来の営業方法だけでは対応不可能な時代に

コニカミノルタジャパンマーケティングサービス統括部 デジタルマーケティング営業部富家 翔平 氏

 複合機や大型オンデマンド印刷機事業を主力事業として展開するコニカミノルタジャパンでは、2014年から営業活動の変革に取り組んでいる。
 その背景には、BtoBにおいても顧客行動がデジタルにシフトしているため、従来のようにすべて対面で営業が対応するのでは、顧客のニーズや商談のタイミングを捉えきれなくなっている状況がある。つまり顧客の購買行動の変化に合わせた「営業プロセス」の変革が必要になっているということだ。
 本講演に登壇した富家翔平氏は、自社の営業活動の変革について、「論理的営業活動への転換」「分業体制の構築」「IT基盤の強化」という3つのポイントによって進めてきたことを説明。
「論理的営業活動への転換」は、勘や経験を重視した旧態依然としたスタイルから脱却し、パイプラインなどの案件状況や商談結果の数字をもとにした営業活動への転換で、「分業体制の構築」は、「マーケティング部門」と「インサイドセールス」を立ち上げ、非対面営業を取り入れ営業生産性を向上させるともに、顧客のデジタル行動を基点にした営業活動により顧客のデジタルシフトにも対応した体制構築のことである。そして、「IT基盤の強化」は、以上2つのポイントを実現するために、SFA(営業支援システム)ツールである「salesforce sales cloud」とマーケティングオートメーション(MA)ツールである「salesforce Pardot」の導入・活用を指している。

IT基盤を活用してPDCAを回す仕組みを構築し生産性向上

 同社の取り組みでは、SFAツールによって、案件状況・商談結果の可視化を実現したわけだが、さらにこの情報をベースにして、従来の多人数が集まって進捗報告を行うMTGから、案件単位での営業行動の意思決定を行うための1on1MTGへ変更。SFAツールによりパイプラインが可視化されたことにより、マネージャーが、本当に訪問すべき見込み客や進めるべき案件を把握できるようになったため、より戦略的な営業活動の指示が行えるようになった。また、営業が目の前の営業活動に集中できるように、ホットではないリードは、マーケティングチームやインサイドセールスに預けられるようにすることで、営業活動の集中・選択とリード放置による機会損失を防ぐための仕組みを整えた。SFAツール上でリード管理を行うことで、それぞれの対応履歴や、接点情報、顧客の反応などがスムーズに共有できるようになっていたのも重要なポイントだった。つまり、IT基盤を活用して、営業活動とマーケティング活動がスムーズに連携しつつPDCAを回すことができる仕組みと環境・体制を構築。結果、営業効率・生産性の向上につなげているのである。
 しかし「実際にやるとなると、SFAツールを使ってもらうことも大変だが、従来の営業のやり方を変えてもらうことと、そのためのアプローチが大変だった」と富家氏は、自社の取り組みを振り返る。
 特にマネジメント層ほど、過去の成功体験があるため、新しいやり方を受け入れにくい傾向があったという。そこで、同社では半年間で73回に及ぶワークショップを開催し、部長級以上の管理職に対し、SFAツールの必要性やSFAツールを活用したマネジメントの方法などをレクチャー。さらに専任のプロジェクト推進者を置くことで、運用時に発生する課題や疑問解決を支援する体制も構築するなど、社内の意識を変えるために時間とリソースを割いたのである。

営業改革は、プロセス・社内構造・基盤整備を一体的に

 以上の取り組みについて富家氏は「(営業もマーケティングもインサイドセールスも)それぞれの役割に集中できるようになり、確実に営業生産性が上がりつつある。マーケティング活動によって創出したパイプライン金額が当初の目標の2倍を達成できたことや、マーケティング施策がそれぞれどのくらい事業貢献したのかが数字で分かるようになったことが大きな成果だと考えています」と説明。
 そして「BtoB企業における顧客のデジタルシフトに対応していくためには、営業プロセスと併せて、社内の構造や基盤の整備が必要です。それが営業生産性の向上につながり、事業成長につながっていきます。今後は、この取り組みを全社に展開していき、強化していくのと平行して、同じようなお悩みをお持ちの企業様に対するご支援を通して一緒に成長していきたい」と話をまとめた。

「ITツールの導入が目的になってしまうと取り組みが失敗する」というのはよく耳にする話だ。いくら優れたITツールを導入したとしても、それをどのように活用するかが重要なのである。今回紹介したコニカミノルタジャパンの取り組みでは、ITツールを活用して、PDCAを回す仕組みを構築したことが成功の秘訣なのだろう。
 同社では、以上のような「営業プロセス改革」を実現させるための支援サービスを展開しているとのことである。自社で取り組んできた経験や失敗に基づく知見が、適切なサポートにつながる礎になっているのは言うまでもない。

「営業プロセス改革」プロジェクト全体図。この取り組みにより「セールスステージの可視化」「マーケティング施策から案件化に至るプロセスの明確化」などを実現

図を拡大する

INDEX

冷静(デジタル)と情熱(アナログ)のアイダ?

長瀬 次英 氏

デジタル時代における顧客体験のあり方
~MAを活用した最新手法のご紹介~

SATORI マーケティング営業部 部長 兼 カスタマーサクセスグループ グループ長
高橋 美絵 氏

FJORD Trends 2019 - デジタルの大掃除・価値の探求へ

アクセンチュア アクセンチュアインタラクティブ ビジュアルデザイン・ディレクター
苅谷 森嗣 氏

顧客満足だけではない!成果につながる顧客体験とは?
~CVR30%増などWeb接客成功事例から秘訣を解説~

Sprocket 代表取締役
深田 浩嗣 氏

優れたカスタマーエクスペリエンスの鍵を握る、データマネージメントの重要性
~事例から学ぶ最新動向と活用例~

インフォマティカ・ジャパン セールスコンサルティング本部 第二セールスコンサルティング部 部長
宇津木 太志 氏

商品機能価値から商品体験価値へ
-スペック主義からスタイル主導へのパラダイムシフト-

Contentserv 代表取締役
渡辺 信明 氏

アプリが可能にする顧客体験向上とロイヤルカスタマー醸成

ヤプリ コミュニケーション部 マーケティングスペシャリスト
島袋 孝一 氏

STARBUCKS RESERVE ROASTERY TOKYO
~体験の中に眠るTECHNOLOGY~

スターバックスコーヒージャパン スターバックステクノロジー本部 本部長
亀山 博史 氏